横須賀市民40万人をブロークン・イングリッシュスピーカーにする!! -2ページ目

横須賀市民40万人をブロークン・イングリッシュスピーカーにする!!

着物をトレードマークに、
「横須賀市民40万人を、ブロークンイングリッシュスピーカーに!」の目標に向けて各種活動中。
英会話レッスン・日英、英日翻訳&通訳承ります。

ほぼノンフィクションビジネス小説「(仮題)破天荒ダック」No.4はこちら

 

https://ameblo.jp/runbeginner100km/entry-12463847692.html

 

2016年4月18日(日)、僕は、ベトナムホーチミンに降り立った。

「うお〜!着いた〜!これがベトナムか〜!」

ベトナム、ホーチミンにある、タンソンニャット空港に着いた僕は、地方から上京したばかりの大学生のように、見るもの全てが珍しく、お〜!わ〜!と感嘆するばかりだった。が、そうも言っていられなかった。荷物を受け取り、出迎えられたのは、

「●×▲■?!@■▲●?」

と僕にとって意味不明なベトナム語で、まくし立てるように客の奪い合いをする、タクシー運転手達だった。

(うわ。何言ってるのか全然分からない。。)

と思いながら、彼らの間を恐る恐る通り抜けていくと、

「Excuse me? Where do you wanna go?」

(お!英語が通じる人もいる!)

「I wanna go this place.」

と決して上手ではない英語で言いながら、会社の住所を見せる。

「Oh〜!COMVIM CENTER! Ok! I know well this palce!Plz follow me!」

と、言われ、言葉が通じる事に安心感を覚えた僕は、『LINMAI TAXI』と書かれたタクシーに乗り込む。荷物もタクシーの運ちゃんが運んでくれたし、

(親切だな〜。これで何とか会社に向かえそうだ。)

と一安心していた。運ちゃんに、

「How long does it take?」

と聞くと、

「This is the rush hour so maybe 1 hour.」

(1時間かかるのか。事前に調べたら、40分程度だったけど、ラッシュアワーだから仕方ないか)

と納得して、あとは物珍しいホーチミンの街の様子に夢中になった。

(あの、バイクの荷台に乗ってる緑色の袋の中身は何だろう?水が垂れているから、氷なのかな?)

(うわ!あのバイク、後ろに荷物積みすぎじゃね!?)

(5人乗り!?曲芸じゃないんだから。。)

と、驚きがあり過ぎて、どの位の時間タクシーに乗っているのか、全く気にしていなかった。だが、もう40分は過ぎているのに、Google map上の位置情報は、COMVIM CENTERに全く近付かない。

(これは、流石におかしい。遠回りしてる?)

と思い、

「Hey I think you go wrong way!」

「No this is the fastest way to your place」

「No I check on the google map!!」

「No No!」

こんなやり取りをしていて、埒が明かない。

(こいつ、初めてベトナム来た奴だからって、なめてるな。)

と気付き、

「Hey!!」

と、小学校時代の合唱団と、中高大のバドミントン部時代の声出しと、SOCIAL横浜支社時代のカラオケで鍛え上げた自慢の喉で、耳をつんざくような大声を上げた。

「If you don't go my place , I will get off!! Stop now!!」

と続けると、

流石にびっくりしたらしい運転手が、

「Ok Ok」

と進行方向を変えた。

(全く、油断も隙もないな。。)

と思うと同時に、東南アジア旅行は慣れていると思っていた自分の迂闊さ加減に、苦笑するばかりだった。

(日本で平和ボケしてたんだな。そう言えば、しばらく東南アジア旅行もしてないし。もう騙されないぞ。気を引き締めないと!)

