※76話の続き。。。というより、「最終話」です☆応援してくださった皆様ありがとうございました☆
俺の名前は、新宿ネロ。
・・・特に取り柄の無い普通の高校生だ・・・
一年生の時は、学校が終わったら家に帰ってゲーム三昧の日々。両親が仕事の関係でドイツで暮らしている為、俺は日本に残り一人暮らしをしていた。生活費は両親が仕送りをしてくれている為、生活に困る事は無いのだが・・・
家に帰ると、「ただいま」を言う相手も居ないため、パソコンをつけて「オンラインゲーム」をつけて、ネット上の顔も知らない相手に「チャット」で「ただいまー」と挨拶をしている。
そんな日課だった。
中学時代の仲間と久しぶりにファミレスで再会した時は、みんな彼女の話や恋愛の話等で盛り上がっていた。
かつての仲間たちは、「人並の青春」というモノを送っているらしい・・・
俺には、ネットゲームの中での関係さえあれば、学校内で友達をつくる必要は無いと思って意地を張っていたが・・・
ネット上で知り合って仲間達も「リアル(ゲームをしていない時)の生活」というのが忙しく、ネット上の知り合いとすら交流が出来ない時期もあった、特にクリスマスの時期はホントにゲーム仲間との交流は取れなかった。
このままじゃいけない・・・俺は、そう思って2年生になってから積極的に学校内で交流を取るように意識した。
自分なりに、多少努力をした事もあり・・・学校内で友達も出来た。夏休みには旅行に行く事も出来た。今までネット上でしか交流を取っていなかった俺にとっては大進歩といえる・・・良い思い出が出来た。
「モテ期」という言葉を聞いた事があった、所詮他人事だと思ったが・・・まさか、俺の身に起こるとは・・・
高校2年生の時代は、勘違いかもしれないが俺はホントに多くの女性と交流を持つことが出来たと思う・・・学校内でも2~3名、バイト先でも先輩と交流を持ち、家の近所でも年上の隣人さんと、ちょっと危ない恋をした。
正直・・・俺なんかを好きになってくれたのは、嬉しかったし・・・みんないい女性だ。出来れば、誰か一人じゃなくて「みんなと付き合いたい」とホンキで思っていた。
しかし、当然ながら俺も身体は一つしかない。複数の女性と同時に交流を持つことは出来ず、一人ずつ「その女性のからの好意とキモチ」を断っていった。(もちろん自然消滅や成り行きで交際ストップというのもあったが)
俺が一番選択に悩んだのは、同じ学校の女子2名。一人は同じクラスの女子。もう一人は隣のクラスだが家が近所の女子。
多くの時間を過ごしてきた事もあり、ホントにこの選択は悩んだ。
俺は、この時・・・自分にとってベストの選択をしたつもりだった。
俺の事を大事に思っていてくれた女子からの交際の申し出を断り・・・
俺は、自分の意志を貫き・・・家が近所で最も交流を取っていた女子を選んだ。しかしそのコは、俺を選ばなかったのだ。
つまり、俺は「モテ期」だと思っていた2年生の時期に彼女をつくる事が出来なかったのだ。
もしも、あの時・・・俺の事を一途に思ってくれた女子の告白を受け入れていれば・・・全く違う人生を送れたんじゃないか?
後悔する思いは、綺麗な程空回りをして・・・3年生に進学した時に俺は、俺の事を大事に思ってくれた女子とは違うクラスになり、交流を取る時間は一気に少なくなった。3年生になった俺達は受験生となり、一気に忙しくなったのだ。
渋谷実尋。俺の事を一番大事に思い続けてくれた女性。そして、俺はその時その思いに気づくことが出来なかった。
3年生になった俺は、元々大学受験を考えていなかった為、進路を就職活動に絞っていた。
受験勉強をしない俺は、積極的にボランティア活動に精を出した。生徒会の活動が忙しい時は積極的に手伝った。
生徒会の手伝いに積極的に手伝ったのは・・・生徒会に所属している渋谷実尋に会う為だ。
違うクラスになった俺には、とにかく話すチャンスは無い・・・
なんとか会いたい!女々しいかもしれないが、卒業までにチャンスがあれば、もう一度だけ話したかった。
【本編】
3年生になったネロ達は、受験や就職活動等で時間を使い・・・瞬く間に卒業の日を迎えた。
卒業式の日、講師陣は正装していた。
ある意味・・・生徒が主役なハズなのに、講師陣の方が目立ってるじゃん!という声もあがった。
田端景親と恋華の兄である目黒ギンは、カナリ目立った。
「ねぇねぇ、恋華のお兄ちゃんなんか・・・ホストっぽい・・・」
「ったく~・・・ホントに目立ちたがり屋なんだから~」
「あれ?もしかして・・・景親先生?」
「うん・・・教室で会った時、ビビった・・・誰?って聞きたいくらい・・・清潔になってる」
「うんうん・・・普段から、あの格好ならねー・・・大分マシなのに・・・なんで、いつも大工の棟梁みたいなんだろ~」
「多分、あの正装は・・・今日だけで、次の日から、元に戻るんだろーけど・・・」
「それでは、卒業生徒へ贈る言葉・・・学年主任、田端景親先生より頂戴しております。お願いします・・・」
卒業式の司会を務める目黒ギンの紹介で、田端景親は全校生徒の前に出てきた。
景親は、いつものダラけたオジサンというイメージは、微塵も出さず・・・
ゆっくりとした口調で、生徒達に向けて語った。
――景親先生の言葉が、心底伝わったのか・・・
イ・ヤムチャは、熱い涙を流し・・・何度も制服の袖で拭いた。
そのイ・ヤムチャの流した涙に、影響を受けたのか・・・
卒業生達は、堪え切れない涙を流すモノが続出した。
――こうして・・・俺達は、この学校を卒業した。
卒業後の俺達?
