石橋は壊れるまで叩くタイプ
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最寄りの駅ビルに鉄の扉がある

 

扉の向こう側は見えてはいるが、

 

そこがなんの空間なのかはわからない

 

先日覗いてみると、そこには電車が

 

そうか、この扉は駅のホームにつながっていたのか

 

ということはこの扉が近道ではないか

 

しかし、当然鍵がかかっており、開くはずもない

 

では、なんとか通れないものか

 

鉄格子の隙間は到底人間が通れるものではない

 

 

そこで一つ話を思い出した

 

脱獄の話である

 

その脱獄犯は、夕食に出る味噌汁を少しだけ残し

 

部屋の鉄格子の根元に垂らしていた

 

それを続けていると、やがて鉄は錆び

 

人間の力でも外せるようになったのだ

 

そうして脱獄を成功させたという話だ

 

合っているかはわからないが

 

 

そうだ、その方法だ

 

ただ、駅の扉はとても重厚である

 

私がその駅を利用する間には外せそうもない

 

しかし、やるべきである

 

自分が利益を得ることができないのであれば、するだけ無駄なのでは

 

そんな批判もあるだろう

 

その批判は真っ当ではあるが

 

私はやるのである

 

それはなぜか

 

 

これは部室に代々受け継がれるエッチな本に似ている

 

私たちは多くの場合3年で高校を卒業する

 

ということは、部室にあるエッチな本も3年間しか拝めないのだ

 

では、自分たちは3年しか拝めないのだから、その間にボロボロにしていいものか

 

答えはNOだ

 

なぜならば私たちの3年間が終わると同時にだれかの3年間が始まるからだ

 

私たちの3年間を充実したものにしてくれた本を後輩たちに受け継ぐために

 

私たちはエッチな本を大切に扱うべきなのである

 

 

ということは

 

私たちが頑張ることで他の人たちが利益を得るのであるならば

 

たとえ自分に利益がなくても挑戦するべきなのだ

 

 

 

一つ問題がある

 

自分が引っ越すときに誰に引き継いでもらうかだ

 

私には知り合いが少なく頼める相手がいない

 

そうなると私が引っ越した後に入室する人に頼むしかない

 

 

そこでもう一つ問題が出てきた

 

果たして受け継いでくれるのか

 

私の挑戦は一見無謀なものである

 

私の使命感に理解を示してくれるものが

 

(もちろん理解してくれるように努力はするが)

 

私の後に入室してくれるのか

 

 

結論から言うと、私の精神を受け継いでくれるものが入室する可能性は低い

 

それは真っ当な人間はこの挑戦を有意義なものだと思わないからである

 

部室のエッチな本も第三者からみればどうでもいいのである

 

 

ではどのような人物が受け継いでくれるのだろうか

 

考えられるのは私と同じ感性を持つ者である

 

同じような感覚を持つ者であれば、

 

私のこの情熱に理解を示してくれるだろう

 

もしくは、大学生活を心の底から楽しむ者だ

 

彼らは理屈ではない感覚を持ち合わせている

 

大学生活を楽しむポイントの一つは

 

理由を求めないことだ

 

 

 

さて、私が求める人材は入室してくれるだろうか

 

現実的には難しいだろう

 

まず、私と同じ感性を持つ人間だが、出会う確率が低すぎる

 

これは別に私が珍しい人間と言っているわけではない

 

育ってきた環境は人それぞれなのに

 

全く同じ感性を持つ人間がこの世にごまんと居ることはむしろ恐怖を感じる

 

 

では、大学生活を心底楽しむ者はどうだろうか

 

同じ感性を持つものと違って彼らは一定数いる

 

なぜならば、楽しみ方は人それぞれであるし、

 

多くの新入生は大学生活に憧れを持っているからである

 

しかし、彼らは入室しない

 

大学生活を心底楽しむ者はこんなところに住まないのだ

 

言っておくが、住んでいるアパートにはなんの不満もない

 

むしろ綺麗で広くてもったいないくらいだ

 

地域に関しても不満はない

 

主要な施設は揃っているし、静かで交通の便もいい

 

 

 

ではなぜ彼らが入室しないのか

 

それは立地である

 

大学までの距離がなんともいえないのである

 

原付や自転車を使えば10分、電車もある、行こうと思えば徒歩でもいける

 

しかしなんともいえない

 

もっと大学の近くに学生がたくさん住む地域があるのだ

 

私が住む地域は距離がなんともいえない代わりに家賃が安いのである

 

もちろんそれでいいのである

 

多くの学生は親からの援助を受けているため

 

家賃は安い方がいいのだ

 

ただ、大学生活を心底楽しむ者は大学に近く、学生が多い地域に住む

 

逆にそういうところに住むから大学生活が心底楽しめるといえるかもしれない

 

 

大学生活を心底楽しむ者はヘマはしない

 

先生の機嫌が悪いときには遅刻はしないし

 

授業に出ていなくてもテスト前には全てのプリントを持っている

 

友達のつながりがあるからレポートは期限までに出すし

 

友達が多い地域に住んでいるのである

 

部屋探しをする際に大学の生協、もしくは不動産屋から様々な情報を聞くだろう

 

そこで家賃という誘惑があったとしても

 

学生が多い方が助け合えるし安心だと言って

 

親を納得させているのである

 

 

そうは言っても、大学生活を満喫しようとする者が入室することはあるだろう

 

彼らはドラマやアニメの大学生活を夢見ている

 

だから異性関係は外せない

 

異性と仲良くなるために身だしなみを整える

 

これまではユニクロやGUを主に着ていたが、

 

少し高めのブランドでコーディネートするだろう

 

次は髪型だ

 

これまでは床屋だったが、美容院に行ってみよう

 

髪色を変えてみたりパーマを当ててみたり

 

乾かし方やセットの仕方を教えてもらい気分も上がる

 

いざ自分でセットをし、かっこいい服を身に纏い、いざ学校へ行こう

 

せっかく家賃の安い物件を選んだんだから電車はない

 

歩いて行くのは時間がかかりすぎる

 

やはり、原付か自転車だ

 

そして学校に着きトイレの鏡を見て愕然とするのだ

 

せっかくセットした髪がめちゃくちゃだ

 

そう出鼻を挫かれるのだ

 

周りに学生は少なく

 

彼らの思い描いていた学生生活をするには立地がなんともいえないのだ

 

 

やがて彼らは地に足ついた生活をしようとする。

 

よって大学生活を心底楽しむ者は入室しないのだ

 

 

 

 

さてなんの話だったか覚えているだろうか

 

駅の鉄の扉の話である

 

私はこの計画を断念しようと思う

 

将来性がないからだ

 

受け継ぐ者がいないならするだけ無駄だ

 

エッチな本も受け継ぐ者がいないならボロボロになるまで使うのだ

 

あと、そもそも駅にある鉄の扉を壊すことは良くない

 

犯罪である

 

もっと言えば、扉に味噌汁をかける時点で器物損壊だ

 

もっともっと言えば、駅のホーム行くには改札を通らないといけない

 

 

もし、この文章をここまで読んだ人がいるのならどう思っただろうか

 

時間の無駄だったと思うだろうか

 

ちなみに私はここまで書くのに一時間半かかっている

 

 

人生は無駄な時間が多いほど豊かになる

 

そう思っていただきたい

 

そうでないと私は少し悲しい