【オックスブラッドレスポールを作ってみよう②】
ブリッジの位置決めが終わって穴を開けたら、テールピースの穴から取られていたアース線を、新たに開けたバーブリッジのスタッドに忘れないように埋め込んでください。これを忘れるとノイズが発生してしまいます。
【リフィニッシュでスタッドの痕跡はなくなりました】
【アース線の移設も忘れずに・・・】
トップのリフィニッシュは、ブラックを3回吹き、ウェットサンディングの後クリアを3回吹いてまたウェットサンディング。最後に研磨で完了です。私の場合は電動工具を使ったバフがけは行わず、研磨も全て手作業で行っています
さて、前回、2本目に製作したオックスブラッドには、少し大がかりなチャレンジをしたと書きましたが、それをここで紹介しておきます。
ベック本人のオックスブラッドをよく観察すると、リアピックアップに接するピックガードの切り欠き部分が合っておらず、隙間が空いていることに気づきます
【リアのエスカッションとピックガードの間に隙間があります】
元がP-90搭載の1954年モデルだったことを考えると、ハムバッカーに換装したことで切り欠きのサイズが合わず、後年のハムバッカー搭載モデル用のピックガードを持ってきたのだと思いますが、それでもこのような状態になっている訳です
その理由は、カスタマイズを請け負ったショップ(あるいはオーナー本人)が、ピックアップを載せ換えるに当たって、P-90のキャビティーを前後左右に均等に拡張するのではなく、ボディー中央側のラインをそのまま生かし、ブリッジ方向にだけ広げた結果です。そのせいで両ピックアップの間隔は広がり、リアピックアップのエスカッションの1弦側はバーブリッジに接触しています。これは当然そのサウンドにも影響を与えているはずで、音色はよりトレブリーな方向へシフトしているといわれます。
私の2本目のオックスブラッドは、これを忠実に再現してみました。
GRECOのコピーモデル等はこういった点は再現していないので、どういう音色になるのか知りたかったのです
工事は思ったより大変で、リアPUキャビティーの上半分を木材で埋め、あらためてリア方向に5mmほど穴を広げました。トップのリフィニッシュも終えて各パーツを組み込み、最後にピックガードを取り付けてみると、まさにアノ「隙間」が再現されています
エスカッションもブリッジにくっついています
ただし良いことばかりではなく、欠点もあります
予期せぬことで1弦だけが早い段階で切れて、1本だけ張りかえようと思っても、全ての弦をベロンベロンに緩めてブリッジを取り外さない限り、1弦だけの交換はできません
普通に全部交換する際も、ブリッジに6本通してからやることになりますが、普通のレスポールと違い、弦を前から通して反対方向に折り返す必要があるので、ものすごくやりづらいですフロイドよりも弦交換が面倒くさいです。
最終的な評価ですが、5mm近くブリッジ寄りに搭載されたリアピックアップの音色は当然ながらトレブルが強くなります。ただし弦の振幅が小さくなる分出力は低下してしまいます。そこでこの2本目オックスブラッドのリアピックアップには、より高出力のピックアップを搭載しました
BBAのアルバムにおけるベックの攻撃的なギタートーンは、T・ボガードとのアグレッシブなアンサンブルから生み出されていることは疑いようもない事実だと思いますが、さらに言えば、このような特殊な改造が施された唯一無二のオックスブラッドレスポールも、LIVEアルバムとなった伝説の日本公演のサウンドに一役買っていたと言えるでしょう
最後に、ベックのオックスブラッドはペグがロトマチックタイプに交換されているので、私もヘッドのペグ穴を拡張してFERNANDESのロトマチックタイプに交換しました。