久しぶりにこのシリーズを取り上げたいと思います。
「天国への門」とはフィレンツェ大聖堂前の洗礼堂に設置された西門の名称です。
前回までは
・ルネサンス以前に作られた北門
・洗礼堂の形について
を解説してきました。
図像学からタロットまでいろいろなことを語らせてくれたこのシリーズ。
最後に「天国への門」とそれを作ったギベルティについてのお話で一旦締めくくりたいと思います。
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いつ見てもたくさんの人で溢れかえる「天国への門」。
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光が差して本当に天国へ行けそうな雰囲気です☆
この門を作ったのはルネサンスを代表する芸術家ギベルティです。
彼がフィレンツェの注目を浴びたのは1401年。
この洗礼堂の北門のデザインコンクールが行われた時です。
名だたる芸術家たちがこぞってこの作品に応募したそうですが、同率で優勝したのは若い2人。
23歳のギベルティと24歳のブルネレスキでした。
仲良く並ぶ2人の作品(フィレンツェ バルジェッロ美術館)
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コンクールの作品となったのが「イサクの犠牲」という聖書のシーンです。
預言者アブラハムは老齢で授かった息子イサクを神に捧げるようにとのお告げを受けます。
悩み抜いた末、神への信仰を選び我が息子を神に捧げることを決意します。
イサクの首にナイフを振り下ろそうとしたその時、アブラハムの信仰を理解した神は天使を使わせてアブラハムを止めます。
こちらがギベルティの作品。
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そして同率優勝だったブルネレスキの作品。
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2人で共同制作するように依頼されましたが、ブルネレスキはこの役を辞退。
友人(弟分?)のドナテッロとともにローマに行きます。
ブルネレスキはその後ドゥオモを作ることになるのですが、そのお話はまた別の機会に・・・
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ギベルティが取り掛かったのは洗礼堂の北門。
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フィレンツェ ドゥオモ博物館より。
この北門の扉ができたのは1424年。
コンクールから23年が経っていました。
その出来栄えに感動したパトロン(フィレンツェ大商人組合)はギベルティに新しい扉の制作を依頼します。
そこでできたのが「天国への門」です。
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「天国への門」ができたのは1452年。
北門から「天国への門」まで約30年。
彼の作品の変化はルネサンスの発展を如実に表しています。
1424年完了の北門の作品。
コンクールの「イサクの犠牲」とよく似た構図です。
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こちらはコンクールから約50年後に完成した「天国への門」の「イサクの犠牲」
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前作と比べるとより絵的で自然になっています。
同じく「天国への門」にある作品。
ルネサンス特有の遠近法の影響をしっかり見ることができます。
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「天国への門」を完成させた3年後の1455年。
ギベルティはこの世を去ります。
まさに洗礼堂の門に捧げた人生でした。
フィレンツェの偉人たちのお墓があるサンタクローチェ教会。
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ギベルティもここに眠ります。
![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/061.gif)
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フィレンツェの街を歩くとそこかしこに芸術家たちの息遣いが残っているように感じます。
観光地を巡る時、美術品を鑑賞する時、ぜひその息遣いを感じてみてください。
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