「ステレキャスター」は素材の選定から調達まで含めたフルオーダーの形ですが、こちらは持ち込みのオーダーで、オールラッカーリフィニッシュとレリック加工のみの依頼です。リナット等もありますが…
実は一度お断りした経緯があったのですが、半年以上を経て再度連絡をいただき、今回は引き受けました。素人なのでPHOTOGENICやSELDERならともかく、FENDERジャパンとかあんまりやりたくないんですけどね
で、送られてきたギターを開封すると…
すでにレリック済み
手に取って間近で見ると、リフィニッシュしてある訳ではなく、元からのポリ塗装を何か鋭利な金属で傷つけ、部分的に塗膜を剥がした上で薄くオーバーラッカーされています。
いずれにせよこの加工で、ポリ塗装というものがいかに分厚いものであるか、つぶさに観察できるようになっているのは皮肉なことです
ネックの方は元の塗装が剥がされているようですが、あちこちにシーラー層が残ったままで白い部分が見られます
特にここの部分は私も念入りになる箇所で、製造時にヘッドの平面形をピンルーターで切削する際、カーブがきついので一瞬ルーターの移動速度が落ち、その分深くえぐれるのでシーラー層が残りやすい箇所です。
ここは仕方がないにしても、グリップのハイポジション側から先のポリ塗装が丸ごと残っているのは解せません
普通であればテレキャスターは、ストラトよりも曲面部分が少ないので、塗装を剥がすのは少しだけ楽なはずですが、いかんせんこのモデルはテレカスなのでバインディングなんて物が付いてます
アイロン加熱によって変形や剥がれる危険があるので、特に側面にはアイロンは使えません
カッタウェイ部分の内側などは、かなり手こずりそうですね
現在では本家フェンダーが「レリック」と称して正規品を販売していますが、中学・高校の頃から皆さんの周囲にもいませんでした? ストラトのヘッドの6弦付近をライターで焦がしてたヤツ(笑)
私はというと、その頃からボディーやネックなども頑張って加工し、「オールド加工」と呼んでいましたが、頑張ったわりにはリアルに仕上がらず、アーティストが使っている古いギターは塗料の種類も塗装の方法も現在とは違うと知ったのはずっと後になってからでした
現在の私が「オールド加工」をやるとなると、当然ここまで戻してからやることになります
あ~しんどかった