そんな事を考えているうちに、タクシーは、COMVIM CENTERに着いた。

遠回りされた分のお金は支払わないぞ!と交渉しようかとも思ったが、家に案内してくれる不動産屋さんとの待ち合わせの時間に既に遅れていたため、何も言わずカードで支払いを終えた。

(ふう。ようやく着いた。さて、COMVIM CENTERで待ち合わせのはずだけど。。)

辺りを見回すと、こちらに近付いてくる小柄な男性の姿が目に入った。

明日に続く

ほぼノンフィクションビジネス小説「(仮題)破天荒ダック」No.3はこちら

 

https://ameblo.jp/runbeginner100km/entry-12463627981.html

 

事務所を出て、外で待っていると、数分で本橋先輩が出てきた。

「お待たせ!さて、どこ行こうか?」

「そうですね。『かど松』とかどうでしょう?」

「いいね!そうしよう!」

僕らは、関内駅と反対側に歩き始めた。かど松は、蕎麦屋だが、ランチはリーズナブルで豊富な品揃えで、しかもボリュームもあり美味い。夜も遅くまでやっているので、SOCIAL の社員御用達の店だ。

ついて、愛想の良い少しハスキーがかった声の女将さんが、おしぼりを用意してくれる。

「本橋さん、お疲れ様です!いつもありがとうございます!」

「いやいや、女将さんの顔見に来ただけだから!顔見たから帰りますよ!」

「ちょっと!そんな事言わずに、2〜3杯やっていって下さい!始めは、瓶ビールで良いですか?」

「はい!グラス2つね!」

本橋さんとそんなやり取りを終えた女将さんが、勢いよく奥に引っ込んでいく。周りを見渡すと、今夜もなかなか繁盛しているようだ。もう夜も9時を回る頃だから、既に顔の赤いサラリーマンもいる。

「さてと、お前、海外勤務決まったんだってな?」

「はい。決まりました。」

「どこ行くんだ?」

「ベトナムです。」

「ベトナム!?お前、インドネシア希望とか行ってなかったっけ?」

「はい。そうなんですけど、行けるならどこへでも!って感じなので。」

「そうか。おめでとう!寂しくはなるけどな。頑張れよ!」

「はい!ありがとうございます!」

「お前、現地の人と結婚したりするんじゃね〜の?付き合うとすぐ、『結婚する!』って言い出すからな!ハハハ!」

女将さんが、瓶ビールを持ってやって来た。

「はい。お待たせしました〜。お注ぎしますね。」

「あ、ありがとうございます。女将さん、こいつね、今度異動する事になって、ベトナム行くんだよ!」

「え!ベトナム!良いところじゃないですか!食べ物美味しいって聞くし!」

ビールを注ぎながら、テンポ良く応答する女将さん。本橋先輩のノリも慣れたものだ。

「へ〜女将さん、ベトナム知ってるんだ!」

「知ってるって言っても、友達が旅行で行った感想を聞いた位ですけどね。フォーとか、生春巻きとかが美味しいらしいですね!女性もキレイだし!アオザイって検索すると、写真が出て来ますよ!」

「へ〜!これで決まったな!お前、ベトナム人の女性と結婚して、永住だ!ハハハ!」

「良いんじゃないですか?本当に美人みたいですよ〜!親日の国だって聞くし。」

「いや!行く前から勘弁して下さいよ!僕もベトナム行った事なくって、全然現地の事分かってないんですから。」

「あ〜、お前もベトナムは行った事ないんだ!東南アジアに結構行ってるって聞いたから、行った事あるのかと思ってたよ。」

「ベトナムは、ないんですよね。東南アジアで行った事あるのは、マレーシア、インドネシア、シンガポール、カンボジアですね。」

「とりあえず、今日はお祝いですね。おめでとうございます!」

女将さんは、他のテーブルから注文が入り、ササッといなくなった。

「じゃあ、とりあえず、おめでとう!向こうでも頑張れよ!」

「ありがとうございます!頑張ります!」

僕は、先ほど言われた、聞き慣れない『アオザイ』という言葉をググってみた。

「お!本橋先輩!本当にベトナムの女性凄いキレイです!」

「う〜ん、キレイだけど、俺は正直あんまりタイプじゃないかな〜」

「そうですか?僕、凄いタイプだな〜」

「お前、やっぱりDNAで東南アジアに行く事に決まってたんだな。」

「それは確かにあるかも知れませんね。ウチの父親、昔ダイバーとして海外あちこち転々としてたらしいんで」

「そうなんだ!やっぱり、血は争えないってのは本当なんだな〜。お前が現地で結婚しても、結婚式は行かないからな!ハハハ!」

「何でですか!来てくださいよ!初ベトナム良いですよきっと!」

「まあな〜。まあ、その時は呼んでくれよ!」

「とゆうか、まだ結婚すると決まった訳じゃないですから!」

そんな他愛のないやり取りをしながら、夜は更けて行った。この時は、夢だったベトナム駐在に浮き足立ち、期待に胸が膨らむばかりだった。

明日に続く…ついにベトナムへ

ほぼノンフィクション小説「(仮題)破天荒ダック」No.2はこちら

 

