みんなが話しとる間に片付けをすませて
明日の身支度終わらせて布団の中に入った
寝られるわけがない
嫌な夢見たらどうしよう
寝言言ったらどうしよう
うなされたらどうしよう
腕見られたら…
寝られるわけがない
先輩が入ってきてすぐ近づく気配を感じて
しばらくするとすぐそばでキーボードをたたく音が聞こえてきた
ちょっとでも動くと気づかれそうな距離
こっち向いとるのかあっち向いとるのかも分からん
じっとしているしかない
先輩が寝るまで
ぱちぱちと小さな音をたてて紙をめくる音もした
動く気配を感じるたびどきどきした
寝られるわけがない
動きたい
身体がつらくなってきた
どうしよう
まだ寝んのかな
こんなとこまで来て仕事？
ぱちぱちと流れるような音が響いて 少しの間止まる また流れ出す
その繰り返しを聞いていたらだんだん心地よくなってきて 思い出した
一緒にいた頃もこうして私が寝とるそばで仕事してた
先輩が鳴らす音が心地よくて そばにおる気配が心地よくて
あの頃は寝たくないのにいつの間にか眠っていた
だから今も心地いい
こんなの思い出したくなかった
どうしたらいいのか分からない
何が正解なのか分からない
みんなが簡単に解ける問題も私にはできない
私にとっては正解でも先輩にとっては不正解で いつも間違えてしまう
先輩の言うことが正解なんやろうか
今まで私がしてきたことが間違っていたとしたら？
先輩のこと思って先輩のためにと思ってしてきたことが全部間違っていたとしたら？
こわくなってきた
間違っていたとしても私はきっと諦められない
先輩の言う通りにして先輩の願いが叶ったとしても
私はあのとき話してくれた夢が叶えられなかったことを死ぬまで後悔する
例え幸せと感じる瞬間があったとしてもきっと思い出す
私はどうしても諦められない
頭のあたりに違和感を感じた
まぶたが重くて目があかない
先輩「……衣」
私『………』
「留衣」
『………』（目開）
「おはよ」
『………』
「もう少し寝かせてやりたいけど 起きれる？」
『………！！』
「具合悪くない？」
『………』（固）
「 ？ 」
『だ…ぃ…じょぶ……です…』
私いつの間に…
しかもぐっすり
アラームなった？
全然目覚めんかった
夢も…見んかった気がする
覚えてないだけかもしれんけど
『………』（ぼー…）
「大丈夫か？」
『 ！！ 』（飛起）
「用意して下行こ」
『せんせい……ねた…？』
「ああ 寝たよ」
『………』
「何 寝ぼけとるんか？（笑）」
『 ！！ 』（顔隠）
「ふふｗ」
『……ぉぉはよぅございます…』
「遅っ（笑）」
自分にびっくりした