Shodai Adventure Mountain 小岱山トレイルランニング、通称:SAMに参戦して参りました。
トレイルランニング世界選手権日本代表 地元の荒木宏太さんコースプロデュースの九州屈指の人気大会。
しかも今回は女子日本代表斉藤綾乃さんがゲストランナー。
日本代表揃い踏みです。
しかもこのお二人は僕が昨年12月に参戦した伊豆トレイルジャーニーの男子・女子それぞれの優勝者でもあります。
さて、SAMに話を戻しましょう。
ここのコースはロングで22㎞ 累積標高 1,800m。ショートで14㎞ 累積標高 800mです。
僕はロングにエントリー。
トレイルランの大会に出る時はいつもそうですが、リザルト用紙の1枚目に載る順位でありたいと願いながら走ります。
もちろん大きな大会で参加人数によってはそれは到底叶わない事も多いのですが、九州エリアのローカル大会では射程圏内。
今回も辛うじて1枚目に名前が載りました。
僕のようなトレラン愛好者にとっては順位ではないといいつつも、そこはやはり競技。
競技であれば順位も出る。
僕は順位が出る競技そのものを楽しむという事もあっていいのではないかと思うのですが、楽しみ方は人それぞれです。
制限時間一杯を使って山を楽しむという事も大いに有りです。
これだけのランナーが今回走りました。
楽しみ方も百者百様です。
またまた脱線してしまいました。
話はSAMです。
この大会は蓮華院誕生寺奥之院の境内がスタート・フィニッシュ地点という珍しい大会です。
しかもスタート前はここのお寺のお坊さんらが我々ランナーの安全を祈願してくれます。
これがSAMの大事な儀式なのです。
選ばれたランナーの皆さんが、お坊さんの合図で世界一の梵鐘を3回突きます。
僕らの心も引き締まります。
ショート部門がスタートしてから15分後、ロング部門も出発しました。
スタートしてからは境内をぐるっと回りながら700mほど走り、その後外のロードに飛び出します。
奥之院から笹千里駐車場横まではロードが続きます。
そして一旦トレイルに入り一番下の蛇ヶ谷公園まで延びる遊歩道を走ります。
再び九州看護福祉大学横の脇道までしばらくロードが続きます。
かなりのスピードパートです。
しかし走れるからといって、ここであまりにも飛ばし過ぎると後からそのツケは回ってきます。
誰かが言った言葉を拝借すると、
「タイムの貯金は身体の借金」です。
さて、九州看護福祉大学横の脇道を登るとようやく初めてのトレイルが現れます。
しかもけっこうな激坂です。
この登りがてっぺんにある金比羅宮まで続きます。
この金毘羅宮が第1チェックポイントです。
昨年までは目視で行なっていたものを、今回からはゼッケンについているバーコードを端末で読み取る仕組みになっていました。
ここからは再びロードに出るまで下りトレイルです。
けっこうな勾配の下りでしかも木の根が多く露出しているので、転倒に注意が必要です。
ガードレールの隙間からちょこんと出て、登りのロードを宮本牧場の長閑な風景を横目にぐんぐん上がります。
我慢のロードです。
仁王ヶ滝に通じる登山口までひた走ります。
ここに来るまでにかなりの汗をかいていました。
暑いです。
やがて仁王ヶ滝登山口に到達しました。
しばらくトレイルを登っていくと、神々しい風景が目の前に広がります。
仁王ヶ滝です。
滝に沿うように作られた急登の遊歩道をえっちらおっちら登り詰めます。
もちろん走るなんて出来ません。
草千里駐車場に着く頃にはかなりの体力が消耗されていました。
ここからはいよいよ第1のピーク、観音岳へストレートに登頂、と思いきや途中で左に折れ小岱山キャンプ場に回されます。
このキャンプ場にはエイドがあります。
知り合いのトレイルランナーがボランティアスタッフで詰めていて、
「キツい!疲れたよ!」
とありのままの思いを口にしました。
このエイドで美味しいイチゴを3つほどいただき、すぐに出発しました。
ここからが本当の観音岳登頂ルートの始まりです。
登りしかありません。
ぐいぐいとノンストップで登り、ピークに辿り着きました。
頂上ではたくさんのハイカーの方々が思い思いに寛いでいます。
