ここ福岡では秋雨前線が停滞し、災害級の雨が降り続いています
この先も数日は傘マークが並んでいます。暑くないのはいいのですが、持って来たボディーの塗装剥ぎは、カーポートの下でひたすらペーパーがけです。
【全て手作業ながら、凄まじい粉塵の量です】
ただでさえカスタムのあらゆる工程の中で最も忍耐が必要とされる作業なのに、降り続く雨の中でやっているとホント気が滅入ります
今回持って来たのはフォトジェニックの白いジャズベ、正体不明のキャンディーレッドのジャズベ、それからFIRST ACTのボディー2枚ですが、こっちのハードオフで黒いプレベボディーを324円で入手しました。
おそらく中国製と判断しての激安価格だったのでしょうが、私は見てすぐに80年代中後期以降のYAMAHA PB-400Rのボディーと分かりました
ザグリの形状とアースプレートのネジ穴、80年代前半にはないブラックカラー、ネックポケットから見える木目はセン材、こういった判断材料だけで充分です。安い買い物でした。3000円でも買ったかも…
そういう訳で、あと数日福岡にいるので小ネタで繋ぎます。
私はカスタムで不要になった安物のパーツ類であっても、徹底してリサイクルします。「まだ使える」と思ったら骨の髄まで取り出して再利用します。
断線したピックアップも分解してボビンやベースプレート、マグネット、ポールピース等を取り外して仕様別に分類し保管しています。
今日の表題は「マグネット交換」となっていますが、単なるマグネットの交換ではなく、中国製を含む安物ギターに搭載されている、いかにも安っぽいプラスチックボビンとフェライトマグネットで組まれているピックアップをアルニコ仕様に改造するという技です…ということは、【マグネット交換=ポールピース交換】という作業になります
安物ギターに搭載されることが多いためにチープな印象を免れないフェライト仕様PUですが、実際にはフェライトマグネットPUがアルニコマグネットPUより劣るということはなく、有名リプレイスメントPUメーカーどころかFENDER・GIBSONの製品にもフェライトマグネットモデルは存在します。狙うサウンドによってはフェライトマグネットの方が優れている面もあるのです。
今回は、テレキャスター用のリアピックアップを取り上げます。
まず、ボビンの底面にくっついている磁石(焼き固めてあるので「セラミックマグネットとも言います)を取り外します。合成ゴム系のボンドで接着してあることが多いので、古い物であればカッターの刃をもぐりこませるだけで簡単に外れますし、しっかり付いている物は半田ゴテで少し加熱してやれば外れます。やり過ぎると熱膨張でコイルが断線する可能性が高まるので加熱し過ぎには気をつけましょう。
次にポールピース周辺にCRC等の潤滑剤を噴霧し、5mm程度の丸棒の当て木をした上でプラスチックハンマーで軽く叩いてポールピースを押し出します。
安物PUの場合、FENDER製品のようにマグネットに直接コイルを巻いている訳ではなく、ボビンと一体になったトンネルに鉄製のポールピースを挿し込んでいるだけなので、この作業で断線することはありません。
次に、断線したアルニコPUから取り外したアルニコマグネットポールピースの在庫の中から、ボビンの高さと同じ長さの物を選び出し、S極・N極を確認した上で6個の穴に打ち込みます。
上下どちらをS極でN極にするかは、オリジナルFENDERでも年代によって変化があります。2PUのテレの場合重要なのはフロント側とのマッチングでしょうか
フェライトマグネットPUの場合、ポールピースはただの鉄材で磁力は持っていませんが、アルニコマグネットはこのポールピース自体がマグネットになっているので、ボビンの底面に永久磁石を貼りつける必要はなくなります。
【アルニコポールピースの打ち込み完了】
その代わり、テレキャスター用のリアピックアップにはボビンの底面に真鍮製のプレートがついています。年月を経たプレートは酸化皮膜や手垢、ハンダに含まれるヤニで汚くなっているので、分解したついでにピカピカに磨いておくと見た目もずっと良くなります
これを再びボビン底面に接着してHOTとCOLD、アースの各ワイヤーをハンダづけすれば、よりヴィンテージスペックに近づいたアルニコピックアップの完成です。
こんなセコいカスタムをするのは私くらいでしょうか…
でも試奏のできないヤフオクに出品するに当たっては、音の良し悪しよりもスペックを重視するスペックマニアが対象なので、その方がウケが良いですしね
見た目にこだわる方(組み込んだら見えませんが)は、線材をヴィンテージスタイルのクロスワイヤーに変更するのも一興でしょう
最後は作業にミスがなかったか確認する意味で、テスターで直流抵抗値を計っておきましょう。
8.50kΩとはかなり大きな値ですね。
肝心のサウンドは、実際にギターに組み込んでからのお楽しみです
【福岡での主要任務は楽器弄りではなくてネコ活動】
今朝はたまたま黒ネコさんが捕獲器に入り、去勢に回しました