お久しぶりの・・・・ブログ小説です☆

前回から大分『間』が開いてしまいましたが・・・・

 

なんとか続けちゃます!

 

高校生、新宿ネロを中心とした学園ライフです。

前回までのお話しは・・・・

 

鯖学の文化祭が始まった!

クラスは1組と2組といった2クラス合同で出店等を開催する形となり、一番多く儲けを出した2クラスが「最新型のエアコンへ切り替えの権利が貰える事となった。

渋谷実尋の提案で、くじ引きを行い・・・「前半(A)グループ」と「後半(B)グループ」に別れ店番をする組、出店を回る組を交代で行う事になる。

 

くじ引きの結果、

実尋、恋華、イ・ヤムチャはAグループとなり・・・ネロはBグループとなった。

ネロ達Bグループに店番を託し・・・先に出店を回る実尋達Aグループであったが・・・

恋華、イ・ヤムチャと離れ一人で行動した際に、怪しげなナンパ師の男が実尋へと近づいたのだった・・・

 

まぁ、ざっくり纏まめるとこんな形でしょうw

 

前回のお話しはこちら

51話

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12535788470.html

 

最初から読まれる方はこちら

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12439136779.html

URLをクリックすると各話に進みます☆

 

 

鯖学☆(サバガク)

シーズン3

「共有鯖船学園文化祭・中編」

 

 

【本編】

 

 

ネロ達の文化祭が開始される・・・約一時間前の事だった。

 

「はぁ!なんという事でしょう・・・・キリエとしたことが、文化祭の当日にまさかの朝寝坊とは・・・・昨日、うっかりオンラインゲームをやってしまったばっかりに・・・・なかなか抜けられなくて、夜更かししてしまいました・・・」

 

-ウフフフ・・・実は、ネットゲームの世界では、キリエの使うアバターはモテモテなのです・・・っと今はそんな事を考えてる時間じゃない-

 

寝坊してしまった御徒町霧恵は、文化祭が始まる一時間前だというのに、まだ家に居た。

完全に遅刻である・・・

 

霧恵は、鏡を見ると「ハッ」っとした。

寝癖が全く治らない!!今までは、背中を覆い隠す程のロングヘアだったので髪自体の重さもあり、素手て簡単に撫でるだけで「サラっ」っと纏まっていたのだが・・・・最近事情があって、バッサリ切ってしまったのだ。美容院の人に上手く注文が伝わらなかった様子で自分が思っていた以上に短くなってしまったのだ。

 

「うっ・・・・纏まらない・・・・今まで、完全なストレートだと思ってたのに・・・短く切ったら、なんだか髪にクセが入り始めた・・・もしや、髪質が変わってしまったのでは・・・・こんな頭、人が多く来る文化祭で見せる訳にはいかない!」

霧恵は、洗面台で思いっきり水で濡らすが、乾かすと再び髪が「ボワン」っと横に広がってきたのだ。

 

「うっ!!そんな・・・・キリエって、こんなにボリュームたっぷりの頭だったの・・・・lllll

「サイドの髪だけじゃない・・・・前髪まで、なんだか急にクルクルと丸まってきて・・・長さが無いと・・・・ここまで纏まらないモノなの??」

霧恵は、何度も鏡の前で髪をセットするが・・・美容院で切ったばかりの綺麗なセットとは程遠い・・・まるで、オバチャンパーマの一歩手前の様な髪型になってきた。

 

霧恵は、両手で頭を抑えながら学校に行く支度をした。

そんな時、ふと・・・居間で放送されているニュースが目に入った。

朝方は、テレビの左上の方に表示されている時間を頻繁に見る事が多いのでテレビは、ニュースをつけっぱなしにしておくことが多いのだ。

 

「ただいま入った情報によりますと・・・新宿区・鯖船町(シンジュクク・サバフネチョウ)の近くに銀行強盗が逃走中・・・男は、モデルガンを改造した拳銃を所持しており、大変危険な状態です。男の服装は、サングラスをかけており、オールバックに鼻の下に髭を生やしています。見かけたら、近寄らずに110番に連絡してください・・・繰り返します。ただいま入った情報によりますと・・・・」

