お得意さまから次々と「宿題」をいただいています。大変ですけど、ありがたいことでもあります
10年ほど前に亡くなったと記憶しますが、大阪生まれの黒人ギタリスト、ハイラム・ブロック
彼の愛器であるサンバーストのストラトキャスターは、おそらく60年代初期のスラブボードだと思いますが、SRVやR・ギャラガーなみに塗装が広範囲に剥げており、渋い外観をしています。それでいてフロントとリアがハムバッカーに換装される大改造が施されています。
この改造は、彼が入手した時点ですでにこうなっていたとのことで、(前にも書いたと思いますが)ジェフのエスクワイアやオックスブラッド、A・サマーズのテレカス、P・フランプトンのフェニックス等々、名器の多くが本人以前の改造なんですよね
ハイラム・ブロックの愛器をレプリカするにあたり、資料を探すのですが、時代を反映して動画も静止画も画像が荒く、細部の仕様がなかなかつかめません。いくつかのカスタムギターブランドがレプリカを出していますが、やはり資料不足かあまり忠実な造りとは思えません。
【このレプリカはピックガードが62タイプになっています】
また本人の実物にも不可解な点があります。12フレットマーカーの間隔が広い60~62年のスラブボードであることは確かですが、ピックガードはセンターPU近くにネジがある64年以降のピックガードです。
今回ベースとするストラトですが、ストラトの連投で在庫がなくなり、残っているストラトはKAWAI楽器のROCKOONしかありません。木部本体はおろか、全てのハードウェアーやネジ、ナットにいたるまで真っ黒黒というSSHのストラトです。
【全てブラックなので、いつものように木部以外のパーツは全て交換になります】
おまけにスラブボードでなくてラウンドボードですがコレで我慢します
KAWAI楽器というと、私のような世代にとっては「ムーンサルト」や「アクエリアス」といったオリジナルモデルが思い浮かびますが、コピー戦争時代にはフェルナンデスのOEM生産で精巧なストラトを再現した実績もあります。このギターも精度の高いラウンドボードで作られていますが、この指板は「曲げ加工」で作られているのではなく、湾曲状に切削された上でメイプルにラミネートされています。アジア製ギターにはありません。
【塗装準備ですでにマスキングテープが貼られていますが・・・】
【つば出し部分を見ると、いかに精巧なラウンドボードか分かります】
正規の厚みを持ったボディーは弁当箱ザグりではありますが、HSHにするには都合よく、塗装を剥ぐと4ピースアルダーの良材でした
【歴代最強級に頑固な塗膜でした】
SQUIERのように薄っぺらいボディーではないので正規のシンクロユニットを搭載できます
早速生地着色をし、プライマーを吹き、サンバーストの準備をします。
【下地のイエローを吹いた状態】