出荷するということ | 自然が教えてくれること

自然が教えてくれること

流美農園のブログ

先日、農を学ぶ方と話したことがきっかけで、
野菜を販売するということ、出荷するということについて、いろいろ考えました。
今日は少し真面目な内容です。


野菜は植物。
種をまけば、その環境がその種にとって適していれば発芽します。

同時に、同じようなサイズに成長するために、
今の農業技術は発達しています。いちごいちごいちご

「農を学ぶ」とは、概ね「作り方を学ぶ」こと。
慣行農法の畑を通りかかると、
今の時期は大根が立派にできていて、
ブロッコリーも株が大きく成長しています。
農家さんは皆さん、作り方を研究されているから、
こんなにそろってできるのです。
農協へ出荷する場合は、サイズがそろっていることが重要ですから。


私のような自然農では、野菜を作ることはしないので、
野菜は、自分のペースで、早く成長したりのんびりだったり。
それでも、できることはできるんです。

ところが、販売そしてその結果必要になる出荷は、「野菜を作る」または「野菜ができる」とは別のプロセス。

趣味ならともかく商売であればお金に変えること、つまり多くの場合「販売」が必要だし、
そのためには「出荷」が必要。

出荷するためには、収穫作業、そして調整や袋詰め、
人でいうと出かける前にシャワーで汗を流しお化粧してお洋服着る、ということが必要です。

そしてそれらの効率が最大化できるための、圃場作り、作業場作り、が必要になってきます。
※圃場(ほじょう)とは、農産物を育てる場所のこと。

私は、よく、「みんな、畑をやってみたらいい」と言いますが、
それは、土に触れて楽しいとか、そういう意味ではなく、
やってみると、野菜の価格は何なのか?ということがよくわかるからです。

実際、野菜ができてから出荷されるまで、相当に人件費がかかっています。



これ↑、まだ小さいですが、ほうれん草。
これを「収穫」して、作業場で「調整」つまりいらない葉を落として根っこ切って、「袋詰め」という作業を、小規模の農家さんは手作業でやっています。
調整して切り落とされた葉のボリュームを見ると、驚愕します。

「その葉、別についてていいやん。
 その作業がなかったら、価格下げられるんちゃうん?
 その作業、本当に必要なん?」


まぁいらない葉がついていたら、また別のところで作業効率が悪くなることもあるので、
一概に、作業を減らしたからといって価格が下がるとは言いにくいですが……

野菜ができるということと、
出荷するということは、
まったく別ものとして考えるべきことなのです。

最初から「経営」感覚を持って農業参入する個人の方や企業は、
そういったことも含めて計画されると思います。合格

でも、右も左もわからずに「農業」に漠然と良いイメージをもって、農業参入する場合、
「野菜の品質」に焦点が当たりすぎて、
販売や出荷、特に出荷効率に目が行かないこともあります。

後から出荷作業を効率化するように圃場や作業場を設計しなおすのは結構大変なこと。
畑の形を変えるとか、そんなことになるかもしれません。
なので、最初から計画できるなら、そうしたほうが良いですね。

家庭菜園だったら、「野菜ができる」だけで十分なのですが、
商売の場合は、「野菜ができる」にプラスして「それをお金に変える」ことが必要。
そのためには、販売や出荷という作業がどうしても必要になります。

もちろん「出荷ではない農」を、アイディアを出して、自分で作っていってもいいですね。合格
私は、こちらのほうが性分に合っていると思います。

来年、再来年に向けて、今アタマを抱えて考えているところです。ニコニコ



↓流美農園では、こんな状態で、サイズもバラバラ、場所もバラバラ、種類もバラバラ。
もし出荷しようとすると、収穫・調整・袋詰めにかなりのコストがかかってきて、そのコストはお客さまに跳ね返ってしまいます……。