東京バレエ団の「ラ・バヤデール」を観に行きました。
場所は上野公演の東京文化会館。
4/13(水)はエコノミー席で4階右サイド。
4/16(土)はS席で1階2列目の左サイド。
と、贅沢にも2回観てしまいました。
---『東京バレエ団 ラ・バヤデール』-----
振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
振付指導:オルガ・エヴレイノフ
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント
指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
◆主な配役◆
ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):マシュー・ゴールディング
ガムザッティ(ラジャの娘): 田中結子
ハイ・ブラーミン(大僧正): 後藤晴雄
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
ソロルの友人:柄本弾
ブロンズ像:松下裕次
--------------------------------
物語の舞台は古代インドということで
衣装や舞台装置はエキゾティックな雰囲気に満ちている。
全身を金箔でギラギラにコーティングしたブロンズ像のバレエなど
きっとこの作品でしかお目にかかれないだろう。
なにより激烈に印象に残って頭から離れないのは
ニキヤ演じた上野水香の、夢のように美しい舞姫姿だ。
舞台映えする恵まれた長身と、鍛え込まれたしなやかな四肢は芸術で
ふわりと彼女が舞うだけで、観客席はほうと感嘆のため息が埋め尽くされた。
しかし、上野水香の存在感と美しさは圧倒的であり、恋敵である王様の娘・ガムサッティを演じた田中結子は、あまりに貧弱な印象を受けた。物語の設定上、ソロルはガムサッティの美しさに惹かれ、魔が差して結婚を承諾するとあるが、あの舞台上ではそのようなことは起こりえない。誰がなんと言おうと眼の前に上野水香がいれば、その魅力に平伏して、王様もその娘も路傍の石くらいにしか見えなくなってしまうに違いない。
第三幕はソロルとガムサッティの結婚式のシーンだが、ニキヤの亡霊が式場を美しく舞い、ソロルは彼女を必死に追い求める。ガムサッティも隣で一生懸命舞っているのだが、そのないがしろっぷりが酷いのである。ニキヤと手を取り合うときは、全身でその喜びを表現し、満面の笑みで、高々と彼女の身体をリフトするのに対し、ガムサッティがやってくると、申し訳程度にくるくる身体を回してやるだけで、すぐ従者の側へ放り投げてしまう。この辺りの演技は素晴らしいものがあった。きっと、マシューは心から上野水香と踊ることが楽しかったのだと思う。
終幕は、ニキヤとの愛の誓いを破ったソロルに神が怒り、寺院が崩壊して全員死ぬという非常にショッキングなものである。落雷が鳴り響き、フラッシュが瞬き、透明のスクリーンには天から崩れ落ちる瓦礫が描かれ、その混沌の中で人々は踊り狂って暗闇と静寂が訪れる。
暗闇が晴れると、そこに桃源郷のような美しい風景が現れる。ドライアイスがもうもうと足下を包み雲に浮かんでいる心地になる。そこへ、天女のように美しいニキヤがソロルを率いて現れる。ニキヤは一遍の曇りない晴れ晴れとした表情をしているのに対し、ソロルは嬉しさと懺悔とが入り交じった複雑な表情で固く微笑んでいる。このあたりの表情もほんとうに素晴らしいと思った。
ニキヤは生きるときはもちろん、死んでもなお一途にソロルだけを愛し続けた。それはどこまでもまっすぐな愛情で、嘘偽りのない美しさに満ちあふれている。一方ソロルはどうだろう。優柔不断で、女々しくて、苦しみから逃れるためにアヘンに手を出した。自分の不純を恥じ、眼の前で大陽のように微笑む彼女を直視できないというのが本音であろう。(まあわかるよ、ソロル。その気持ち....)
ドラマティックで、古典でありながら形式張ったところがなく、インドを舞台にしたエキゾティックな作品であるから、バレエ初心者の私でもとっても楽しめた作品だった。ラ・バヤデールは近年様々なバレエ団で上演されているということだから、違う振り付け師と舞台監督の作品も、きっと今後観れる機会があるだろう。ブラボー!!
