グッド・ジョブ媚薬8 黙示禄103 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「そうなんですけど、企業を弱体化させている総会屋や
 中小企業に貸し渋りをしているのに反社会勢力にお金を貸している
銀行を中々取り締まれない状況なのです」
「ひどい。日本の企業は清廉潔白だと思っていたわ」
「すみません、日本人は元来勤勉で手先が器用で
会社の上司や御上の言う事には逆らう事が出来ない人種なんです。
政治家にとってこんなに扱いやすい国民はいない訳で
往々にして政治家は自分が有能だと勘違いするのです」
「ねえ亮。あなたはアメリカに行けばもっと実力発揮できる、
 私と一緒にアメリカに行って仕事をしない。あなたの友達が
 アメリカにたくさんいるでしょう」
「そうですね。考えておきます」
亮がキャシーの気持ちを汲んで答えると
キャシーは自分のお腹を撫でててニコニコ笑った。

「ケイトパンケーキ焼きあがったよ!」
亮はケイトを呼んだ。

~~~~~
亮とケイトが仕度が終わって地下の駐車場に降りた。
「ケイト、その格好いいですね」
「そう、ありがとう」
黒いタイトスカートのスーツに黒いメガネを掛けたケイトが嬉しそうに笑った。
「どう見てもビジネスウーマン・・・」
亮は何故がどきどきしていた
ケイトは嬉しそうに笑って背筋を伸ばし大股で歩き車に乗った。
「ケイト、もしもの時の為にシートベルトをしっかりしてください」
「ええ、しているけど。どうしたの?」
「ひょっとしたらひょっとするかも」
亮は駐車場を出ると右に曲がりF電機の株式総会が行われる丸ノ内の
東京フォーラムへ向かった。

そして麻布十番の近くで車が後ろに付いた。
「来たな!」
亮はルームミラーで後ろの車を確認すると
サングラスをかけた男が乗っていた。
「何?どうしたの?」
ケイトは亮が厳しい顔つきが変わったのに気付き
聞いた。
「僕を付けています。ひょっとしたら株式総会に行かないように
塩見が妨害をするかもしれません」
「大丈夫なの?」
「ええ、ちょっとスピードを出します。掴まっていてください」
亮はアクセルを踏み目の前に東京タワーが見える一の橋交差点で
都道415号線を横切り赤羽橋方面に向かうと後ろの車も
スピードを上げて付いて来た。
亮は赤羽橋の交差点を左に曲がり増上寺と東京プリンスホテルの脇の道を
ハンドルを切って右に曲がった。
「キャ!」
ケイトは亮の方に体を寄せた。
「バシッ」
リアのガラスから音が聞こえるとケイトが振り返った。
「な、何の音?」
「弾丸が当たった音です。大丈夫ですダイヤモンドと同じ硬さの
炭素繊維ボードですから」
「こんな事アメリカでも無かった」
ケイトは体を屈めた。
「済みません、物騒で!」
「私たちを殺すつもり?」
「いや、警告だと思います」
その2車線だが両側が壁に囲まれ視界が悪く狭い
その道を亮は全速寮で走り抜けた日比谷通りに出でた。
「キャー、ぶつかる」
日比谷通りを走って来た車が追突しそうになって
ケイトは足をつっぱらせた。
「あはは、ごめん」
亮はそのまますスピードを落とさず
日比谷に向かって走った。
「追ってこないわ」
ケイトは後ろを振り帰って確認した。
「普通の人間にはあれで十分脅しになりますからね。
 もう追ってこないと思いますよ」