特養とは、「特別養護老人ホーム」の略称で、要介護3以上の方を受け入れている介護保険施設です。社会福祉法人や自治体が運営する公的施設の1つで、介護老人福祉施設とも呼ばれています。

特養の施設形態は、従来型とユニット型に分けられるのが特徴です。従来型は、2名から4名までの多床室が多く、施設全体で介護を提供。ユニット型は、利用者さん一人ひとりに個室を与え、10名以下で1つのユニットを作り、少人数で介護を行っています。

特養では利用者さんが立ち上がれなくなったり、認知症になったりしても、高度な医療が必要にならない限り住み続けることが可能です。近年では看取りにも対応している施設が増加し、終(つい)の棲家として入居を希望するご高齢者も増加傾向にあります。

特養と介護老人保健施設の違い

「介護老人保健施設」は、要介護1から5までの方を対象とした公的な介護保険施設です。老健とも呼ばれ、利用者さんの在宅復帰を目指す施設として、機能維持・改善を目的としたリハビリに力を入れています。

特養は介護ケアを受けながら長期間生活するのに対し、老健は一定期間で退去することが前提です。老健は病院と老人ホームの中間のような施設で、特養と比べると医師や看護師、理学療法士、作業療法士といった職員体制が充実しており、機能訓練の設備も整っています。

特養で提供するサービスはこちらです✨

特養では、都道府県が定めている「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」に則ってサービスを提供しています。特養における具体的なサービス内容は以下の通りです。

食事介助

食事介助は、利用者さんと同じ目線になって行います。特養では利用者さんの食習慣が変化する不安に配慮し、家庭と同じ時間帯に食事を提供。自立支援のために、できるだけ離床して食事を摂るよう促しています。

特養の食事は、栄養バランスや利用者さんの身体状況、嗜好などを考慮して提供。施設によっては季節の旬の食材を使ったり、誕生日には特別食を用意したりして、飽きさせない工夫をしています。

入浴介助

入浴介助は、利用者さんのその日の体調に合わせて介助を行い、快適なリラックスタイムを提供。お湯だけでなく脱衣所も季節に合わせて適温に保ち、利用者さんが体調を崩さないように気を配る必要があります。

大人数で入れる大浴場、一人が入浴できる個浴、檜風呂、機械浴など、施設によって入浴設備は異なります。寝たきりの方には、寝たまま入浴できる介護浴槽で介助。入浴が難しい方には、清拭を行うこともあります。

排泄介助

排泄介助は、利用者さんが立ち上がれる場合はできる限りトイレで行います。必要以上にサポートせず、プライバシーに配慮することが必要です。

利用者さんが寝たきりの場合は、居室に行き、ベッド上で排泄介助に対応。尿意や便意を感じられなくなっている方には、排尿間隔を把握して定期的にトイレに誘導します。

生活支援

生活支援は、利用者さんの居室の清掃や衣類の洗濯、買い物などに対応。利用者さんの身体に直接触れないサービス全般を指します。

リハビリテーション

リハビリテーションは、施設内で日常生活を送りながら行う生活リハビリが中心です。食事や入浴、排泄、移動など、利用者さん本人ができることは自分でするように促し、普通の生活を通じて腕や足の機能を維持・回復させることを目指しています。施設によっては必要に応じて外部の事業者に依頼したり、理学療法士や作業療法士による本格的なリハビリメニューを提供したりすることもあります。

レクリエーションやイベントの実施

レクリエーションは、リハビリを兼ねた娯楽として提供されています。手芸や習字、脳トレ、カラオケなど、多種多様なメニューを用意し、体や頭を使うことで介護予防・認知症予防に繋げているのが特徴です。

夏祭りやクリスマス会といった季節の行事、誕生日会、外出イベントなども行っており、利用者さんが笑顔で過ごせるよう工夫を凝らしています。ときにはボランティアを招いて演奏や演劇を披露することも。

また、近隣の幼稚園や保育園、小学校の子供たちと触れ合える機会を設けている施設もあり、イベントを通して積極的に地域交流を図っています。

健康管理・緊急対応

健康管理や緊急対応は、施設に配置された医師、もしくは訪問診療を行う医師や看護師が対応。緊急時や夜間は、すぐ提携医療機関に連絡が取れるようにオンコール体制を敷いています。

看取り

多くの特養では、利用者さんが希望の場所で最期を迎えられるよう、医師や看護師、介護職員が連携して看取りケアに取り組んでいます。利用者さん本人だけでなく、家族の方とも信頼関係を築くことで、最適なケアに努めることが大切です。なお、看取り介護は日常生活におけるケアの延長線上で行われます。

特養で働くのに向いている人✨

特養で働くには、体力に自信のある人やご高齢者とのコミュニケーションが得意な人が向いています。ここでは、特養で働くのに向いている人の特徴をまとめました。

体力に自信のある人

特養では、体力が求められる場面が多くあります。夜勤があったり、要介護度の高い利用者さんの体重を支えたりするため、どうしても体力的負担が大きくなりがちです。そのため体力に自信のある人は、特養で長期活躍できるでしょう。

ご高齢者のお世話をするのが好きな人

ご高齢者のお世話をするのが好きな人は、特養で働くのに向いています。適切なタイミングで気配り・心配りができれば、利用者さんも心を開きやすくなり、一人ひとりに合った介護サービスを行えるでしょう。利用者さんと積極的にコミュニケーションを取れれば、安心して過ごせる施設づくりに貢献できます。

キャリアアップを目指している人

特養で介護経験を重ねれば、自分が実現したいキャリア形成を目指すことが可能です。研修も定期的に行われるため専門知識を幅広く身につけられます。介護業界でキャリアアップしたい方は、特養で働くのに向いているでしょう。

特別養護老人ホームはこんな感じです✩⋆*॰¨̮⋆。˚