 

「!!!!・・・・鯖船町(サバフネチョウ)って、ウチの学校(鯖船学園)がある近くじゃない・・・・よりにもよって、文化祭で人が多い時に・・・・こんな中に、銀行強盗の人が入ったら・・・・」

 

霧恵は、頭に黒い布の様なモノを被り駆け足で家を出た。

 

-学校に知らせよう!!新宿センパイ(ネロ)は無事かしら?-

 

 

 

 

 ☆☆

 

霧恵が、電車に乗り学校へ向かっている頃・・・

 

学校では、丁度文化祭が始まっていた。多くの来客が訪れ・・・・校舎内も学校の外も大変賑わっていた。

 

渋谷実尋は、怪しげな男に声をかけられ・・・

その怪しげな男と共に、1組2組の合同の「プロレスショー」に向かう事になった。

 

「おぉぉ☆丁度・・・ここの席が空いてるじゃなーい!俺達ラッキーだね☆・・・でも、プロレスショーの暗がりを利用してキミを襲うなんて事はしないから安心してくれ・・・なーーんてね☆」

実尋が案内した怪しげな男・・・実尋に会う前から、校庭で女性客にナンパをしており、どーやらそのナンパ師の男にとっては実尋は「ナンパ相手・・・というべきか、GETした女子高生」というべき存在なのだろうか・・・実尋の隣に座り鼻の下を伸ばし有頂天になっていた。

 

「もぅすぐ・・・プロレスショーが始まりますので、開園中は少しだけ静かにしてくださいね☆」

実尋は、柔らかく注意した。

 

「はーい!獠ちゃん、キミの言う事ならなんでも聞いちゃう☆」

「せっかくのショータイムだもんね~・・・よーーし!眼鏡でもかけようかな・・・・」

ナンパ師(獠)が懐に手を入れると

 

カラーン

 

乾いた音が床から鳴り響いた。

ナンパ師の胸元からサングラスが落ちたのだ。

 

「あ・・・落ちましたよ・・・・」

実尋は、親切にもそのサングラスを拾ってナンパ師に手渡した。

 

「あー・・・ありがとう。海坊主の奴が、ウチに来た時・・・ネコにビビッてよー・・・サングラス置き忘れちまったんだ・・・」

ナンパ師(獠)は独り言のように言い、実尋からサングラスを受け取った。

 

実尋は、サングラスより・・・・懐に、キラっと光る銃の様なモノを隠し持っていたのを見つけ、「ゴクリ」と生唾を呑んだ。

 

「んーーー?あーーこれの事??」

実尋が生唾を「ゴクリ」と音を立てて飲んだのが聞こえ、ナンパ師(獠)はジャケットの裏に隠し持っていたデカイ銃を出して見せた。

 

「!!!!!!!」

実尋は、まさかここで出すとは思っていなくて目を丸くした。尚、実尋(達多くの生徒)は学校で朝早くから文化祭の準備をしていた為・・・銀行強盗が近辺に潜伏しているというニュースに関しては知らない。

 

ナンパ師(獠)は銃を上に向けて引き金を引いた。

 

パン

 

 

銃口から、日の丸の旗が出てきた。

 

「へ・・・・」

実尋は目を丸くした。

 

「こうやって・・・・左右に振るとさー・・・なんとなく盛り上がるかな~・・・・なんちゃってー・・・」

ナンパ師(獠)は、銃口から日の丸の旗を出して左右に振って見せた。

 

「ここの席開いてるかね?」

ナンパ師(獠)の隣に、大崎店長と原宿仁児が座った。

 

「おぉ!大崎店長!!アナタも上手い事やってますなー・・・ぬひひひひ」

ナンパ師(獠)は、大崎店長の隣に居る女子高生(仁児)を見て、上手い事(ナンパに成功)したと怪しげに笑った。

 

「む、キサマと一緒にするな!こっちは、職場の部下だ!」

大崎店長は、「ナンパ」という事を否定した。

 

 

ビーーーーー

「まもなく、1組2組の合同のプロレスショーを開園しまーす☆最後までごゆっくりお楽しみください☆」

マイクを持って話すのは、神田那智だった。

 

