それでは塗装工程に進みます
320番のペーパーで下地処理した後、生地着色で木目を浮かび上がらせ、今回はホワイトアンダーコートにかえてクリアのプライマーを吹きます。それからダフネブルーを吹き、その上にトップコートの色焼けを表現するために、さらに黄色を混ぜてグリーンがかったダフネブルーを吹きます
その際、ピックガードの日焼け跡を残すために実際にピックガードを装着してから塗装しました。以前テレキャスターでこの手法を試した際、使い捨てできるようにピックガードを型にして作った厚紙を貼って塗ったのですが、塗料が浸みた厚紙は反り上がってしまい、その隙間にスプレーが入り込んで輪郭がボヤけるという失敗を経験しました。なので今回は本物のピックガードをしっかりネジ止めし、ピックガードごと塗装しています。
【ピックガードを外すとこの通り】
数日乾燥させた後、水研ぎしてクリアのトップコートを3回ほど吹きます。また数日乾燥させて最後にコンパウンド研磨します。その後レリック加工を施しますが、私の場合レリック加工をするギターの場合にも、一度新品のようにピカピカに仕上げます。
これをカッターの刃でガリガリやる時はさすがにちょっと心が痛みます
塗装を終えたら今度はブリッジの装着です。
ブリッジの位置決めの際は必ずネックを装着し、弦代わりのナイロン糸(1と6だけでいい)を張ってセンターズレを未然に防ぎます。
ネジ径を計測すると4mmなので、今回は3mmのビットで穴を開けます。私の場合、アルダー材の場合はマイナス1mmで、アッシュやメイプルのように硬い材の場合にはマイナス0.5mmの穴を開けるようにしています。
また、穴は不必要に深く開けるべきではありません。空気が入り込む余地があるとサビ発生の原因になります。
ビットを差し込む深さもきちんと管理しましょう
ブリッジのベースプレートの厚みも考慮に入れます。
また私は、ネジ穴には微量のカーワックスを入れるようにしています
こうすることでネジがスムーズに入り、かつ長期間に渡ってサビを防いでくれるでしょう。
私は無数のジャパンヴィンテージを扱ってきましたが、レストアの過程でバラす際にネジが折れて木材の中に残り、それを取り出す苦労を繰り返してきました。これほど打ち込まれたネジがサビている理由は容易に想像がつきます。当時はエレキを作れば作っただけ売れるという時代。膨大な量の木材に、3~5年はかかるというシーズニング(自然乾燥)がきちんとなされていたとは思えません。材の中にまだ水分が残っていたせいでしょう
少なくとも私がリビルドしたギターを30年後にメンテナンスする人には、バラす際にはスムーズに作業を進めてほしいと思います
ブリッジの位置が決まったら、今度はリアピックアップの位置決めです。こちらはブリッジに近いので、フロントのようにハーモニクスポイントを意識することはありませんが、弦とポールピースの位置関係には気をつけます
そして位置が決まったら、P-90のケースをわずかに落とし込み加工をするためのラインを引き、それに合わせてルーター加工を施します。
【スラントマウントの用意が整いました】
次回で完成します