ホラー小説 地獄タクシーⅡ 八章 髪鬼 31 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

そこには獣のよう真っ黒に毛で覆われた少年がいたベッドに横たわった

「なんってこった」

「死んでいるんですか?」

「生きていたらこの世界にいない」

礼司が近づくと全身に30cmくらいの髪の毛が刺さって

まるでゴリラのように見え

口の中には大きなフランスパンを口に突っ込んだように髪が入っていた


「気持ち悪い」

山野は少年の異様な死に方に

恐怖を覚えていた

「昨日殺されていたんだな」

「うん」

「せっかく浜田が注意したのに」

「でも、どうしてここに死体があるんですかね」

山野が不思議そうな顔をして礼司を見ると

一瞬、間を置いた礼司は

「逃げろ」

礼司は山野と魔美の肩を叩いた

すると少年の口の毛が伸びだし魔美を襲った

「キャー」

「まったく、女の子が好きなんだから」



礼司はその毛を切ると魔美は這いながら部室を飛び出し

礼司は部室のドアを閉めた

二人は階段を駆け下りると

玄関のドアで待っていた

「どうした、早く出ろ」

礼司が言うと

「だって、外にも」

「三つ数えたらドアを開けろ」

「はい」

「3.2.1」

山野がドアを開けると礼司勢い良く外へ飛び出した

「魔美先に行け」

「はい」


魔美の後に山野が続き礼司は後から来る髪の束を切りながら

車へ向った

その様子を見ていた屡奈は根元に向って矢を放った

矢が当たった部分は煙を出して切れて礼司たちに足元に

「ドスン、ドスン」と音を立てて落ちてきた

「二人とも気をつけろ当たると怪我するぞ」

礼司たちは屡奈のお陰で車に乗り込むと

髪は車を覆いそれを持ち上げようとしていた

「やばい」

礼司はノブを取り付けエンジンをかけた

すると、車を多いかぶせようとしていた

髪は蛸の足のように丸まって離れていった

「危機一髪だな」

礼司が言うと

「あはは、それはしゃれか?」

金子は笑っていた

「笑い事じゃないですよ先生」

「わるい、わるい」

金子は首をすくめた


「飛田家の少年死んでいました。というよりもう鬼化していた」

「えっ!!」

屡奈が口を押さえた

「たぶん、飛田さんの奥さんは息子が昨日の夜に鬼に殺されていて

 それを隠していたんでしょうね」

山野が体を乗り出して言うと

「と言うことは、息子が岡本譲さんを轢いたのかしら?」

魔美が飛田の家を見て自分の息子に限ってという

馬鹿親が招いた事件だと考えていた


「ありえるな、飛田都議が息子をかばうために

 国松光男に代わりに出頭させた」

「なるほど。自分の立場もですね」

「うん」


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