1968年、紅白で歌われたこの年のヒット曲といえば、


都はるみ「好きになった人」


布施明「愛の園」


千昌夫「星影のワルツ」


小川知子「ゆうべの秘密」


黒沢明とロスプリモス「たそがれの銀座」


ピンキーとキラーズ「恋の季節」


伊東ゆかり「恋のしずく」


鶴岡雅義と東京ロマンチカ「小樽のひとよ」


島倉千代子「愛のさざなみ」


北島三郎「薩摩の女」


青江三奈「伊勢佐木町ブルース」


中村晃子「虹色の湖」


美川憲一「釧路の夜」


黛ジュン「天使の誘惑」


森進一「花と蝶」


などである。


1968年のヒット曲にはご当地もののヒット曲が多い。


紅白歌唱曲のなかだけでも、小樽、釧路、銀座、伊勢佐木町、薩摩と全国津々浦々を題材にした曲が並んでいる。


これは前年までには見られなかった傾向で、「小樽のひとよ」などにしても小樽と東京の男女間を描いている。


1964年ごろには集団就職が全盛となり、東京など都会に出てくる若者が増加した。


こうしたご当地もののヒットの背景には、当時の若者が故郷を偲ぶ思い、あるいは地方から東京に出て銀座など盛り場で働く思いの共感を呼んだのかもしれない。


それまでの幅広い歌謡曲という音楽ジャンルの括りから、いわゆる私たちが現代に認識している「演歌」というジャンルが成立したのが1968年前後であるといわれている。


多くの若者が地方を出て都会で就職し、地方と都会の別が強く認識されるようになったこと、これがいわゆる「演歌」の成立のきっかけなのではないだろうか。