「あぁ!なっちー出てきた☆」

原宿仁児は、那智が出てくると合掌して目を輝かせた。実は、仁児と那智は中学時代は同じクラスの同級生だったのだ。

 

劇場が開始されると、早々スーツ姿の大崎秀が、なにやらプロレスリングの上に登場して、何やら「ショッカーの戦闘員のような出で立ちの」黒い全身タイツの男子生徒達を次から次へとプロレス技でやっつけている。

 

「とう!!」

 

「そりゃ!!」

 

 秀は、ウェスタンラリアットやら、ミドルキックやら、舞台の上で大活躍だった。

 

「はっはっは!!流石、俺の息子だ・・・良い眼をしている!!」

大崎店長は、(文化祭の出し物で)自分の息子の大活躍を誇らしげに観ていた。

 

「へぇ~あれが、大崎くんかぁ・・・」

先程まで鼻の下を伸ばしていたナンパ師(獠)は、嫌らしい表情は微塵も無く、少しだけ微笑みながら優しげな表情で観察していた。

 

 

実尋は、その表情の変化を見逃さなかった。

-この人は、ナンパをしに来た訳じゃない・・・普通のお客さんなんだ・・・-

 

「ふふふ、どーです?ウチの自慢の息子は?」

大崎店長は、ナンパ師(獠)に聞いた。

 

「ええ、とても良い息子じゃないですか////。せっかくの大崎店長の息子さんの晴れ舞台です。盛大に応援してやりましょう!!」

 

大崎店長と、ナンパ師(獠)は実を乗り出して大きな声で応援を始めた。

 

「いけぇー!!そこだァ!!大崎くん!!!!ゲッタービームだ!おじさん達に良いトコ見せちゃってー☆」

 

「そこだ、ボディだ!!フックだ!この辺りノックアウトだ!よし、俺のヒートロッドを貸してやろう!ゲリラ屋の戦いを見せてやれー」

 

勢いのあるオジサン2名の応援に、一気に注目があつまり、隣に座っていた実尋は赤面となってしまった。

 

前半の劇場が終わり、実尋とナンパ師(獠)は会場をあとにした。

みひろん...ちゃんだったね?会場に案内してくれてありがとう。そーだ、喉が乾いてないか?ジュースとか買ってあげようー。あれ?小銭どこやったかな?」

ナンパ師は、財布の中から小銭を探すが万冊が多く、中々小銭が見つからない。

 

実尋の目の前にいる人物は、既に嫌らしい人物という印象は全く無かった。

 

「あの、もしかして・・・オジサン・・・」

 

 

実尋は、「みひろん...ちゃん」と独特な呼び方をした所や「大崎くん」をまじまじと観察する様子から、ある人物のお父さんでは??と察し始めていた。実尋の勘は当たっていた。

 

「オヤジ・・・ほら、小銭。ったく・・・やっぱり来ちまったか・・・」

目黒ギンが、小銭を渡した。

 

「あっ、ギン先生!!!・・・じゃあ、やっぱりオヤジって呼ぶって事は・・・」

実尋は、眼を丸くしてギンに言った。

 

「ご名答・・・俺達(ギン&恋華)の父親だよ」

ギンは、棒読みで話した。

 

「ふふふ・・・まぁ、何となく察してましたけどね・・・」

実尋は笑った。

 

「ほら、ジュース買ってきたよ。ギン・・・オマエは、コーヒーでいいか?小銭サンキューな☆後で、家帰ったら倍にして返すよ☆」

 

実尋の目の前で、ギンと父親の親子の会話があった。

 

-やっぱり、親子って良いな・・・-

 

「あっ、改めて自己紹介します。目黒 獠(メグロ リョウ)です。ギンと恋華の父親です。娘がいつも、世話になってます・・・」

獠は、実尋に頭を下げた。

 

「渋谷実尋です。さっきまで恋華も一緒だったんですよ。今、トイレに行ったんで戻ってくるトコだと思います。」

 

「あははは・・・いや、あのコ(恋華)には会わないでおきますよー。家では、絶対来るな!って言われちゃったもんで・・・」

獠は、胸元で両手の人差し指を数回合わせながら、唇を尖らせた。

 

