§ 消化器病変 §

症 状

*腸管型ベーチェット

消化管に潰瘍が現れるタイプ。

潰瘍は深く、小腸と大腸の間にある部分(回盲部)にできることが多く、食道から直腸にいたるまでどこにでも病変が生じます。

また潰瘍と正常な部分の境界が明瞭であることが特徴です。

内視鏡検査などの検査により、クローン病などとの鑑別が重要です。

主な症状は、腹痛、下痢、下血など



治 療

治療は、腸の炎症を抑える栄養状態の改善と維持、そして合併症の予防の観点から治療が行われます。

具体的には、5アミノサリチル酸製剤、ステロイドホルモンや抗TNFα製剤、免疫調節薬などが使われます。

一方、発熱などの全身症状が強い場合、狭窄などを伴う場合や穿孔の危険が高い場合には、完全静脈栄養療法が用いられます。

また、内科的治療で良くならない場合や、潰瘍が深くなり、腸に穴が開いてしまった場合(穿孔)は、腸からの出血を抑えるために、手術が必要になることもあります。



§ 神経病変 §

症 状

*神経型ベーチェット病

神経症状が前面に出る病型。

髄膜炎、脳幹脳炎として急性に経過する急性型と、片麻痺、小脳症状、錐体路症状(身体の動きが悪くなる、勝手に身体が震える)などの神経症状に認知症などの精神症状を来し予後不良の慢性進行型に大別。

男性に多く、だいたい1割程度の患者さんに見られます。

また、眼の症状に使われる治療薬が神経症状を引き起こすことがあるという報告があり、注意が必要。


急性型(髄膜炎、脳幹脳炎)


慢性進行型

治 療

急な発作が出現した場合には、後遺症や生命予後への影響の大きさを考えて、ステロイドのパルス療法(大量の点滴)を行い、以後は経口のステロイドにスイッチし、効果を確認しながら減量していきます。

ステロイドの大量投与は免疫力の低下による感染症に注意が必要なため、短期間に入院して行われるのが一般的です。

一方、徐々に進行する慢性進行型の治療については、免疫抑制薬、抗TNFα製剤が用いられます。



§ 血管病変 §

症 状

*血管型ベーチェット

皮膚に近い部分の表在性血栓性静脈炎が皮膚症状として見られることがあります(皮膚症状を参照)が、大きな血管に病変があったとき。

男性に多く見られ、静脈、動脈ともに症状が出ます。

頻度的に多いのは静脈の血栓症で、血流が心臓に戻らなくなって表在静脈が腫れたり、静脈瘤ができることもあります。

また、足の静脈の深い部分(深部静脈)が詰まり、足が腫れて歩きにくくなることもあります。

動脈の場合、腹部や大腿の太い血管に静脈血栓や動脈血栓や動脈瘤ができることがあります。



治 療

炎症を伴う動脈の症状では、ステロイドや免疫抑制薬、 抗TNFα製剤を用いて炎症を抑えます。

外科手術による動脈瘤や血栓の除去を試みることがありますが、手術自体の血管への刺激により再発を招きやすいこともあり、破裂のリスクなどがある場合以外は慎重に検討。

血流の促進・改善を図るため、血が固まりにくくなる抗血小板薬や抗凝固薬による治療を行うこともある。



§ 関節炎 §

症 状

副症状の中では高い頻度で出現し、繰り返し起こるのが特徴です。

ひざ、足首、手首、ひじ、肩などの大関節に腫れ、痛み、熱感が生じます

関節リウマチの症状と似ているが、手指などの小関節が侵されない点関節の変形やこわばりが見られない指先などの細い関節には症状が出ない、といった特徴から区別。


治 療

対症的には消炎鎮痛剤も活用。

効果が見られない場合は、経口ステロイドの少量使用を試みることもありますが、長期間にわたって用いることはありません。



§ 副睾丸炎 §

症 状

男性患者さんの約1割に発生。

痛みと腫れがあり、数日程度で治癒します。

出現頻度はベーチェット病全体の約6%程度で決して多いとは言えませんが、ベーチェット病以外ではあまり見かけない症状なので、診断の一助になることもあります。


治 療

数日間で睾丸の腫れが治まる場合が多いので、痛みが強いときには痛み止めを処方し様子を見ます。

数日間で睾丸の腫れが治まる場合が多いので、痛みが強いときには痛み止めを処方し様子を見ます。



以上が、ベーチェット病です。

  * ベーチェット病について

  * ベーチェット病の主症状

  * ベーチェット病の副症状




次回は、原田病についてのせていきたいと思います。