今日はビリーがYAMAHAとのエンドース契約を結ぶこととなったピンクBBを紹介します
このベースはMYワイフと若干重なる形で、D・L・ロスバンド時代からMr.BIGの初期までメインで使用され、これが元となってATTITUDEモデルが誕生しました。
ご承知のようにこのATTITUDEモデルにはヤマハが市販した正規版も存在します。また、ピンク色はありませんが、近年BBをベースにしたBB714BSというのも出しました。
【ピンク色はラインナップされていません】
しかしファンが惹かれるのは、そんな正規版ではなく、本人があれこれと試行錯誤を繰り返したプロトタイプなんですよね~(いつものことです・・・)。というか、売ってないから益々欲しくなるのですが…
とにかくメーカーはそんなプロトタイプは市販しないので、欲しけりゃ自分で作るしかない訳です。「なんちゃってシリーズ」とは、そういうシリーズです
このピンクBBは、本家YAMAHAからのレプリカは無論、MYワイフのような楽器店のオーダー品すら存在しません。それにはいくつか理由があると思いますが、第一に、ヤマハ自体がそんなオーダーを受け付けない
第二に、独自に作ろうにもメイプル指板仕様のBBが存在しない。黒いBB用ブリッジも手に入らない等、いろいろと高いハードルがある訳です
ブリッジは似たような物で代用するとしても、メイプル指板は解決困難です。しかし、実物のスルーネック構造というのを断念しさえすれば、古いSBシリーズのネックにはメイプル指板のモデルが存在します
ヘッドの形も同じだし・・・ということでメイプルワンピースネックのSB-500を購入。同じ時代のヤマハのネックは機種が違ってもジョイント部はほぼ同じ規格で作られています。別途購入した中古のBBのボディーと仮組みしてみると、思った通りネジ穴の位置までジャストフィット
コンバートしたSBのボディーとBBのローズネックを組み合わせた2コ1ベースは投げ売り価格で出品しました(笑)。ちなみにB・シーンも、ティム・ボカートを真似しMYワイフを製作した際、ネック欲しさにテレキャスターベースを購入し、残り物のテレキャスターベースのボディーにプレベのネックを組み合わせた2コ1ベースを格安で売り飛ばしたと語っています
さて、こういうプロトタイプの場合、使用期間が長ければ長いほど手が加えられて変化してゆくので、どの時代の仕様にするのか悩むところです。まずは資料を集めてみると、私が見つけた中でこのベースの画像が最初に登場するのは「BASS MAGAZINE」1986年vol.5(この頃はまだギターマガジンの増刊号扱いで月間になってないです。しかも付録がシートレコード!)の表紙です。この時点でリアピックアップは外されていますが、まだDチューナーやノブ横のハイカットスイッチも未装備で、ハイフレットのスキャロップ加工もなされていません。中身の記事にある写真では、逆にDチューナーやハイカットスイッチがあるのに、リアピックアップは搭載されています。この後再度リアが外され、スキャロップ加工が施され、キツネに骨十字の落書きやBONESステッカーが貼られた状態でMr.BIGまで長らく使用されます。
このベースの最終形態が確認できるのは、1994年発行の「Ultimate BILLY SHEEHAN」(リットーミュージック刊)ですが、それを見ると最後はサイドジャック方式だったアウトプットがボディートップに移され、それに伴ってコントロールノブがさらにネック方向に移設されています。その仕様を引き継いでATTITUDEもトップジャック方式になっています。今回のレプリカもジャックはトップのままにしました(※モノラルアウトにしてます)。
【ピンクBBには「MYワイフ」のような名前はないようです】
数日かけてそれぞれの塗装をすべて落としてから、いよいよボディー加工の工程に進みます。まずはDIMARZIO:MODEL-ONEピックアップのキャビティーを開けて。次に搭載しないけどリアピックアップ用のキャビティーも開ける。ネックのハイポジションにはスキャロップ加工を施す。
ヤマハ特有のスプリットコイルのリバース配置をフェンダータイプの配置に修正した際に残った穴をふさぐプラパーツの製作。
【本人同様DIMARZIO:モデルPを搭載しています】
それからフロントピックアップの下に移設されたボリュームコントロールの増設とそのキャビティー加工。
【例によってレスポール用バックパネルを流用します】
B・シーンの実物はどのようなサーキットになっているのか分かりませんが、これはネック側から、フロントPUボリューム、フロントPUトーン、リアPUボリューム、リアPUトーンにしています。またフロントPUボリューム脇のミニスイッチは、本来フロントのハイカットスイッチとのことですが、普通にトーンがあれば問題ないので、このベースではON-ON-ONを使ってピックアップセレクターのトグルスイッチに変更しています。
さらにリアルさを追求して、カラフルな配線材が、取り外したリアピックアップキャビティーから見えるようにリアの穴を経由してワイアリング。フロントPUの配線は、最短距離ならすぐ下にあるスイッチやポットまで数センチなんですけどね・・・
実用性を考慮してステレオアウトやDチューナーは装備していませんが、ナットは本人同様ブラス削り出しで新規製作しました。
裏側を見るとボルトオンネックなのが「なんちゃって」の悲しさですが、とにかくこのピンクBBのレプリカはどこからも出ていないので、これをもってステージに立てばオーディエンスの度肝を抜くこと間違いなしです
【本人の物はBB3000ベースなのでスルーネックなのですが・・・】
ヤマハのベースを2本使った上に、2つのピックアップは本人同様DIMARZIO製MODEL-ONEとMODEL-Pを使用したので費用がかさみ、ヤフオクに出品したものの、大赤字を出してしまうことになりました
今後、直接のオーダーを受けない限り、再度製作することはないでしょう
【ベースの画像探してたらこんな画像見つけました】
※お知らせ
地元でのネコ活動が忙しいため、次回更新は11日に東京に戻ってからになります
ちなみに猫活動についてのブログは「飼い主のいない猫の会」を参照