「あのなー・・・大の大人が、年頃の娘に文化祭に来るなって言われたからって・・・いじけるなァ!!そんなの、照れ隠しに決まってるだろー」

ギンは、獠に言った。

 

「ぐっすん・・・ホントに照れ隠しかな?お父さん嫌われてないかな・・・」

獠は、自信無さげに話す。

 

「クスクス・・・」

実尋は笑った。なんとなくだがギン先生の方が父親(獠)より大人に見えてしまうトコが可笑しかったのだ。

 

 

 

「ゲッ・・・お父さん来てる・・・来るなって行ったのに・・・」

恋華は、物陰に隠れた。

 

「よし、お父さんの事は・・・みひろんに任せて、校舎内の出店を回ろう。そうだわ!大崎くんのプロレスショーの前半が終わった時間のハズよ☆きっと小腹が空いてるハズだわ・・・なにか、差し入れを・・・」

 

「うお!!!!」

恋華は、固まった。

 

「ぬひひひ~来ちゃったぁ~。さぁ、恋華ちゃん!!ほら、オマエ(ギン)も、そこに二人で並んで写真撮ってやるから!」

獠は、恋華を見つけると強引にギンを並べた。

 

カシャカシャカシャカシャ

 

 

獠は、ここぞと言わんばかりにカメラを取り出し撮影しまくった。

 

「ほら、オマエ(ギン)わたあめ持って、恋華ちゃんに渡す~・・・もうちょっと自然に笑って!!恋華ちゃん硬いよ、表情がぁ~」

獠は、ギンや恋華にポーズを要求して撮影をしまくった。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

実尋は、せっかくの親子水入らずなので、自身は一人離れて出店を回っていると・・・

「実尋☆やっほー・・・」

声をかけてきたのは、神田那智だった。

 

「なっちゃん☆あはは・・・」

実尋は、那智を見つけると小走りで走った。

 

「なっちゃん☆プロレスショー見てきたよ~!!なっちゃんの挨拶凄く良かった~ワタシの開会挨拶より全然良かった~」

 

「いやいや、それは無いよ・・・全校生徒相手に館内放送だもん・・・それでも、実尋が話してる!!!ってみんな直ぐに解ったよ~」

 

「えっ!ワタシ、そんなに特徴あったかな~」

実尋と那智が、互いに誉めあっていると

 

黒い布のようなモノを被った女子生徒が、不気味に立っており、実尋達を遠くから見ていた。

 

 

「あっ・・・・霧恵ちゃんだ。」

 

 

「うん、御徒町さんよね・・・不思議な雰囲気で直ぐに解る・・・」

 

 

霧恵は、実尋と那智を見ると切羽詰まった表情で走っきた。

「あっ、渋谷センパイ・・・あっ・・・その、ちょっとキリエ、遅刻しちゃって・・・あ、それどころじゃないんです!朝ニュースでやっていたんですけど・・・新宿区鯖船町の近くに銀行強盗が逃走してきているらしくて・・・この辺りに隠れているかもしれないんです!」

 

「え!!・・・鯖船町って、ここじゃない!」

那智は、眉間にシワを寄せて言った。

 

「霧恵ちゃん・・・その銀行強盗の特徴とか、ニュースで言って無かった?」

実尋は霧恵に聞いた。

 

「オールバックで鼻の下に髭を生やしていてサングラスをしてるって言ってました。」

 

 

誰かw

 

「なんとなく、誰かに似ている気がするわ・・・」

実尋は、それっぽい人物を脳裏に浮かべた。

 

 

 

「キャァァァァァ!!」

学校のグランドの方から悲鳴が聞こえた。

 

学校のグランドには、複数の出店が出ており、悲鳴がどの辺りから聞こえたのか・・・正直解らなかった。

 

実尋、那智、霧恵は悲鳴の聞こえた方を手当たり次第に探して走って行った。

 

霧恵は、頭に被った布を押さえながら走っている為か、少し足が遅い。

 

かつて(6月頃)は、あらゆる包囲網を抜け、ギンやイ・ヤムチャで簡単に追い付けない爆走っぷりだったハズだが・・・

 

