Buon giorno みなさん♪
久しぶりの更新です。
キリスト教絵画の話が多かったのですが、ちょっと趣向を変えてギリシャ・ローマ神話にちなんだお話をしたいと思います。
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ギリシャ・ローマ神話で一番有名と言えるのはやっぱりこの人!
愛と美の女神ヴィーナスです。
ギリシャ・ローマ神話を題材とした絵画の中では一番描かれているのではないでしょうか?
そしてヴィーナスを表す花(アトリビュート)はバラの花です。
この官能的な女性がヴィーナスとわかるのは彼女の手にバラの花があるから。
かの有名なボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」でもヴィーナスの周りにバラが舞っています。
バラはヴィーナスとともに生まれたとも言われる花。
見目の美しさ、そして芳しい香り、まさに愛と美の女神ヴィーナスにふさわしい花です。
バラといえば「赤」のイメージが強いのですが、実は昔バラは白かったそうです。
なぜ赤く染まったのか・・・それにはヴィーナスの恋の物語が関係しています。
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愛と美の女神ヴィーナス。
その名の通り恋多き女神だった彼女はある日「超美少年」を見つけます。
この美少年、まだまだ赤ちゃんだったのですが、美の女神の目はしっかり将来の美形になることを見越していました。
そして少年になった彼に恋のレッスンをしてしっかり恋人にします。
いわば元祖肉食系女子ですね。
ですが肉食系女子ヴィーナスの恋人は一人ではありません。
軍神のマルスも彼女の愛人の一人でした(ちなみに旦那さんはまた別にいます)。
ヴィーナスがアドニスを愛していることを知ったマルスは激怒!
あんな若僧にオレのヴィーナスを取られてたまるか!とアドニスを潰しにかかりました。
まだまだ若いアドニス。狩りに熱中している最中に、マルスが放った猪に襲われてしまいます。
アドニスの苦しむ声を聞いたヴィーナスは急いで彼の元を駆けつけます。
でも時すでに遅し・・・アドニスは女神の腕の中で息を引き取りました・・・
ウフィツィのコレクションの中にそのシーンを表した絵があります。
ヴェネツィア派のデル・ピオンボ「アドニスの死」です。
画面真ん中にいるのがヴィーナス
左で倒れているのがアドニス
ヴィーナスの足元をよく見ると
ヴィーナスの足から血が流れて白い花に落ちています。
ヴィーナスは愛しいアドニスを助けに行った時に、野バラのトゲで足をケガしました。
そう、バラが赤く染まったのは、ヴィーナスのアドニスへの愛の印なんです。
そして、アドニス自身も花になります。
彼の流した血からはアネモネの花が咲いたと言われています。
アネモネとはギリシャ語で「風」を意味するそうです。
美少年のまま死んだ彼にふさわしく、風に吹かれるとすぐに散ってしまう儚い花。
この絵からはヴィーナスの嘆きが伝わってきます。
一説にはこの絵は「恋というのはトゲがあって自らを傷つけてしまうから自重するように」というメッセージが込められていると言われています。
でもヴィーナスは愛の女神(そして元祖肉食系)。
痛い思いをしてもやっぱり愛することをやめる気はしないと思うのです。
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バラの花言葉は「愛」
トゲがあるのも悲しみに赤く染まるのも「愛」があるからこそ。
愛の女神ヴィーナス。彼女は自分の恋人たちを通して私たち人間に様々な恋の形をみせてくれているのかもしれません。
恋多き女神の恋物語、また見ていきたいと思います♡