正確に書くなら元当主様だな。
名前はヴォルフガング(Wolfgang)・ルドルフ様との出会いを思い出してみよう
俺が目覚める切欠になったのは「声」だった。救いを求める無垢な願いだったと思う
確かに言葉だった筈なのに内容は思い出せない、だが、それの目的は分かってた。不思議なもんだな
石棺の封印から目覚めた俺は、何もかも記憶が喪失してた。
元々持っていなかった可能性もあるが、今は失ったと考える事にする…
名前が無かった、過去が無かったなんて生易しいものじゃない
生きる為に必要な記憶さえ無かった。腹が減ったら食事をするとかの行為すら覚えてなかった
起きた瞬間は呼吸と言う行為さえ間々為らなかった
最初の食事をしたのは…何時頃だったんだろう。確か月と太陽を交互に7~8回眺めてた記憶が残ってる
死ぬほど腹が減って如何したら良いか分からなかった、
動いてる物に必死に噛み付いたら喉の渇きが、空腹感が癒された。
ここで俺は食事を覚えた、今でもこの瞬間を忘れた事は無い。
その時は動くモノ=食事対象だったな…今にして思えば、あの時に人間が通り掛らなくて良かった
もしも、人が迷い込んできたなら……俺は確実に人の道を踏み外していただろう
経った月日は正確には記憶してないが、数ヶ月間はこんな暮らしをしていたな。
食事以外の動いてるモノに出会ったのが、元当主様「ヴォルフガング・ルドルフ」様だった
(何回もフルネームで書くのは辛いな。以後「当主様」で統一しよう)
最初の出会いは、俺が食事をする為に襲い掛かったのが始まり。当主様を喰らうべくだ
俺は此処で文字通りのボコボコにされた、半殺しってヤツか
その後は、当主様の元で人間として生活する為の知識、
即ち、言葉、行動、理念、ココロ、そして…執事と言う職を授けてもらった。
親と言う存在が居るなら間違い無く当主様が親代わりだろう
俺が執事としての行動を何よりも重視するのは、これが原因だろうと自己分析する
ただの職業としての執事ではなく、当主様に仕え恩返しする為の方法が執事だった
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