「ちょっと、その頭に被ってる布・・・邪魔なら外したら?」

那智は、霧恵に言った。

 

「!!!!・・・それは、無理・・・」

霧恵は、少し下を向いて走った。

切りすぎてしまった短い髪を隠す為に被っている為、どんな状況だろうと人前で頭から布を取る事が出来ない。

 

 

 

学校のグランドの出店の大人気コーナーのパフェ屋さん・・・

 

騒ぎは、ちょうどそこで起こっていた。

 

「ちょっと・・・キミ!!一体何をする気だ・・・」

勇気を振り絞って、恐る恐る声を張り上げるスパーダ先生。元々小柄で小心者の彼の前に銀行強盗が現れてしまった。

 

銀行強盗から逃走してきた男は、どーやら空腹だったらしい。

 

「てめぇら・・・命が惜しくなければ、おとなしく食い物をよこせ・・・ハァハァ・・・」

サングラスをかけた、鼻の下に髭を生やしたオールバックの男は右手にモデルガンを改造した拳銃を持っており時々来客に向けて威嚇した。

5キロ程離れた、銀行から走ってきた事と・・・時間がお昼に近い時間だった為、空腹状態らしい。

空腹状態ならもっとも腹にたまる飲食で店を狙っても良さそうなものだが・・・

「パフェ屋さん」が学校の出入り口(正門)から最も近かった事と・・・ブースを見守っていた担当の講師と思われる人物が小柄で弱そうな人物(スパーダ先生)だった為か狙われてしまったらしい。

 

-よ、、弱ったぞ・・・こんな恐ろしく狂ったような強面の開いては、ボク一人じゃ荷が重い・・・生徒達を守ってあげられそうにない-

 

スパーダ先生は、スマートフォンを使い小声で(コソコソ)っと目黒ギンへ電話した。応援の要請だった。

 

「オイ・・・そこのチビ!まさか警察に電話したんじゃねぇだろうな?もしも、警察に電話したら・・・ここにある、‘フルーツパフェ‘に鉛玉ぶち込むぞ!」

銀行強盗の男は、モデルガンを改造した拳銃を無防備の‘フルーツパフェ‘に向けた。

 

「や、やめろ・・・・みんなでせっかく作ったフルーツパフェに・・・・えっ?パフェが人質??」

スパーダ先生は、すぐに冷静になった。

 

-この銀行強盗の周り・・・・そういえば、来客が一人も居ない・・・・もぉ、みんな避難しちゃったんだ・・・早いなー・・・・って、ここに居るのボクだけですか?一体・・・・ボクは、誰を守ろうとしてるんだ!-

 

騒ぎを聞きつけ、実尋、那智、頭に被った布を必死で押さえている霧恵が駆け付けた。

 

「スパーダ先生!!大丈夫ですか??」

霧恵が叫ぶように言った。

 

「うん・・・ボクは、大丈夫・・・・みんな避難しちゃったみたい・・・・」

スパーダ先生は、頬から大きな一粒の汗が流れた。

 

「どうやら、ここにはスパーダ先生と銀行強盗だけみたいね・・・」

那智は冷静に言う。

 

 

「あ!!銀行強盗が拳銃をフルーツパフェに向けてる・・・・そんなみんなが作っつ売り物のパフェが!!」

実尋は、悲痛な叫びをあげた。

 

「み・・・実尋・・・・パフェは、また作ればいいじゃない・・・アタシ達もここから離れましょう・・・」

那智は、実尋の腕を掴んだ。

 

「でも・・・今、目を話したら・・・・この銀行強盗・・・・どこに行っちゃうか解らないし・・・・ワタシ達が背を向けたトタンに発砲したら・・・」

「うん・・・確かに狙い撃ちされる可能性があるわね・・・今は、拳銃・・・・フルーツパフェに向けてるけど・・・いつ、アタシ達に向けるか解らないわね・・・・」

実尋と、那智は銀行強盗から眼を離さず会話をする。

 

「うん・・・確かに、フルーツパフェに鉛玉をぶち込むとか言ってたけど・・・いつ、標的がボク達に変わるか解らないからね・・・」

スパーダ先生も、拳銃を所持した相手から眼を離すのは危険とその場を動けずにいた。

 

