北風になったり南風になったり・・・特に今年、風による影響を強く感じている訳は、単色だけではなくサンバーストに手を広げたせいです。単色であれば多少噴霧した塗料が流れても問題は小さいですが、サンバーストは無理です 塗装作業ができないために次々と他の新プロジェクトを立ち上げ、現在手がけている物が10本に達しています。しかもどれ一つとして完成に達していません
この春風がおさまっても、次は梅雨が待ち受けています。いつか雨や風に影響を受けない「屋内塗装ブース」を自宅に設けることができればいいのですが・・・男の夢ですね
さて、そういう訳で記事がブツ切りになってご不便をおかけしますが、また違うプロジェクトの記事ですいつもベースを持ち込んでくださる方の案件です。これで4本目かな? まだ無数にあるみたいです。しかもどれを取っても100%プレイ重視で自分流のアレンジが施されています。
今回はIBANEZのミディアムスケールで、中古であればとても安価で出回っている物です。前オーナーによってフレットレス加工が施されていますが、フレット溝やポジションマーク等も上手く処理されています。
ただし、トラスロッドが限界どころか限界以上に締め上げられており、ロッドナットのレンチ穴が完全に丸くナメてしまっており、取り外すことができなくなっています
オーダーの内容は次の通り
① ブルーメタリックの塗装を剥がしてナチュラルにリフィニッシュ
② ブリッジを持ち込みの(フェルナンデス)17mmピッチブリッジに換装
③ 電装系はフロントPUを撤去し、リアPUのみの1vol・1toneに変更
④ネックエンドからリアPUにかけてフィンガーランプを設置
以前遠方にお住まいの方からフィンガーランプ製作の相談をいただきましたが、そもそも私がフィンガーランプ製作の経験がないどころか、フィンガーランプを装備したベースを弾いたことも、見たことすらなかったためにお断りさせていただきました。遠方だと、高さの調整やはみ出し量など、試奏によるチェックができないという問題もありました。
今回は依頼主が都内在住で、毎回手渡しで本体の受け渡しをしている方なので完成までに何度でも再調整が可能ということもあってチャレンジすることにしました。自分の勉強のためでもあります。そして、まさに今そのフィンガーランプに苦しむことになっていますが、それは追って記事にします
まず全てのパーツを外した状態でボディー単体の重量を計っておきます。
【1615gあります】
塗装を剥いで木地まで戻します。通常リフィニッシュの下地仕上げは320番までですが、私はナチュラル仕上げに限って400番まで番数を上げます。
塗装を剥がし終えた状態で1495g。マイナス120gという結果です。
私は重い・軽いという重量そのものにはさしてこだわりませんが、重量バランスには大変神経質です。カスタマイズによって重量バランスが崩れ、演奏性が損なわれてしまってはもともこもありません。今回はブリッジを重い物に交換するので塗装を施せば大丈夫そうです
それから今回も頼まれていない「おせっかい作業」です。用を為さなくなったトラスロッドというのはどうも放っておけません。70~80年代のジャンク状態となった国産ヴィンテージや安物の中国製などを無数にレストア&カスタマイズしてきた私には、ナメたナットや固着したボルト、折れたネジを取り出すことはさして問題になりません。
【六角のはずの穴がぼぼ丸くなっています】
10分ほどで取り外しましたが、その後のネックは当然ながら酷い順反り状態です
これをアイロン矯正で真っ直ぐに戻していきます。フレットレス改造されているので指板修正は容易ですが、少々気がかりなのが新たにネックサイドに設置されたマーカーの材質です。本来のポジションマークは取り外されて木材で埋められていますが、この新しいマーカーがどれくらい高熱に耐えられるのか未知数です。
なので通常よりもアイロンとフィンガーボードの間隔を広げ、高熱だけではなくスチームによる矯正を併用することにします。結果的には上手くいき、新しいロッドナットを取り付けて今後の調整にも余裕を持たせることができました。
「おせっかい作業」はうまくいったからいいとして、失敗もありました
「ボディーをナチュラルにしてヘッドはメタリックブルーのままとか無いやろ」と思い、塗装を剥いでしまったのです ヘッド表面はそのままでよかったそうなのですが、すでに剥いでいたので相談の上「チョコレートブラウン」に塗ることになりました
そして最大の難関、フィンガーランプの製作に臨むことになります