――せっかくなので、7年後の俺達の話をしよう☆
――恵比寿・イ・ヤムチャ。
卒業後大学に進学し、大学卒業後・・・学者となり、アマゾン等危険な現地に自ら出向き熱帯地域の植物の研究を行った。日本に戻ってくる度に、なんだか光り輝く玉(ドラ●ンボール)を大事そうに持って帰ってきたという・・・どーやら7つ揃えたいらしいが、3つ目以降。中々手に入らなく、時に盗まれる事もあるらしい・・・
――貴公子(プリンス)除闇。
結局・・・(俺は、本名を教えてもらう事が無かったが・・・高校卒業後、調理師の資格を習得し、念願の喫茶店を開業。なんと、そこで上野や秋葉も働いていたのだ。実は、秋葉には卒業する前に彼女が出来たらしく・・・上野は、2年生の修学旅行の帰り道、神田さんに告白したが見事にフラれ・・・そのまま彼女が出来ず、現在も独り身だ。
――そして、上野をフッた女子・・・優等生の神田那智。俺も驚いた話なんだが・・・実は、女優、歌手・・・等芸能界にデビューしたいという夢があったらしく、高校生の時から、頻繁にオーディションを受けていたらしい。そして・・・今も、アルバイトをしながらオーディションを受けているらしい・・・芸能界への夢は遠いのだ。
ネロ
「お?お前達、やってるなー☆」
――おれは、久しぶりに仕事が休みの時期に除闇の喫茶店を訪れた。
上野
「おぉ・・・久しぶりだな!新宿~」
秋葉
「よぉ♪ネロっち~☆ゆっくりしていけよー♪・・・じゃあ、マスター自分上がりますねー☆」
ネロ
「ん?あいつ、もぉ仕事終わったのか?」
上野
「アイツ・・・今日は早番の仕事で、仕事終わってからデートなんだって~・・・くっそー!なんであんな奴に、彼女が出来るんだ・・・」
那智
「お~、よちよち~♪いないいないばあっ!」
那智は、4歳くらいの幼い子を抱いてあやしていた。那智は、アイドルになるべくオーディションを受け続けているが、自身の生活費は除闇の店でアルバイトをしてやりくりしていた。
――上野に、秋葉、神田さんと・・・結構沢山の連中が除闇の喫茶店で働いているんだなー・・・
ネロ
「あ~、そのコって☆」
上野
「あー☆そうそう!アイツ等のコだよ♪大分おおきにくなってきたろ?」
那智が抱いている4歳くらいの幼い子・・・それは、除闇と恋華の子供だった。
ネロは、4年前出産した後病院で赤ん坊を抱かせてもらった事があった。それ以来会っていなかった。
幼い子供は、邪武(ジャブ)と名付けられた。
邪武は、ネロの所まで歩いてきて笑顔で頭を下げた。
ネロ
「なんっていうか・・・両親より(除闇と恋華)、礼儀正しいな☆とてもお前たちの子供とは思えないな~」
――そういや、恋華は鯖学で講師をやってるとか言ってたっけ?まぁ、こんだけの連中が揃えば、子供預けても問題ないか・・・神田さんも居るし・・・
除闇
「いや・・・礼儀正しさは、オレに似た!良いところは、全部オレの遺伝子だ☆」
ネロ
「・・・ふふ、まぁ・・・そーいう事にしてやるよ☆」
那智
「ねぇ~・・・すっごい疑問なんだけど・・・女の子からモテモテだったアンタ(除闇)が、どーしてあのコ(恋華)を選んだの?」
上野
「あーー!!それ、俺も聞きたい!」
那智と上野は、除闇の所へ恋華と結婚した理由を聞き始めた。
ネロ
「おい・・・それ、子供の居る前で聞くなよ!」
流石にマズイな・・・と思ったネロは止めようとしたが・・・除闇は堂々と答えた。
除闇
「パワー(腕力)だ!!そして、スタミナ(持久力)だ!俺の夢であった・・・喫茶店の営業には、それなりのパラメーターが必要だ・・・アイツ(恋華)にはアンドロイド並のパラメーターが備わっている!そこに俺は賭けたのだ☆」
ネロ
「おい・・・最初から、こき使うつもりで結婚したのかよ・・・」
上野
「そーいや、新宿~。渋谷(実尋)とは、卒業してから会ったりしてるのか?」
