過去何度か記事にしていますが、テレボディーにストラトのネックを接ぐ際には、ネックエンドの形状を直線に整形する必要があります。

トミー・ボーリンやリッチー・ブラックモア、ジミ・ヘンドリックスはストラトにテレネック、クラプトンはテレにストラトネックです。リッチーはネックエンドを整形しなかったようで、オクターブピッチが合わないとボヤいています爆  笑

 

スティーブ・モーズは画像を拡大するとネックエンドが丸いので明らかなストラトネックですが、ピックガードと接する部分には隙間があり、四角い所に丸いネックをそのまま取り付けているように見えます(黄丸)。ただしリッチーと違う点は、ブリッジやテールピースも変更しているので、ブリッジの搭載位置を調整することでイントネーションを補正しているのでしょう。私の場合は当然ながらネックエンドの形状を修正し、ピックガードとの間にも隙間が開かないように緻密に製作します。不細工な部分までコピーするつもりはさらさらありません。

削った部分は、最初からそうであったかのようにきれいに塗装しておきます

また、ジョイント部のネジ穴は一度埋めてから、テレボディーに合わせて開け直すのは当然のことです。

 

ボディーとネックのジョントが完了したら、次にやることはブリッジ搭載位置の決定と、厄介なブランコテールピースの改造です。これを完了してセンター出しを正確に終えないと、4つもあるピックアップキャビティーの切削作業ができません。まずはメジャーでナットから12フレットまでの距離を測定し、同じ分だけ伸ばした先が理論上サドルがくる位置です。

測定は正確に行なったつもりでしたが実のところ、完成した時点でオクターブチューニングが合わず、ブリッジをボディー後方にさらにずらすことになるのですが、それにはおそらく、TOMブリッジ搭載に際してネックの仕込み角を変更したことが原因と考えられますゲッソリ

驚いたことにスティーブの本物画像を拡大すると、まったく同じようにブリッジのスタッドを後方にずらした跡があるではありませんか(赤丸)

どうも私は、本人と同じ轍を踏んでしまったようですチュー

 

私は修正に際して、中国式のアンカーボルト方式をやめ、GIBSON同様スタッドネジを直接ボディーにねじ込む方式に改めました。

最初に開けた穴を塞ぐために縦に打ち込んだ木材のおかげで、新たにスタッドネジを打ち込む部分の強度が増したのは不幸中の幸いでした。レスポールの場合はハードメイプルトップに打ち込まれていますが、アルダーはそれよりずっと柔らかい材なので。

ついでながら、このブランコテールピースの導入は、弦アースを取ることが難しく、本物はピックガードの下から取り出したアース線を、ブランコテールピースのステーに直接ハンダづけしています(青丸)

私はブリッジのスタッドネジの穴から2mmのトンネルを通し、外から見えないようにアースを取っています。

 

ではブランコテールピースの改造に話を進めます。

まず長すぎるステーをサンダで短く切り落とします。溶接の機械と技術はないので、短くなったステーを万力で固定した上で曲げ加工し、内径3mmの真鍮パイプでつなぎます。

ステーの径も3mmです。ふつうに考えると、内径3mmのパイプの中に外径3mmの棒は入りません。しかし小学校理科の知識があれば入れられます。

常温では輪の中をギリギリ通る鉄球が、アルコールランプで熱した後は通らなくなるという実験をした記憶はないでしょうか? 物質は加熱することで膨張するという性質があり、逆に冷却することで収縮するという性質もあります。それを利用し、パイプはハンダごてで熱し、逆に棒は氷に当てて冷やしてから挿入すれば難なく入れることができます。

双方が常温に戻るともう人力では抜くことができなくなりますが、だめ押しでハンダ溶接しておきます。こうしてショートブランコテールピースは完成しました。

 接いだ部分はエンド側の金具でちょうど隠れてしまうため、違和感はありません。

次回は最大の山場、大量のルーター加工と巨大なピックガードの製作です爆  笑あせる