ホラー小説 地獄タクシーⅡ 七章 鏡鬼11 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「おお」

はじめて武鬼を見る浜田と由美は

あまりの大きさに声を上げた

礼司が後ろを振り返ると

「おお登場したな」


「隊長。く、首が無いです」

 浜田が指をさした

「ああ、だからうってつけなんだよ。

 首がないから。あはは」

「でも、こいつは何者ですか?」

「味方だよ、俺たちが退治した鬼は自分で

 操れる、浜田は汗鬼と煙鬼を操れるはずだ」

「そうなんですか?」

「それで私が動物の言葉が話かるのね」

 由美が言った

「ああ、そうだ」

「でも、こいつがいても天井から

 鏡のかけらが落ちてきますよ」

「いや、今回現れた鏡は人間の心の中

 を映すしているだけだ」

「えっ?」

「浜田」

「はい」



「魔美のスカートの中身を見たかったよな」

「はっ?」

「見たかったろう」

「はあ」

 浜田は動揺して返事をした

「俺は由美の胸が見たかった」

「いやらしい」

 魔美が軽蔑をするように言った

「そして、誰かは鏡の破片が天井から

 落ちてくる不安を抱いた。

 誰かは廊下の先が見えない事を不安に思った」

「それは私が思ったわ」

 由美が天井を見た

「じゃあどうすれば」



「あの、四階の破片のある部屋に何も考えず

 目をつぶったまま行くんだ」

「サングラスでは」

「だめだ、見えればまた同じ事を考える」

「なるほど」

「俺一人で行くぞ」

「それは危険では」

「四人の誰かが少しでも考えたら終わりだ、だから俺が行く」

「分かりました、気をつけて」



「武鬼行け!」

 礼司は武鬼に合図を送ると

 甲冑の紐を握り後ろを付いて行った

「1・2・3」礼司は歩数を数えながら

 武鬼が正面のドアを開けた音を聞いて

「24歩か」

 礼司は部屋に入り目を開くと

 テーブルの上に有った鏡の破片をシルクの袋に入れた

「任務完了・・・・・・・・・・・・・・・なわけないか」

 回りも見渡し

「鏡鬼がいない」



礼司は部屋を飛び出し

三人の下へ走った

「鏡鬼がいないぞ」

「えっ?」

浜田が驚いて言った

「土田は?」

「鬼の世界にはいないわよ」

「じゃあ向こうに戻るぞ」

「はい」



11時32分

元の世界にもどると、浜田が池袋警察に電話をした

向こうからの返事は歯切れの悪い返事が返ってきた