場所は上野公演の東京文化会館。
4/13(水)はエコノミー席で4階右サイド。
4/16(土)はS席で1階2列目の左サイド。
と、贅沢にも2回観てしまいました。
---『東京バレエ団 ラ・バヤデール』-----
振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
振付指導:オルガ・エヴレイノフ
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント
指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
◆主な配役◆
ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):マシュー・ゴールディング
ガムザッティ(ラジャの娘): 田中結子
ハイ・ブラーミン(大僧正): 後藤晴雄
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
ソロルの友人:柄本弾
ブロンズ像:松下裕次
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物語の舞台は古代インドということで
衣装や舞台装置はエキゾティックな雰囲気に満ちている。
全身を金箔でギラギラにコーティングしたブロンズ像のバレエなど
きっとこの作品でしかお目にかかれないだろう。
なにより激烈に印象に残って頭から離れないのは
ニキヤ演じた上野水香の、夢のように美しい舞姫姿だ。
舞台映えする恵まれた長身と、鍛え込まれたしなやかな四肢は芸術で
ふわりと彼女が舞うだけで、観客席はほうと感嘆のため息が埋め尽くされた。
しかし、上野水香の存在感と美しさは圧倒的であり、恋敵である王様の娘・ガムサッティを演じた田中結子は、あまりに貧弱な印象を受けた。物語の設定上、ソロルはガムサッティの美しさに惹かれ、魔が差して結婚を承諾するとあるが、あの舞台上ではそのようなことは起こりえない。誰がなんと言おうと眼の前に上野水香がいれば、その魅力に平伏して、王様もその娘も路傍の石くらいにしか見えなくなってしまうに違いない。
第三幕はソロルとガムサッティの結婚式のシーンだが、ニキヤの亡霊が式場を美しく舞い、ソロルは彼女を必死に追い求める。ガムサッティも隣で一生懸命舞っているのだが、そのないがしろっぷりが酷いのである。ニキヤと手を取り合うときは、全身でその喜びを表現し、満面の笑みで、高々と彼女の身体をリフトするのに対し、ガムサッティがやってくると、申し訳程度にくるくる身体を回してやるだけで、すぐ従者の側へ放り投げてしまう。この辺りの演技は素晴らしいものがあった。きっと、マシューは心から上野水香と踊ることが楽しかったのだと思う。
終幕は、ニキヤとの愛の誓いを破ったソロルに神が怒り、寺院が崩壊して全員死ぬという非常にショッキングなものである。落雷が鳴り響き、フラッシュが瞬き、透明のスクリーンには天から崩れ落ちる瓦礫が描かれ、その混沌の中で人々は踊り狂って暗闇と静寂が訪れる。
暗闇が晴れると、そこに桃源郷のような美しい風景が現れる。ドライアイスがもうもうと足下を包み雲に浮かんでいる心地になる。そこへ、天女のように美しいニキヤがソロルを率いて現れる。ニキヤは一遍の曇りない晴れ晴れとした表情をしているのに対し、ソロルは嬉しさと懺悔とが入り交じった複雑な表情で固く微笑んでいる。このあたりの表情もほんとうに素晴らしいと思った。
ニキヤは生きるときはもちろん、死んでもなお一途にソロルだけを愛し続けた。それはどこまでもまっすぐな愛情で、嘘偽りのない美しさに満ちあふれている。一方ソロルはどうだろう。優柔不断で、女々しくて、苦しみから逃れるためにアヘンに手を出した。自分の不純を恥じ、眼の前で大陽のように微笑む彼女を直視できないというのが本音であろう。(まあわかるよ、ソロル。その気持ち....)
ドラマティックで、古典でありながら形式張ったところがなく、インドを舞台にしたエキゾティックな作品であるから、バレエ初心者の私でもとっても楽しめた作品だった。ラ・バヤデールは近年様々なバレエ団で上演されているということだから、違う振り付け師と舞台監督の作品も、きっと今後観れる機会があるだろう。ブラボー!!