夫が亡くなり10日程経った頃、ふとアンネ

フランクの遺した言葉を思い出した。


“Dead people receive more flowers than

 the living ones because regret is stronger 

 than gratitude”.


「亡くなった人に手向ける花の方が

生きているうちに贈る花よりずっと多いのは

後悔の念が感謝の気持ちよりはるかに大きい

から」。


まだ少女だったアンネフランクの洞察力の鋭さ

には以前から感銘を受けていたが、実際にごく

身近な存在であった夫を亡くした身にとって、

この言葉は余りにもリアルに胸に響いた。


振り返ってみると、私は結婚生活というのは

「Give &Take」で当たり前と考えていた。


心の中に目に見えない線を引いて、ここまでは

私がやったから、後は夫の責任範囲だろう的な

考えをずっと持ち続けていた。


もちろん人によって得意な事やそうで無い事は

あるのでそこはある程度妥協して来たけれど、

夫のしてくれなかった事に腹を立てる方が

圧倒的に多かった。


しかし........


今一人になって、隣家のおっさんの余計な言動

にイラッとしたり、BCRのレスリーがなくなって

ずっとメソメソが続く中ふと思ったことがある。


こういう毎日の出来事をふと夫に聞いてもらえて

いたら、どうだったろう......


きっとどんな事でもそこに居る夫に口から吐き

出してしまえていたら、それで気持ちも収まって

そのまま回復に向かっていたんじゃないかと。


ならばそんな精神的安定は私にとって大きな

”Take”だったはず。


結局のところ日常のどうでも良いような会話を

通して少なくとも自分は一人じゃないって思える

事が十分幸せなのかもしれない。



そんなことを今になって考えている私はつくづく

アンネフランクに頭が上がらない。