今日はピックアップセレクターを設置するための作業です。かなり大がかりな加工が必要になる部分です
なぜか・・・
多くのメーカーの場合、コントロール類は一箇所に集められているのが普通で、PUセレクターも通常はボリュームやトーンの近くにあるものです。しかし今回のテレキャスターの場合、レスポールと同じような位置に持ってくることにします
かつて、70年代から活躍(デビューは69年)するプログレバンド、イエスのスティーブ・ハウも自身の白いテレキャスターを同じように改造していましたが、彼の場合はボディーの表側をザグってEXピックガードを装着し、そこにトグルスイッチをマウントしていました
【これは近年のスティーブ・ハウ】
私はこのレプリカを2年ほど前に製作したことがあるので、いずれ詳しくご紹介しますが、今回はこれとは異なり、ボリュームやトーン同様にボディー裏側から仕込みます。これは少々厄介な作業になります
【ベースはSQUIER】
【ピックガードにマウントする場合、穴は最小限の深さで充分です】
この位置にトグルスイッチを持ってくるということは、ボリュームやトーンといった他のコントロールやアウトプットジャックとは、ピックアップを挟んで正反対側にも配線を伸ばす必要が生じます
こういったカスタムをやっていると、つくづくレオ・フェンダーという人は、プレイヤーのみならず生産者の視点に立って、徹底的に合理的な設計をしていたのだと感心させられます
その上もっと厄介なのは、その配線を通すトンネルの設置作業です
レスポールの場合は、バックのマホガニー材にトップのメイプル材を被せる前に配線用の溝を掘るわけですが、このテレキャスターボディーにトンネルを後付けするには、一番近いフロントPUキャビティーに向けて、ボディーサイドからロングドリルを貫通させるしか方法がありません。
結果、サイドに直系6mmの木材で埋めた痕跡が残りますが、かつての60年代までのオールドFENDERでは、こういったジグ穴を塞いだ痕跡は当たり前に残っており、今日ではそれがオリジナルのオールドFENDERを見分ける重要なポイントにもなっています。
【6mmのラミン棒でドリルの穴を塞ぎます】
ボディー裏側は、まず22mmの大径ドリルで穴を開けた後、ルーターで40mmまで拡張しますが、裏仕込みの場合、トップの5mmだけを残して深い穴を掘る必要があります。しかし、ルーターのビットは一度に深さ20mmまでしか掘れないので、2段階に分けて切削するしかありません。
【中に穴を塞いだプラグが見えています】
【側面にはプラグごとルーターで切削された痕跡があります】
バックパネルはレスポール用の55mmを使うので、その部分だけは深さ2mmでパネルの落とし込み加工をする必要もあります。画像を見ると、穴の断面は、必要に応じて何段にもなっている複雑な構造であることが分かるでしょう。
ボディートップ側はトグルスイッチのスリーブが入る12mmでOKです。
このトグルスイッチ周辺の加工が、今回のモデル一番の山場でした