フロントPUの設置も完了したので、ようやくピックガードの製作に取りかかれます。ピックアップの切り欠き部分の形状が変わったので元のガードは使えません。
【これがオリジナルのピックガードですが、エッジ部分の隙間が均一ではありません】
せめて切り欠き部分を除く外周だけでも「型」に使えないかと思いましたが、上の画像のように、オリジナル部品はボディー外周の形状ともマッチしていないお粗末な物で、何の役にも立ちませんでした
【まずは厚紙で型紙を作ります】
大規模なカスタムを多く手がける私は、ピックガードのワン・オフ製作はしょっちゅうですが、その方法は超マニュアルです。
ピックガード材からの切り出しは、いまだに手ノコ作業です
ずいぶん前のこと、他の教員たちが全員退勤してから図工室の電動糸ノコでピックガードの切り出し作業をしていたら、遅い時間(といっても21時くらい)に図工室の電気だけが点いていて作業音が響いていたというので警備員が見に来たことがあったんです
「深夜の小学校で音楽室からピアノの音が聞こえる」という話はよく聞きますが、
「深夜の小学校で図工室から電ノコの音が聞こえる」ということで・・・こんな時間に工事業者が校内いるはずもないので見にきたそうです
それ以後、恐い話が大好きな子どもたちに、放課後に話すネタとして使うことにしました
話がそれましたが、2階の工房が完成したらいいかげん電ノコを導入しようと思います。作業の効率化のためには設備投資も大切ですからね
FENDER系のヴィンテージモデルはほぼ1プライガードですが、今回は3プライガードを使うので作業はひと手間増えます。切り出して周囲をきれいに仕上げて終りではなく、エッジ部分の3層が見えるように45°に削ります。
それからネジ穴を開け、そしてレリック風に艶を落とします。
【ネジ穴の面取りには、こういうビットを使います。1.5秒当てれば完了】
慣れていても半日ほどかかる作業ですが、色々なプロ工房のホームページでオリジナルピックガード製作の料金表を見てみると、ピックガード材の料金に加えて、工賃、デザイン料、消費税、送料(または組み込み料)で15000~20000円以上はかかるみたいですね。中には30942円というのもありました
リフィニッシュよりは安いですが、私のような安物弄りの人間にはコストバランスが取れません。自分にとって思い入れのある楽器であれば、3000円で買ったSELDERのピックガードに30000円かけるのもアリだとは思います
でも、さらにお勧めなのは、苦労して自分で作れば思い入れも倍増し、ついでに満足感も味わうことができます
誰だって最初は素人なので上手にはできませんが、四苦八苦しながら何度かやってみれば満足のゆく物ができるでしょう
くり返し現物合わせをしながら微調整をしたので、取りつけてみるとPU切り欠き部分もピッタリです
それから4つのノブを全て交換しました。元のパーツもいい具合にナチュラルレリックになっていたのですが、いかんせんGIBSONの物とはデザインが違い過ぎます
【左のオリジナルから右の部品に交換】
ノブが細くて高く、スカート部分も短いのでサマになりません。なのでGIBSON風のソンブレロノブに交換します。
何のギターから外した物か忘れましたが、かなり古い国産コピー物だったはずです。実は1つはスカート部分が割れていたのですが接着剤で補修しました。きっと前オーナーが外す際にマイナスドライバーか何かを下にもぐりこませて持ち上げたのでしょう
数字のモールド部分の塗料も落ち、VOL・TONE表示部分も傷み、かなりボロくなっていますが、こういった部品もハードレッリック物のために捨てずに多数ストックしてあります
さて、いよいよ弦を張ってセットアップをしていきますが、シリアル「A761067」が1976年製を示しているとして、最初の1~2年は弾かれたとしても、おそらく40年以上は眠っていた楽器です。フレットの擦り合わせくらいは必要になるでしょう。
とにかく、これで再び音楽の最前線へと送り出してあげることができそうです