薬剤師Rumiが薬学的観点から健康や医療に関するお話をしていくブログです。
いろいろな面でお役に立てたら幸いです🌟



前回の記事のつづきです。


交感神経活性化(興奮)して
血圧が上がるという仕組みは



①心臓にある交感神経の受容体である
アドレナリン受容体=β1受容体を刺激することで起こります。


β1受容体が刺激されると
心拍数と心拍出量があがり、
血圧が上がります。



②また末梢血管の交感神経の受容体
アドレナリン受容体=α1受容体を刺激することで起こる血圧上昇がありますが、
この仕組みは

末梢血管のα1受容体が刺激されると
末梢血管が収縮して、
血流が悪くなり、心臓が拍出量を上げるために
血圧が上がります。



また血管平滑筋の部位によってはβ2受容体があり、血管を弛緩させます。




それでは
実際のβ1受容体に作用する薬を
みていきます。


心臓のβ受容体を刺激すると、
心拍出量があがりますので

β1受容体を抑える、遮断する薬を使えば
心拍出量が減って血圧が下がります。


よく使われる薬

β遮断薬(β1選択性)…β1受容体は心臓にあります。


     商品名   (成分名)

・テノーミン (アテノロール)

・メインテート(ビソプロロールフマル酸塩)

・ビソノテープ(ビソプロロールフマル酸塩)

・セロケン  (メロブロロール酒石酸塩)

・セレクトール(セリプロロール塩酸塩) 

この薬は血管のβ2受容体を刺激して
血管を拡張する作用もあります。
血管が拡張すると血圧は下がります。


・ケルロング(ベタキソロール塩酸塩)




β遮断薬は
その他にもまだあります。

たくさんありすぎるので
代表的なものでとりあえずここまでにします。



α遮断薬 …α1選択性


・エブランチル(ウラピジル)

この薬は前立腺肥大による排尿障害でも使われます。


・ミニプレス(プラゾシン塩酸塩)

この薬は前立腺肥大による排尿障害でも使われます。


・カルデナリン(ドキサゾシンメシル酸)


・バソメット (テラゾシン塩酸塩水和物)


など

αβ遮断薬 α1遮断: β遮断=1:8

・アーチスト (カルベジロール)

・アロチノロール塩酸塩

など




ここまでが血圧に関する交感神経に作用する薬をまとめたものになります。
  





実際には
高血圧は原因は様々です。


交感神経が活性化する事で血圧が上がる
以外にも様々な原因があります。




以下に高血圧症の病名が付くものと
その他、高血圧に関わる疾患について
載せておきます。


◯本態性高血圧症

原因は明らかでなく、
年齢は比較的中年層から発症します。

この中に自律神経の不調、乱れで起こる高血圧も含まれると考えても良いと思います。
 

◯腎性高血圧症  

腎臓の機能が低下して起こる高血圧症

アルドステロンという物質が増加する事によって
体内のNaが増加して、
体内の循環血液量が上がる事により、
拍出量が上がり、血圧が上がる。


そのほかに、
妊娠中に起こる高血圧などもあります。



また以下のカテゴリーの中で
高血圧症の原因を薬物治療を絡めて考えていく必要があります。




・老人者高血圧

老化により心臓機能の低下で
心臓の拍出量は減少していますが、

血管の老化による末梢血管の弾力性の低下により
血管の抵抗性がなくなることに起こる高血圧や
腎機能が低下することによるホルモン分泌の異常により引き起こされる高血圧。



・脳・中枢神経疾患による高血圧


・狭心症・うっ血性心不全における高血圧


・糖尿病患者の高血圧


・薬剤性高血圧


糖尿病や心不全、狭心症には
血管の弾力が落ちていることや、
腎機能の低下など様々な要因が絡んでいます。
また内分泌ホルモンが関わった血圧上昇があります。

《参考URL》




このように高血圧の原因は様々なので
一般に血圧を下げる薬は

交感神経を抑える
β遮断薬やα遮断薬を第一選択に使わずに


比較的軽症から使える薬や
老人の腎臓機能低下による高血圧に使用する腎臓保護作用がある薬を始めに使っていきます。



・血管を拡張させるのに
Ca(カルシウム)拮抗剤、

・血液循環量を減らす
ACE阻害剤、ARB阻害剤(腎臓由来のホルモンを抑えて血液循環量を減らす)


・血液循環量を減らす
利尿剤


などを単剤から使っていきますが、
効果が不十分の時は
単剤ではなく、2剤を重ねて使うこともあります。



またこれらの薬剤でも血圧が下がらなかった場合には
β遮断薬、α遮断薬、αβ遮断薬を使用して
高血圧の薬を4剤以上を使うこともあります。



高血圧症は実際は高齢者が多いので薬剤の選択は
上記の考えに基づきますが、




β、α遮断薬を使う方は
交感神経が活性化している
ストレスなどをかかえる若中年者が多いと考えます




では、

次回は情動に関わる薬

精神科領域の薬について書いていきたいと思います。


また次回の記事で!!