先日の1950年代風テレキャスターの連載記事について、昔のバンド仲間からクレームがつきました
『これのどこが「ちょいカスタム」やねん!!??』 という訳です
そー言われると、そもそも一般的な工房では「リフィニッシュ」というだけで、カスタム料金表のかなり上のランクに位置し、納期も2~3ヶ月が要求されます。それに電動工具を持ち出した時点で「ちょい」ではないだろうとも言われました
①~⑦の作業の中で「ちょいカスタム」と呼べるのは、ピックガードとノブとネジの交換だけなんだそうです。
製作品を出品するようになって早5年。段々やることがエスカレートしてきて、自分にとって「ちょい」のレベルが上がってきたのかと思い返し、さらに古い画像データを見直してみました。
いやいや結構昔からえげつない物も作ってましたよ
今日はそんな初期作品をエピソードと共にご紹介します
私は昔、東京神田にあるストラトキャスター専門店によく出入りしていました。ある時その近所に「ゼマイティス博物館」なるものがオープンし(もうなくなったかな?)、帰りに寄ってみたことがあるんです。さすが家具職人が作った物だけあって単なる楽器以上の美しさ。特にロンウッドで有名な「ディスクフロント」の格好良さに魅せられましたよ。
80万円以上の値段だったと記憶します
【彼の物はノブが7つもあります】
【これはGRECOになってからの一般的な市販品】
今ではGRECOが作るようになって、もっとお求め易くなっていると思います
下は、その「ディスクフロント」に刺激を受けて2014年春に私が製作した物です
【ポジションマークを見ればネックの元ネタがバレます】
安テレキャスターのボディーのエルボー部分と1弦側カッタウェイ部分を削り、これまたボルトオン構造の安レスポールのネックを組み合わせました。スケールの違うギターの2コ1なので、イントネーションが正確に合うようにブリッジの位置決めは慎重に行いました。
【ヘッド外周もそれっぽく整形しています】
一番大変だったのはピックガードの製作で、金属は加工が難しいのでミラーガードにしました。これだと照明を受けてよりステージ映えすると考えたのです
木工部分も、6弦ホーン部分にもノブがあったり、ボディーバックを広範囲にザグったり、サイドジャックをトップに移動したり、色々と大変な思いをしました
【バックコンターも入れないといけませんでした】
サーキットは先日のブラックビューティーと同じセンター独立の3ボリュームシステムで、センターノブはフェイズスイッチを兼ねており、フロントノブにはコイルタップスイッチも仕込んであります。
【ロンウッドの物はこのタイプのGIBSON系ノブなんですよね~】
【市販品はFENDERテレ系のノブになっています】
残っている画像はこの4枚が全てで、製作過程の画像が残ってないのが残念です
完成からしばらく手元にありましたが、最近売却しました
これに比べたらテレの50年代風アレンジ程度は「ちょいカスタム」と言ってしまいたくなる心理も理解していただけるかと・・・