家の小さなお風呂では父親と一緒に
入った記憶が無かったのでドキドキした。
ホテルの浴室で父親は頭を洗って背中を流してくれた。
優子は、交代に父親の背中を洗ったがその広い背中は足を踏ん張ってこすらないと、落ちないような気がした。
「優子、もう一緒に風呂に入れないな。」
「どうして?」
「悪かったな、はずかしだろう」
優子の小さく膨らんだ胸を見ていった。
「大丈夫だよ。いつでも背中流してあげるよ、大人になっても」
優子の言葉に父親は照れくさそうに笑った
父親はビールを飲みながら。料理をつまみテレビを見ていた。
優子がうとうとしていると、
「もう寝ろ」父親親が言った
「うん」
優子はそう言って窓際のベッドにもぐりこんだ。
しばらくすると、久美子が部屋入って来て、
ぼそぼそと言う声がいつしか久美子の
うめき声のような声に変わり声で
目を開けると、父親に乗った久美子の
裸が見えた。
そのいつまでも続くその声に、
優子は反対方向を向いて耳をふさいだ。
優子は、朝6時に目を覚ますと久美子は
すでに居らず、父親はぐっすり寝ていた。
優子は目の前に見える大通りの
車の流れを見て
しばらく、ぼーとしていると、
眠くなり父親の布団にもぐりこみ顔を胸に
突っ込んだ父親は目も開けず
頭をなで手くれた。
その父親の匂いは土が乾いたような
とても安心できる匂いだった
10時にホテルをチェックアウトし
千葉方面に向かって不動産屋を
探すと総武線
10分くらいの飲み屋が立ち並ぶ
一角にある2LDKの新築に近い
綺麗な部屋を選んだ。
「お父親さん結婚するの?」
「ああ、しばらく立ったらな」
「由紀子に会いに行ってもいい」
優子は入院中の由紀子を気遣って
父親に聞いた
「いいけど、お母さんに会っちゃだめだぞ」
「うん」
翌日、久美子は今まで住んでいた
1DKの部屋から荷物を、父親は
実家に預けて置いた荷物を部屋に入れた。
広い和室には、大きなベッドが
持ちこまれていた。
もう一つに部屋には洋服ダンスがあり、
優子の机は無かった。
「お父親さん、私の机は」
「いいんだよ。勉強は学校でしな、
どうせバカなんだから寝る場所はあるだろう」
「うん」つまらなそうに答えると。
「うんじゃない、はいだろう。」
「はい」