「うん、首都高一周でいいのかな」
「はい、じゃあこのシフトノブつけてくれる」
それは、金色に光る鬼の顔の形をしたノブだった。
「何だこれ」
「何も聞かないで」
少女は礼司の目を見つめて話した
「ま、しょうがない」
ハンドルの脇のコラムシフトのノブを回し
取り替えた。一瞬車が光った。
「ん?、何か変だな?」
「大丈夫よ。きっと。ふふふ」
「じゃあ行くか、シートベルトしろよ」
「うん」
エンジンをかけると、キーンと言う音がした。
「ん」礼司が変な声を出した
料金メーターの貸切ボタンを
押してタクシーを走らすと
「後を見て」少女が言った。
礼司が車を止めて振り返ると
「な、なんだ」
それは、さっきまで乗っていたタクシーだった。
「おい、どういう訳だ」
「あはは、これね魂だけの車、夜野さんもね」
「なに、それにどうして俺の名前知ってる」
「ここに書いてあるじゃない、私、魔美よろしく」
「意味がわからないぞ」
「まあいいでしょ。お金払うから」
「金かあ」礼司はしぶしぶ車を走らせた
タクシーは青山墓地を抜け246号線に
出て右に曲がり霞ヶ関のランプに向った。
つづく