都道府県ビルの手前を左に、
そしてすぐに右に曲がって
海上ビルに着くと大きな
回転ドアを回し、突き当たりの
エレベーターのボタンを押した。
「ふう、しんど」
「うん、追ってきているかな三匹」
「ああ、エレベーターが開いたら、いたりしてな」
「あれ、一〇階」
「いいんだよ」
エレベーターのドアが開くと二人は
ローラーブレードを脱いで
東側の部屋の窓際に立った。
「このあたりだな、魔美ジャンプしろ」
「ほい」
二人は床を抜け、迷彩服を着た男の上に落ちた。
礼司は男の手をつかみながら魔美に言った。
「もう一度ジャンプだ」
三人は床を抜けてオフィスの机の上に落ちた。
「魔美、ここは鬼の世界だよな」
「そうよ」
男はリモコンのボタンを手に持ち、
時々ニュースで聞く聞きなれた言葉で威嚇していた。
「たぶん、〝押すぞ〟と言ってるぞ」
「うん」
「押せ押せ、何回でも。あはは」
男の後ろには三匹の鬼が宙に浮いていた。
「気づいていないらしい」
牡丹の鬼がスカートを広げて背後から男を襲った。
バキバキという音と共に床が血で染まった。
「おい、今のうちだ。魔美、戻るぞ」
礼司はリモコンを持って階段を駆け下りたが、
縞とやばねの鬼が追いかけてきた。
海上ビルを出ると、都道府県ビルの
地下の入り口に入って隠れた。
礼司は手に持ったナイフでやばねの後ろから飛びついた。
「天気にならないと首をチョンときるぞ!」
やばね柄の舞鬼の首がごろんと地面に落ちた。
さらに、縞の鬼の攻撃をかわした礼司は、
地下道をぬけて都道府県ビルのエレベーターの前に立った。
「さっきのパン屋の店員の柄だ」
礼司はピストルを両手に持ち、
狙いを定めて縞の鬼の頭を狙った。
パーンと乾いた音がした。
「やったね、隊長さん」
「ああ。でも、もう弾がないぞ」
「残り一匹はナイフでやるしかないわ。私も手伝うね」
「サンキュー。最後は牡丹ちゃんか」
「いま、どの辺りかな」
「このビルの入り口辺りだ」
エレベーターのチーンと言う音のにドアが開いた。
無言で二人が乗ったエレベーターが一五階に着くと、
エレベーターホールの窓から夜景が見えた。
「静かだな、魔美」
「うん」
「二三時五五分、行くぞ」
「はい」
二人は手をつないで壁にぶつかった。
その向うにはテロリスト四人と核爆弾がまっていた