「いいか!妙な真似をしたら・・・・ここに置いてある、フルーツパフェに鉛玉をぶち込む!俺はホンキだぞ!!」

銀行強盗がいうと

 

「・・・・・・あくまで、フルーツパフェなのね・・・・」

那智が、少し微妙な顔で冷やをかいた。

 

 

 

「オイ!大丈夫か??」

そこへ、救世主のように駆け付けたのは、目黒ギンだった。

 

「ハァハァ・・・・次から次へと・・・・集まってきやがって・・・・オラァ!」

銀行強盗は、フルーツパフェに向けた拳銃をさらに近づけた。

フルーツパフェの綺麗なグラスに拳銃を密着させ、ヒビが入りそうなくらい押し付けた。

 

「お、オイ!!辞めろォォォォ・・・それ以上押し付けると、フルーツパフェのグラスにヒビが入っちまう!!」

ギンは、叫ぶように言った。

 

「あぁぁぁ!!フルーツパフェさんが、泣いてる・・・・」

「んなバカな・・・・」

実尋が言った台詞に、全否定の那智。

 

フルーツパフェのグラスの表面に纏わりついた水滴が少しづつ合わさり、大きな一粒の水滴に変わり・・・・

ゆっくりと流れ落ちた。

 

「!!!!!!」

ギンは、目を大きく見開いた。

-あの銀行強盗の野郎・・・人を撃ったことが無(ね)ぇのか・・・・そもそも、銃を人に向けた事する無(ね)ぇのか・・・・だから、人に銃を向ける事を躊躇しているのか・・・このままのテンションとノリで持っていけば・・・・誰一人銃を向けられなく、無傷で事を治める事ができるんじゃねぇか?-

 

ギンを無言で見て頷いた。

実尋は、(そのまま続けろ・・・・)というのが伝わったのか

 

「フルーツパフェさん!!!」

実尋は、泣きそうな声を出す。

 

「・・・・・っっ・・・・」

霧恵はこれ以上可哀そうで、見てはいられないと言わんばかりに両手で顔を覆う。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

スパーダ先生は、目を点にして放心状態。

 

「ちょっと・・・なんなのよ!このフルーツパフェが人質ヒロイン的なノリは!!いつまで続くのよ!」

若干シリアスなのか、ギャグなのか解らない展開に少しキレる那智。

 

銀行強盗は、引き金を引こうとした。

 

「テメェェェェ!!こっちは、血糖値高いからって・・・一週間に一回しかパフェ食えねぇんだぞ!この貴重なパフェを食べても良いと医師から許可が降りたこの貴重な・・・・俺の楽しみを!!俺の生き甲斐を!!テメェェは奪う気かァァァ!!!」

ギンは、実を乗り出して銀行強盗に向かって叫んだ!!

 

「お願いだから・・・・もう、これ以上目黒先生を苦しめないで!せっかくのフルーツパフェなんだから、目黒先生に食べさせてあげてぇぇぇ!」

実尋も叫ぶ。

 

「フルーツパフェを人質にとるくらいなら・・・キリエが身代わりに人質に!!」

「ちょっと・・・・それは、辞めて・・・・ホントに取り返しがつかないから・・・・」

霧恵が犯人の元へ向かおうとする所を、慌ててスパーダ先生が止める。

 

「止めないで!目黒先生は、キリエを助けてくれた人なの・・・今度は、キリエが・・・・」

スパーダ先生が止めるのを振り切って、霧恵が走って銀行強盗へ近づく。

 

 

「ぎゃああああああ!!!お、お、お、俺に近づくなァァァァァ!!!!」

銀行強盗は、霧恵が接近すると急に狂ったように、拳銃を霧恵に向けた。

 

「チィィ!あの野郎、対人恐怖症か薬物依存症か?人が近づいた途端急に血相を変えやがった・・・・これじゃホントに人を撃ちかねない!!」

自身の考えた作戦は、失敗した・・・・このままじゃ被害が出る・・・・

 

ギンは、霧恵の盾になるように霧恵を背にし銀行強盗に前に立ちふさがった。

 

