カウンセリングで勧められたのは「睡眠」「運動」そして「TMS」でした。
今日はTMSについてです。かなりマニアックな話です。
辿り着くところまで辿り着いた感じです。
TMS(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)は磁気刺激で脳の特定部位を活性化させることで脳血流を増加させ、低下した機能を元に戻す事を目的とした治療です。息子の場合、光トポグラフィー検査の結果、前頭前野が不活発で扁桃体をうまく抑制しきれていないという事が判明したので、TMSで前頭前野を刺激し、活性化させるのが目的でした。
TMSに関しては「ひとの気持ちが聴こえたら:私のアスペルガー治療記」を読みました。TMSに関してYouTubeで検索すると、とある精神科医による批判的なものばかりが目立ちました。その批判が信用に値するものなのか?本当に良い治療法なのか?悩まれる方も多いと思います。TMSについて理解を深めるにはこの本をお勧めします。
下記はこの本の紹介文から引用。
私の名はジョン・ロビソン。アスペルガー症候群で、
他人の感情や場の空気が読めないながら、自動車修理会社を経営する人間だ。
あるとき高名な脳神経科医から、ある先進治療を受けてみないかと勧められた。
その「経頭蓋磁気刺激(TMS)」に可能性を感じ、応諾した。
しかし私はその過程でいつか読んだ、『アルジャーノンに花束を』という小説の
主人公さながらの数奇な体験をすることになる。
治療の効果で他人の言葉の裏にある感情が見え、聴こえるようになり、
さまざまなものを得、かつ失うことになった稀有な体験の一部始終を、本人が綴る。
フォーカスフィーチャーズ映画化決定のノンフィクション。
私はこの本を読んで、息子にTMSを受けさせる決断をしました。TMSは保険適用外で、費用は30回・1回20分366,600円でした。またその治療をしても100%改善されるという保証はありません。我が家は裕福な家庭ではありませんが、子供の為にやれる事は全てやり「あの時、ああすれば良かった。」という後悔だけはしたくないという想いで、貯金を崩してクリニックに支払い、さっそく治療をスタートさせる事にしました。
品川メンタルクリニック
https://www.shinagawa-mental.com
スタート時にクリニックで渡されたガイドには「TMSの効果が表れるのは人によって異なります。数回の治療ですぐに効果が出始める人もいれば、徐々に回復する人、20回以降に急激に効果が出始める人もいます。」と書かれていました。週に1、2回のペースで治療を行うとギリギリ受験本番前に終わる計算です。どこで効果が出始めるか分かりませんが、もう時間もなく、やり始めるしかありません。
それからは妻、もしくは私が付き添って通院しました。クリニックの待合室には、参考書を開いて勉強している学生服姿の中学生や高校生を目かけました。恐らく受験生だと思います。
息子の場合、TMSの効果は最初の2、3回はよく分かりませんでしたが、その後、徐々に表れ始めました。受験とは関係ありませんが、音痴が改善されたのが驚きでした。学校でも音楽の授業で「あれ、お前、音程が合ってる!」と友達から言われたそうです。そのおかげなのか、塾高、または志木の自己推薦が受けられる内申38をギリギリ突破できたのは思わぬ収穫でした。
TMSは臨床試験によって効果が確認されている治療法です。向精神薬などの薬を飲まず、主だった副作用もないのが特徴です。
>次回に続く
余談ですが以前、「アウト・オン・ア・リム」という本がありました。映画『愛と追憶の日々』(1983)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したシャーリー・マクレーンが、40代のはじめに精神世界への目覚めを体験したプロセスをつづった一冊です。この本のタイトルの『アウト・オン・ア・リム(Out on a Limb)』とは「木の上の果実(真理)を得るためには、危険を冒して枝の先まで行かなければならない」という意味でした。私に大きな影響を与えた言葉でした。