外出もままならないことから、今はひたすらストラトを作り続けています(・・・と言いながらテレやベースも少し手がけていますが)
【過去の製作品】で3度取り上げていますが、ロビー・ロバートソンのストラトを作っています。私は「ザ・バンド」は聴いたことなかったのですが、記事にあるようにオーダーを受けて作った赤いストラトがきっかけです。
これはロバートソンレプリカが既製品としては有名な「赤銅色」しかないことから、そのベースとなった試行錯誤時代をモデル化したもので、隣接した2つのリアPUをトーンノブのPULLでハムバッカーとなるように配線しました。
さらにそれを見たお得意様から同仕様で赤銅色が欲しいと注文をいただき、これまた本来の「赤銅色」とは異なる4PU仕様で2本目を製作しました。
つまり自分としては、本来のロバートソンモデルをまだ製作していないということなんです。なので一度きちんとした物を作っておきたいと思っていました。実際にとりかかったのは1年以上前で、2本目製作直後のことです。
ボディーの塗装剥がしと、それに組み合わせるネックのフレットを抜き、アッセンブリーを完成させた状態で1年以上放置していました。理由は厄介な塗装で失敗を繰り返したからです(塗装については次回記事にします)。
ボディーはフェンダーJAPAN製で元がSSHで2点支持ナイフエッジトレモロ搭載のもの、ネックポケットを見ると4点留めですがネック角度調整機構を備えています。これは70年代の3点留めのマイクロティルト機構とは異なり、83年のエリートストラトキャスターとそれに続く84年のスタンダードストラトキャスターに搭載されていた機構で、NNAA(ニュー・ネック・アングル・アジャスター)と呼ばれるものです。
ネックはロゴ無し状態で入手しましたが、国産のメイプルワンピースネックです。トーカイにも似ていますがネックエンドにスタンプがないのでフェルのREVIVALっぽいです。フレットの減りというか凹凸が目立ったのでリフレットすることにしました。
せっかくなので太いフレットを打ちますが、できるだけ工程を簡略化するために、すでに短くカットされているフレットを購入しました。しかも均等な長さにカットしてあるのではなく、ストラトを標準として各ポジションぎりぎりの長さにカットしてあるものです。これだと打ち込んだ後にニッパーでカットする手間も省けます。硬い素材を両側で42箇所カットするのは結構大変ですしね。ただし、落としてバラバラになったら背比べしてきれいに並べ直すはめになります
指板のアールより少しきつめに曲げてから打ち込みます。
カット工程はないのですぐにヤスリではみ出た部分を削ります。
【かなりの金属粉が出ます】
ルーペで拡大してエッジを丸く仕上げていきます。エッジの処理を終えたらフレットファイリングと研磨で完了です。
私がリフレットするのはせいぜい年に4~5本で、プロのように数こなしている訳ではないので、フレットを打つところからカウントしても、仕上げまでに2時間半~3時間くらいかかります