上野がネロに質問すると、その場にいた那智、除闇、共にネロに注目した。
ネロ
「ハハハ、そーいや会ってないな····」
――そうだ、俺と渋谷は、卒業してから会っていない。
☆☆
――俺は、高校三年生になってから、渋谷実尋とクラスが違うクラスとなり、会う機会は大幅に減った。二年生の時は、当たり前の様に会っていた。毎日一緒の教室で過ごした時間も、過去の話しとなった。
俺は、少しでも話をしたいと···らしくも無く、生徒会の手伝いを積極的にしたが、今にして思えば、空回りだったのだろう···
二年生の時に、渋谷実尋の思いを断ったのは、俺の方なのだから····卒業してから、7年たった。
俺は、料理が得意だった事もあり「ラーメン屋」を開業した。
何故ラーメンのかって??
ラーメンは、アイツの一番の好物だったから・・・
もしかしたら、俺のラーメンがウマイ!と世に知れ渡れば・・・
アイツは、客として現れるかも知れない。
アイツの思いを、受け入れなかった俺が今出きる事は、「ウマイ、ラーメンを作って、アイツを笑顔にする事だ。」
もしかしたら、一生会えないかも知れない!
それでも、アイツと同じように「ラーメンを愛する」お腹を空かせた人達を笑顔にする事は出きる!
-人の為に尽くせる様に努力をする。そんな俺を・・・アイツは、どこかで見ていてくれた!なら、アイツが好きになってくれた俺で、あり続けたい!-
自動ドアが開き、自動で音声が流れた。
~心に染みる一杯のラーメンを!~
~美味いラーメンを・・・もっとラーメンを!~
「・・・?へい!!らっしゃい!」
ネロは、自動で流れる音声が聴こえ来客に気づき、ドア付近に顔をだした。
「渋谷ー!!!」
「へへへっ~ラーメンを愛する者!!渋谷実尋の参上だ☆」
ネロと、実尋の再会は実に久しぶりなモノだった。
「ラーメン一つ♪」
「あいよー!!」
渋谷実尋。高校を卒業してから大学に行き、今は、携帯ショップの店員として働いているそうだ。
「へい!お待ちどう~ラーメン一つ!!」
「ほほぅ~☆中々美味く出来てますな!しかーし、ウチの実家もラーメン屋だぜ?味には、ワタシはうるさいぜ~?」
実尋は、ネロの作ったラーメンをまじまじと見ながら、ラーメンについて語りだした。
「ハハハ・・・まぁ、良いから・・・麺がのびないウチに食えよ!」
ネロは、少し笑いながら実尋にラーメンをすすめた。
実尋は、ラーメンを夢中ですすった。
「ん~~☆・・・中々イケますな~☆」
――そういや、コイツがラーメンを食ってる姿を、しっかりと見るのって初めてだな・・・
――コイツ、こんなにうまそうにラーメン食うのか☆
「こんなラーメンで良ければ・・・」
「毎日作ってやるぜ☆」
「…っ!!」
「//////////////////」
実尋は、ネロの言葉がどんな意味を持っているのか・・・理解するまでに時間はかからなかった・・・
人生は、一つ一つの選択肢で決まっていく・・・
そして、一つの選択によって、未来は少しずつ変わって行く・・・・
自分で決めた選択は、その時ベストだと思っていても・・・
後から考えると、後悔する事もあり、本来やってくる幸せな未来に繋がらない事もある・・・
それでも、・・・・・
一度見つけた幸せなら、
一度気づく事が出来た優しさなら・・・
どれだけ時間がかかっても、もう一度近づくことが出来る!
何故なら、
自分の人生を変える運命の選択というモノは、
本来は存在しなくて・・・
自分の幸せのカタチは、
自分自身の努力できづいてきた成果その物だからだ!
――今度こそ、言おう!俺のキモチを・・・
「なぁ、渋谷・・・今度の日曜の休みって・・・開いてるか?」
「ん?開いてるけど・・・急にどーしたの??」
「もう一度////その・・・俺達が初めて出会った場所に行かないか?」
「出会った場所??」
「あぁ・・・」
俺達の鯖学へ
おわり