ここ数年製作しているカスタム品の半分近くはテレキャスターのような気がしますが、そんな中で一番手間がかかった作品を紹介しようと思います。特に記録を残しておこうと大量に画像を残したので、数回に分けて詳しく紹介します
2017年の2月から3月にかけて製作したA・サマーズテレキャスターです
【これは本人所有の本物です】
10年くらい前にFENDERカスタムショップから250本限定でトリビュートモデルも発売されたことがありますが、相当に高額だった記憶があります
【おそらく大半がディーラーによって引き取られたのでしょう】
カスタマイズされた有名なギターの多くは、そのアーティストが入手した時点ですでにそのような姿だったことがほとんどで、私がよく題材としているJ・ベックのエスクワイア、オックスブラッド、テレギブや、P・フランプトンの3PUフェニックス等がそうであるように、このアンディーの愛器も入手時にすでにこの姿だったようです。
私の製作した完成品は連載の最後に公開するとして・・・
「なんちゃってシリーズ」は、庶民がまず手の出せないハイエンドカスタムモデルを…
① 安物をベースにできるだけ安い値段で
② あまり細部にはこだわらず
③ 時にはレプリカが存在しないモデルまで
④ しまいには想像上のモデルまで
勝手な解釈で具現化する個人プロジェクトです
今回ベースに使ったのは、ARIA PROⅡの廉価ブランドLEGENDのテレキャスターモデル。中でも稀にしか見つからない60年代風のバウンドボディーのモデルです。むろん色はサンバーストの物。ただしLEGENDにはローズネックモデルしか存在しないようなので、ネックは手もちの物を使いました。いつもは塗装も剥いでオールラッカーリフィニッシュを施し、レリック加工もするところですが、今回は加工と配線に手間がかかり過ぎるため、フィニッシュはそのままです。
作業工程は、カスタムパーツを搭載するために必要な加工からスタートします
①フロントPUはカバードタイプのハムバッカーになっているので、まずはピックガードの穴をハムサイズに拡張します。
最初からこの加工を施したピックガードも売っていますが、そんな物まで購入していたらコストが増大しますし、ノーマル部品も余ってしまいます。シングル搭載用のネジ穴はあとでホワイト樹脂で埋めます。
②そして当然ボディー側もハムを搭載できるようにピックアップキャビティーを拡張しておきます。
【ハムバッカー用のテンプレートを使います】
ボディー材はおそらくバスウッド、なかなか精度の高い加工がなされており、ジャック付近の処理は近年の中国製に見られるレスポールのように四角形のプレートを介したマウント方法ではなく、丸い埋め込み金具で丁寧に設置されています。
皮肉なことにA・サマーズの本物は、ここは金属製の四角いプレートでマウントされているのですが、せっかく高級感があるのであえてこのままにします(笑)。
③アンディーのテレには2つのミニスイッチがついていますが、1つはフェイズスイッチ、もう1つはブースター(次回言及します)のON-OFFスイッチだそうです。そこでまずはコントロールプレートの2つのノブの間にあるスイッチ用の穴を鉄鋼用ドリルで開けておきます。径は6mmです。
【実際にスイッチを取りつけて確認します】
次回はボディー側のコントロール部分の加工です