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あのとき
私に微笑みかけてくれた神様を
ずっと知っていた気がする
会ったことなど一度もないのに
何度も何度も会っていた気がする
その微笑みは私を安堵させ
いつだって自分に還れる気にする
少しのあいだ忘れていただけで
本当のことを知っている気がする
ずっとずっと知っていた気がする
このことを誰かに伝えたくて
生まれてきた気がする
見えないはずのあなたに
確かに触れる瞬間がある
初めて触れたはずなのに
懐かしくて堪らなくなる
時計の針も意味を成さない
今という永遠の中で
きっとずっと一緒にいた気がする
それを神様として
遠くに置いていた気がする
絶対に辿り着けない処に
置いていた気がする
その神様の正体に気づいたとき
私は一瞬騙された顔をして
そうして微笑んだ気がする
あのときの神様のように
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stand.fmさんで詩の朗読をはじめました
よろしければ遊びにいらしてくださいね
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note 創作大賞2024 応募作品
「いつかまたね」と言える日まで