「先生ぇぇ」

 

「上等だァァァ!!」

 

 

ドーン

 

 

 

 

 

ついに、銀行強盗はギンの胸元目掛けて発砲した。

 

 

 

 

 

モデルガンを改造した拳銃から放たれた銃弾は、

 

 

 

真っすぐギンの胸元を目掛けて銃弾が向かう。

 

 

 

 

 

銃弾の速度、起動・・・

 

決して逃れられるモノではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時

 

ギン、恋華と別れ姿を消したハズの獠は、抜群のタイミングで

 

銀行強盗の放った実弾の起動と速度を計算してか、

 

 

 

迷いなく、正確無比の狙いで、

 

学校の屋上から、

 

 

銀行強盗の放った普通の人には見えない実弾目掛けて、

 

一発だけ狙撃をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギンの胸元へ向かっていたはずの銃弾は、

 

 

 

 

飛んできた銃弾に弾かれてギンの足元より30センチ手前に落下した。

勿論、獠の放った弾によるものである。

 

「!!!なんだと・・・・」

銀行強盗は、ギンに狙ったハズの銃弾が足元で音を立てたのを確認した。

 

 

 

 

 

「息子達の楽しい時間だ・・・ご退場願おう・・・・」

獠は、誰も居ない学校の屋上から静かに呟くと2発目の狙撃をした。

 

 

 

 

 

 

パーン

 

「のわぁぁ!!!バカな!!!」

銀行強盗の持っていた拳銃は、何者かに弾き飛ばされてしまった。

銀行強盗は、遠くから別の誰かに遠距離射撃で狙われた事に気づいた。

 

 

 

「誰だ!!!どこから、狙ってやがる・・・・・」

銀行強盗は、辺りをキョロキョロ見渡すが自身の見える位置に銃を持った男など見当たらない。

 

 

「動くなぁ!警察だぁ!!!」

ギンの指示で恋華が警察を呼んでおり、人質が解放され安全な状況になった状態で被疑者を確保できるように待機していたのだ。

 

「離せぇぇ!!ここは、日本だろ??誰か、俺の事を銃で撃った奴が・・・その狙撃野郎も捕まえろ!俺より、ソイツが危険だぁぁぁ!」

銀行強盗は、警察に手錠をかけられた状態でジタバタ動きながら、自分が狙撃された事を叫ぶように訴えるが狙撃をした人物などどこにも見当たらなかった。

 

朝方ニュースで配信されていた銀行強盗であることは、明白である為「早く乗れ・・・」と速やかにパトカーに乗せられた。

 

「あぁぁ・・・・フルーツパフェ・・・結局、アイツ(銀行強盗)にずっと握られてたお陰で・・・・上に乗っているアイスクリームがドロドロじゃねぇかよ・・・」

 

無残なパフェを見ながら、肩落とすギン。

慰める実尋と、細い目で見つめため息をつく恋華。

良く解らない展開にあきれる那智。

 

 

 

そんな息子達(ギン&恋華達)の様子を、学校の屋上からそっと様子をうかがう獠。

 

 

 

 

 

どーやら、楽しく学校生活を送っているようだな・・・・

 

成長していく子供の気持ちからすると・・・

 

いつまでも、纏わりつく親は、鬱陶しいのかもしれない・・・

 

友達との共同作業や、思い出作りには、

 

もしかしたら、親という存在は邪魔のかもしれない・・・

 

それでも、少しだけでも何か力になれないのかなって考えちまうもんなんだよ・・・

 

特に父親はな・・・・

母親に比べると・・・・

 

外で働いている分・・・・

 

一緒に居られる時間が短いからな・・・・

「さて・・・・可愛い子供に、パフェでも買ってやるか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

中編終わりーー☆

 

 

後編に続きますw

 

 

 

特別出演してくださった

目黒 獠(メグロ リョウ)

その正体が誰なのかは、あえて語りませんがwww

職業は・・・とりあえず、マンションの管理人(仮)

目黒 修治(メグロ シュウジ)の息子で、ギン&恋華の実の父親。

尚、奥さんとは別居中ですw

 

 

リクヨウさん!作成ありがとうございます☆