テレキャスターばかり弄っていて最近ストラトを全然扱っていなかったので、久しぶりにストラトを題材としたカスタムギターを製作することにしました
ジミ・ヘンドリクス、J・ベック、E・クラプトンあたりまでは、ほぼノーマル状態で使用されたストラト。その後リッチーがスキャロップドフィンガーボードを生み出したりしますが、70年代末から80年代初頭により深いディストーションサウンドが必要とされる時代になると、リアにハムバッカーを搭載するカスタムが一世を風靡します。それに続くロック式トレモロの発明は、カスタムストラトの枠を越えて幾多の亜流ストラト系ギターを生み出しつつ今日に至ります。
また、そういった発展型と平行して発表当初の仕様を受け継ぐヴィンテージレプリカや、本家本社による正常進化版も定期的に発表されています
今回取り上げるのは、そういった長いストラトの歴史の原点にして、おそらく世界初のカスタムストラトだと思われる「G・フーラトンSPECIALストラト」です
このブログでも何度も言及したジョージ・フーラトンとは、レオ・フェンダーの右腕として初期FENDER製品の開発に関わったばかりでなく、その後のミュージックマンやG&Lでもレオを支え続けた人物です。
その彼が秘蔵していたマイギター
ストラト発表年の1954年製で、派手なトラ杢の入ったアッシュ材とメイプルネックが用いられ、コントロール部分はオリジナルとは大きく配置が変更され、その部分は黒いパネルが接がれています。この部分は当時のテレのブラックガードと同じ素材で作られているのであれば、ファイバー紙を黒く塗装してラッカーを吹いた物でしょう。ただし、黒いピックアップカバーがストラトに導入されるのは、はるか後年の1976年なので最初からのオリジナルであるか怪しいです。
そもそもストラトの開発自体に関わったジョージが自分用にコレを作ったということは、リアPUのすぐ下に設けられたボリュームをはじめとして、市販モデルのコントローラーの位置には同意できなかったということでしょう
それが世界最初のカスタムストラトが製作される原因になったと思われます
制作費を安くあげるために中古品のSQUIERをベースにします。木目を生かした2トーンサンバーストにしないといけないので、ナチュラルにしても大丈夫なくらい木目の良い個体を選びました。
木地まで戻したら、塗装の前に早速特徴的なピックガードの製作に取り掛かります。50年代仕様のホワイト1プライガードと、未加工のブラック1プライガードを用意します。
白のコントロール部分を切り取り、その部分をブラックガードから補充します。
境界部分は複雑なカーブを描いているので、ピッタリ合うまで根気強く現物合わせを繰り返しながら製作していきます
次回は黒いパネルにPOTやスイッチ、ネジ穴を開けるとともに、ボディー側にもキャビティー加工を施します