【PHOTOGENICテレキャスターのフロントハム改造】
①序論
第一回目ということで、あまりハードルを高く設けず、我々初心者にもできる簡単なカスタムをご紹介します。とはいえ、知識ゼロの読者を対象とすると説明が膨大になるので、楽器の構造やエレクトロニクスの基礎については、ある程度の知識を前提とした上で話を進めていくことにします。ただし、私自身、楽器の製作や修理について専門的な教育や訓練を受けた経験が全くないので全て我流です。なので良い子のみなさまは真似しないようにしましょう
まずは素材選びです。充分な経験を積んで自信があれば、10万円を越えるような楽器を素材に選んでもいいでしょうが、我々のような素人は、まずは安価で入手できる中国製をお奨めします。ただし、今後の記事で追々取り上げることになりますが、中国製の粗製乱造ギターを本気で使える楽器に生まれ変わらせるためには、実に多くの手間をかけることになります。そういう意味では、実は中国製ギターのカスタムは上級者向けとも言えるのですが、失敗した時の損害(勉強代)が小さくてすむということでは中国製を使うことになります。
他には、元手を安くすますためにジャンク品を使うという手もありますが、これは修理の知識や技術が必要な上、新しいパーツへの交換、フレットのようの消耗品の新調など、結果として多くの労力やコストがのしかかるリスクがあります。それだけ手間と費用をかける価値のある楽器であるのか見極める必要があります。
また、70~80年代の国産楽器であれば、うまくいけば大きな価値を生むこともあり得ますが、これも製造から40年近い年月が経っていることを考えると、ジャンク品に近い状態の物が多く、オリジナル状態にこだわるとなると、単なる修理にとどまらないレストアの知識が必要になります。
それでは今回は、安ギターの代表選手PHOTOGENICのテレキャスターをフロントハム改造してみることにしましょう。中古ですがキズ一つない新同品です。キャンディーレッドよりも深みのある美しいワインメタリックです。私はこれを2016年10月3日に8640円で買ってきました。PHOTOGENICでは初めて見るバウンドBODYが目を惹きました。
では何段階かに分けて、実際の作業をご紹介することにしましょう。
作業①【分解】
まず弦を外してから電動ドライバードリルでネジというネジを外していきます。FENDER系のギター・ベースは生産効率を考えて設計されているので分解も驚くほど簡単で、15分もあれば完全にバラバラになります。初めての人でも30分はかからないでしょう。スタートする時にハンダごてをコンセントを差し込んでおけば、全てのハードウェアーを外し終わった時点で「こて」の予熱も終わっており、そのまま電装系パーツのハンダ外し作業にスムーズに進めます。
私の場合はサーキットも大幅に改造することが多いのと、中国製の無駄に長い配線材や、雑なハンダ作業、不都合こそないものの効率的ではないワイヤーの取り回し等、気に入らない部分を全てやり直すので、ポットやジャックも全部外します。
私は全てのパーツが何なのかひと目で分かるので、「大きなパーツ」と「ネジ類」の2つに分けて箱に入れるだけですが、初心者はもう少し細かく分類し、それが何なのかメモを残しておくとよいでしょう。また、配線を再現する自信のない人は、図面を残しておくか、アップで写真を撮っておくことをおすすめします。
ためしにストップウォッチで計測してみたところ、15分越えちゃいましたね
今夜は前置きが長くなったので、作業②【塗装剥がし】については次回記事にします