それだけ天気も良かったのです。
しかし、僕はここで止まる事なくそのまま下山しました。
急降下で観音岳を下り終え、次の頂、筒ヶ岳へと登る樺登山口にやってきました。
ここは昨年、極寒の中で開催されたこの大会で僕がボランティアスタッフとして参加した際、選手誘導で立った場所です。
あの時は寒すぎた。
それに比べると、今年はなんと恵まれた天候なのだろう。
ここまでおよそ14㎞。
すでに半分以上進んでいますが、このコースはここからが始まりだと言っても良いのではないかと思うくらい、登り下りはもちろん、色々なアドベンチャー的な要素がこの後出てきます。
樺登山口から筒ヶ岳はけっこう長い距離を登らなければなりません。
登っても登っても一向に頂上らしきものが見えません。
しかも一旦、少しですが下らされます。
僕はこのパートが大事なポイントになると踏んでいました。
ここをどれだけ辛抱してペースダウンを最小限にして登れるかで、その後のタイムに影響してきます。
途中で先に行ってしまったランナー仲間に追いつきました。
脚の調子が悪いらしく、ペースダウンして進むと言うので、先に行かせてもらいました。
彼の走力からすればまたどこかで僕に追いつくでしょう。
ようやく筒ヶ岳の頂上に到達。
ここは第2チェックポイントです。
景色は最高です。
目に焼き付けてから下山を開始しました。
ここからが悪戦苦闘の連続でした。
ガレ場などテクニカルな下りに脚は攣りかけるわ、派手に転倒するわ、もう散々でした。
ようやく関門のS地点にやってきました。
時間は2時間半ぐらい。
このペースで行くと3時間半でのフィニッシュは行けるかなというところでした。
しかし、そうそう簡単には行きませんでした。
再び観音岳へと登頂するのですが、これがまた半端無い。
崖をよじ登り、よじ登り、よじ登り。
急登を一歩ずつ、一歩ずつ、一歩ずつ。
ここでもう体力を使い果たすかもしれない、そんな厳しさがありました。
なるほど、大会名にもあるアドベンチャーとはこの事を指すのかもしれないな。
いや、これはアドベンチャーとかそういうどこかのテーマパークにあるようなアトラクション的な長閑さではなく、完全な拷問レベルだよ、これは。
そんな事を思いながら観音岳を登って行きました。
最後のチェックポイントである二度目の観音岳頂上に着いた時には、脚はすでに終わりかけていました。
でもこの脚で最後の3㎞の下りを駆け下りなければなりません。
私設エイドで出して頂いていたコーラを一杯だけいただきました。
ハイカーの方々は相変わらずのんびりと頂上からの展望をお弁当を広げながら楽しんでいらっしゃいました。
僕はそれを恨めしげに横目で見ながら、泣く泣く下山を開始。
1人速いランナーに抜かれた以外は、予想に反してなかなか追いつかれませんでした。
しかし最後にトリックに引っかかりました。
蛇ヶ谷公園まで下りる登山道を途中で右に折れ、蓮華院誕生寺奥之院まで下りて行くのですが、その手前にキャンプ場まで伸びる右折ルートがあります。
僕はこのポイントで迷い、立ち止まり、仕方なくダウンロードしたヤマップの地図を見ました。
ここではなくこの先だと分かった時には、後続ランナーに追いつかれてしまい、僕は諦め彼らについて行く事にしました。
フィニッシュ地点のお寺さんに続くロードに飛び出した所には、これまた知り合いのトレイルランナーの方々が待ち構えてくれていて、最後の力をもらいました。
応援って素晴らしい。
ありがたかったです。
来年はまたボランティアに戻ろうと思った瞬間でもありました。
ラストはそこにいるみんなの温かい拍手に包まれながらフィニッシュテープを切りました。
まかないのうどんとまんじゅうで再び力を取り戻せました。
トレイルランニングってやっぱり素晴らしい。
コースとか山とか景色とか自然とかも素晴らしいに決まってるけど、なんといってもスタッフとランナーとが一緒に協力しながら作り出すものなんだという事が素晴らしい。
そう思いながら帰路につきました。
この後、汗冷えが原因なのか風邪を引いてしまい2日間寝込んでしまったオマケまでついてきました。