この間、塗装を先に済ませてありますが、記事ではブリッジ周りの作業を続けます。

 

           【中央の穴は新しく開けたブリッジアース用の穴。2mmで十分!

キャビティー穴の左右両サイドに3mmほどの材が継ぎ足してあるのが分かります。そしてネック側左半分に鉛筆で弧が描かれているのが見えます。この部分がリアピックアップが当たる位置なので、ここにルーターを当てて削り、ブリッジをネック側に寄せられるようにします。

下側に目をやると、鉛筆で直線のマーカーがつけられていますが、ここが12フレットから324mm地点で、おおよそサドルが来る位置になります。またここは、3ウェイブリッジの取付けネジ(4本)が来る位置でもあります。下に見える前オーナーのネジ穴(4個)よりも6~7mmはネック方向に寄ることになります。これでブリッジとピックガード間の隙間を詰めることができるようになると共に、イントネーション調整後のサドルの位置が後方に下がり、かなりキツキツですがテレ本来の姿になります。実はテレ用の6ウェイブリッジは、各弦ごとのイントネーション調整を可能にするだけではなく、3ウェイの調整範囲の狭さを改善する目的もあったものと推察します。

まあオールド仕様への変更は、せっかく改良進化した姿を、時代に逆行して退化させる営みでもある訳です。

                           【キャビティー内壁を5mmほど切削します】

 

次はジャック周りで、レスポールのような四角いプレートを介して取り付けられていたジャックをテレ本来のカップ型に変更しますが、そのためには塗装を剥ぐ段階で弧の上に開けられている穴の周辺を、当て木をして平坦に削っておく必要があります。もちろんネジ穴も埋めておきます。

 

それから塗装前にやっておくべきでしたが、この穴のサイズのままではカップのエッジ部分が入り切れずやや飛び出し気味になるので、縁の部分をリーマーで少し広げておきます。

 

次の作業まで紹介しておきましょう。弦の裏通し加工です。

LegendやBUSKERSのように中国製の安テレの中にも、ちゃんと裏通しになっている物もありますが、残念ながらSQUIERはそうではありません。みなさんご存知のようにオリジナルFENDERにおいても1958~1959年の極短期間、トップローディング仕様に変更された時期がありますがすぐに元に戻されました。

幸い、トップローディングで取り付けられている中国製のブリッジも、バックローディング用の穴が開けられていることが多いのでこれを生かさない理由はないでしょう。少しコツが必要ですが決して難しい作業ではありません。

 

まずはブリッジを装着し、バックローディング用の穴から1mmほどドリルを入れ、目印をつけます。

一度ブリッジを取り外してその穴から「垂直ドリルガイド(自作ツール参照)」を使ってボディー裏まで貫通させます。作業にミスがなければボディー裏に6個の穴がきれいに並ぶはずです。

 

まだ小さい穴ですが、テレ用の弦留めブッシュは直系8mmもあり、さらにの部分は10mmあります。いきなり8mmのビットで開けると穴が不揃いになるのでビットのサイズは徐々に上げていきます。

 

在庫がゴールドパーツしかなかったので、縁の部分だけ磨いて金を落としましたあせる

60年代までのオールドは、縁の部分までがボディー表面に埋まっているので、8mmが開いたらさらにリーマーを使って1.5mmほど穴を広げておきます。完成すると隣の穴同士はくっつく寸前まで接近することになります。

          【中国製は小さいブッシュを使っているのでもっと隙間は開いてます】

ブッシュを打ち込む際には、直接ハンマーで叩くのではなく、必ず丸棒の当て木をして叩かないと、最後にボディー本体を凹ませることになりますチュー

 

完成しました。この程度の仕上がりになれば合格としましょう。

ヴィンテージギターの写真集を見ると50年代の物も手作業だったようで、もっと雑な物もあって安心できますてへぺろ

「プライベートカスタム」は、時間をたっぷりかけられるところがメリットなので、慌てず急がず丁寧にやれば、ビルダーに近づくことができるはずです音譜