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どこの会社もそうだろうが、期末の業務は慌ただしく過ぎていく。既に3月も中盤にさしかかっていた。暖かい日が増え、梅を筆頭に、春の花々達も春の訪れを待ち望んでいるように見えた。

その、花達を見ながら、

(俺も、4月のベトナム渡航が待ち遠しいよ。)

そんな風に思いながら、通り過ぎた。

佐藤支社長から、寺内人事部長に渡航スケジュールを後ろ倒しにするよう依頼してもらった事もあり、ベトナムへの渡航は4月中旬に決まった。

スケジュール的には少し余裕が出たのだが、通常業務をしながら、海外部門とのやり取りも日々増えていき、中々に忙しい。仕事の合間や、休日を利用して、予防接種に行ったり、ビザ申請のために東京にある在日本ベトナム総領事館にも行く。

「大した事はしてないんだけど、慣れない事ばかりだから、何かやたら疲れるな。。」

独り言を呟きながら、東京で、渡航の為の諸手続きを終え、駅に向かう道で携帯が鳴った。

「よお!今どこでサボってんの?」

「人聞き悪い事言わないで下さいよ!ちゃんと営業回ってますって!」

電話の相手は、職場の同じチームで、一つ上の期の、本橋先輩だ。関西生まれで、ユーモアがあり、ノリが軽い。3年前に東京の支社から、横浜支社に異動して来てからの付き合いなので、もう3年になる。始めは、

(うわ。この軽いノリ、俺の苦手なタイプだ。。)

と思っていたが、後輩の面倒見も良く、同じ部署の先輩として一緒に仕事をし、飲みにも行く中で徐々に打ち解けてきた。今では、社内で一番仲の良い先輩だ。

「またまた〜。今東京だろ?」

(え、何で知ってるんだろ?)

そんな風に勘繰る僕に構わず、

「噂なんてすぐ広まるから!もう結構知ってる人もいるよ!」

「そうなんですか。」

(何て口の軽い人達だ。。内辞なんて、こんなもんか)

「まあ、それはさておき、今日夜空いてる?ちょっと付き合えよ!」

「大丈夫です!では、また夜に」

そう言うと、「じゃーな!」ブチっと電話は切れた。

(忙しない人だな〜)

クスッと笑って、歩き出した。今日は諸手続き以外に予定も入れていないから、あとは会社に戻って、引継書の作成位だ。

「お疲れ様で〜す」

夕方に会社に戻ると、まだ人はまばらだ。

「田中先輩、ちょっと良いですか?」

振り向くと一つ下の後輩の富永が遠慮がちに声を掛けていた。富永は女性で、本橋先輩含め、よく飲みに行く中だ。

(何だろう?)

「大丈夫だよ!どしたの?」

「ここじゃあれなんで、、応接室で良いですか?」

(他の人に聞かれたくない話。もしかして、、)

予想は当たった。富永に、法務部からオファーが来ていた。

ちなみに、僕に来ていたオファーのうち、海外部門を除く3つは既にお断りの連絡をしていた。

「どうしましょう。私、法務部なんて考えた事なくって、どうしたら良いと思いますか?」

「う〜ん、、そうだな。。富永はどうしたいの?」

「いや、全然検討も付かなくって。。」

「まあ、そうだよね。初めての事だし。これは俺の主観的意見だから、耳半分で聞いて欲しいんだけど、ウチの会社は、富永もよく知っている通り、営業部門が間接部門を見下している風潮がある。最近は薄まってきているけど、まだ根強いよね。法務部門は、新しい部門ではあるけど、間接部門である事に変わりはない。出世という面でも、ポジションが少ないからなかなか難しいと聞くよね。ただ、富永は、どんどん出世して、上の役職でやっていきたい!っていう感じでもないから、あまり関係ないかも知れないけど。それを知った上で、もし法務部門に興味があるのであれば、チャレンジするのは良いと思うよ!」

「そうですか。実は、興味は少しあって。新しい部門っていうのも面白そうだなと。」

「そっか。期日があるだろうから、いつまでも悩めないだろうけど、自分の直感に従うと良いと思うよ!ちなみに、もう知ってるかも知れないけど、俺は、ベトナムに行く事にしたよ」

「あ、おめでとうございます!噂では聞いてたんですけど。良かったですね!」

「うん、ありがとう。もし富永が法務部門に行ったら、お互い新しいチャレンジだね。どっちを選ぶにしても、お互い頑張ろう!」

「はい!ありがとうございました!もう少し考えてみようと思います。」

それから数日後の話だが、富永は法務部門に行くことを決めたとの事だった。相談して来た時とはうって変わって、清々しい表情をしていたので、一安心だ。

「ふう。大体終わったかな〜」

本橋先輩の方をチラッと見る。

(俺ももう少しで出られるから、お前先に出てろよ)

アイコンタクトでそう言っているのが分かったので、帰り支度をして、先に事務所を後にした。

明日に続く…

ほぼノンフィクション小説「(仮題)破天荒ダック」No.1はこちら

 

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「なぜ俺が選ばれたんだろう?」

家で一人そんな風に想いを巡らせていたが、部署の人選をするような役職ではない自分には、検討も付かず、その日は第三のビールを一本空けて眠りについた。

その翌日、驚いた事に、他の3部署からも引き抜きの声が掛かった。全く知らない、法務部門、M&A部門、営業企画部門だった。

自分としては、既に海外部門に決めていたし、勢いで返事もしてしまったのだが、気になったので、特に熱心だったM&A部門の責任者に質問してみた。

「あの〜、何で僕を選んだんですか?」

「お前は選ばれし者なんや」

(え、それだけ?)

それ以上詳しくは教えてくれなかったが、内辞なんて今までの人生で初めての経験だったので、

(こんな感じなのかな?)

と思いながら、引き抜きのお話を頂いた全ての部署の責任者に、社交辞令的に、

「もう少し考えさせて下さい。またこちらからご連絡させて頂きます。」

とだけ答えて、日常業務に戻った。

外回りを終えて、会社に戻ると、支社長が

「田中、ちょっと良いか?」

と応接室に手招きしている。

(内辞の事かな?)

と思いながら応接室に入ると、

「電話あったよな?」

「はい」

「どこからあった?」

「海外部門、法務部門、M&A部門、営業企画部門です。支社長これ何なんですか?」

「今年から、営業部門からの引き抜き制度が始まってな。引き抜くだけで、増員はしないってんだから、まったくこっちからしたら良い迷惑だよ。ハハハ。」

(そうなんだ。営業からしたら人が抜けたら困るし、そりゃそうだよな。。うう、気まずい。)

「でも、何で僕なんですか?殆どの部門の責任者の顔も知らないんですが。」

「お前、プレゼン大会で毎回壇上上がってたろ?優勝は出来てなかったけど、一番会場沸かせてたから、お前は知らなくても、皆んなは知ってるんだよ。」

「え!そうなんですか。知らなかった。」

「で、田中。お前、行くんだろ?海外部門に。」

「はい!絶対行きます!」

「そっか。お前が抜けるのは正直かなりイタイけど、ずっと言ってたからなお前。海外部門に行くなら良いよ。応援する。」

「支社長。。ありがとうございます。」

「でも、お前、いつ現地に赴任するんだ?」

「4月1日と聞いてます。」

「4月1日!?お前、一人暮らしだよな?アパートとか、引っ越しとかどうするんだ?」

「これからすぐ取り掛かかるつもりですが、、バタバタですね。ハハハ。」

「そりゃそうだろ。。国内ならまだしも。。分かった。ちょっと待ってろ。」

その場で誰かに電話をし始めた支社長。

「もしもし?寺内?俺、佐藤だけど。ウチの田中が海外部門から内辞もらってて、4月1日から現地入りするように指示受けてるらしいんだけど、流石に急過ぎるから、後ろ倒しにするよう調整してくれ。頼むよ。」

寺内さんは、人事部の部長で、佐藤支社長の同期だ。
電話を切った支社長が僕に、

「これで大丈夫だろう。とにかく、海外部門に行くまでは、まだウチの支社の人間だ。期末だから、お前も最後まで協力してくれよ。あと、忙しい中悪いが、引き継ぎ訪問もロクに出来ないだろうから、引継書徐々に作っておいてくれ。頼むな。」

「はい。色々とありがとうございます。」

支社長はスッと手を出し、

「おめっと〜」

ちょっと癖のある、いつもの言い方で、祝福してくれた。

「ありがとうございます。」

僕は支社長の目を見ながら、その手を力強く握った。

支社長は、何事もなかったかのように、業務に戻っていく。

僕は、

(支社長、本当にカッコいいな。)

と思いながら、気持ちを鎮める為にトイレに寄ってから業務に戻った。

明日に続く…

「え!?本当ですか!?はい!ぜひお願いします!」

 

2016年2月末日、まだまだ寒い日が続く最中、外回り中にその電話をもらった時、飛び上がらんばかりに喜んだ。


横浜市鶴見区にあるお客様先に訪問する前だった。

 

それは、2012年に新卒で入社してから、約4年間、
ずっと希望していた海外現地法人での駐在員の内辞だったからだ。

 

「よし!ようやく夢が叶った!海外で働ける!」

 

興奮が冷めやらない中、それを何とか押し殺しながら、
目の前の自分の業務に戻って行く。

 

「田中くん、今日は何か嬉しそうだね?何かあったの?」

 

「いえ、特にないですよ!強いて言えば、〇〇さんにお会いするのを楽しみにしていたので!」

 

「上手いこと言うね!田中くん」

 

気分が高揚しているからか、そんな軽口が自然と出て来る。

 

お客様先を後にし、会社に戻った。

 

「聞いて下さい!俺、ずっと念願だった海外駐在員として、
働ける事になったんです!」

 

と、すぐにでも言いふらしたかったのだが、
まだ内辞の段階であったため、
黙々と仕事をこなし、会社を後にした。

 

会社の最寄駅までの足取りは、軽くスキップ気味だった。不思議と寒さも感じない。

 

一人暮らしをする日吉駅近くのアパートに帰り、まずは実家横須賀に住む両親に報告。

 

「あ、お母さん?俺、4月からベトナムに駐在する事になった!」

 

「え!?ベトナムって、、また急に。そんな発展途上の国に行って大丈夫なの孝一?」

 

「大丈夫大丈夫!とにかく、これから様々準備しなきゃいけなくて忙しくなると思うから。また連絡するね!」

 

母がまだ何か言っていたようだが、一方的に切った。

まだこちらも夢見心地なんだから、少し余韻に浸らせてくれ。
そんな気持ちだった。

 

思えば、「海外で勤務する!」と夢見て入社をして、早4年が経とうとしていた。

 

これまで海外に駐在している会社の人々を見ても、皆、部長クラスだったため、

「いい加減、10年間は日本での勤務を覚悟した方が良いのかもな」

そんな風に思い始めた矢先の出来事だった。

 

僕が勤務するのは、一部上場のIT企業。OA機器を扱う商社だったが、

近年では、国内外のコンサルティングに力を入れている。

僕が入社当時から夢見ていたのは、その海外部門だ。

 

夢見ていたと言うのは、本当に文字通りで、社内で担当していた業務と言えば、

OA機器・WEBなどをご導入頂いたお客様へのコンサルティング営業であった。

 

海外と全く無関係の仕事で、始めは全く興味も湧かなかったのだが、年に2回行われる、

顧客の事業支援の成功例を競い合う「社内プレゼンテーション大会」で活躍する先輩社員の姿に憧れてからは、

それに夢中になった。

 

出世やボーナスなどを目指す他の社員とは全く違うモチベーションで働いていたが、

その大会への熱意は異常なものがあった。

 

とにかく、海外を志したものの、海外の「か」の字もない仕事をしていたので、

海外部門から辞令があった事は、正に青天の霹靂だったのだ。

 

明日に続く…