ひどい嵐の夜、ちいさな小屋の中で雨宿りをするヤギ。その小屋に杖の音を立てながら入ってくるオオカミ。
小屋の中は真っ暗闇で何も見えず、音だけが頼り。ヤギは杖の音を 「ヤギの蹄の音」 と思い込む。
二人とも、じゃなかった二頭とも鼻風邪を引いていて、お互いに臭いを嗅ぎわけることが全くできない。
オオカミに話しかけるヤギ、それに答えるオオカミ。会話を交わすうちに意気投合。
“ある晴れた日”の昼に食事をしよう、と約束をする。いつの間にかあらしはやんでいる。あすは晴れそうだ。
二頭の“初デート”は翌日に! 顔を知らない二人は、『あらしのよるに』 を合言葉に再会できるのか・・・
それにしても、ヤギがオオカミに声をかけることができたのは、なぜ?
ヤギとオオカミが楽しく会話を交し合えたのは、なぜ? 約束をかわすことができたのは、なぜ?
お互いの臭いも姿もわからなかったからなのであろうか? それとも、相手を信じきっていたからであろうか?
お互いにとって“都合の悪い言葉”を、雷鳴が掻き消してくれたからであろうか?
いや、二頭とも、お互いを思い遣る心と、また会いたいという気持ちが強かったからじゃないだろうか。
どくしゃのみなさんへ
あらしのよるに、たったひとり、みしらぬところでだれかにであえたら、ほっとしますよね。でも、そのだれかさんが、こわーいあいてだったら・・・・・・。きみならどうするかな? 木村裕一
さて、私ならどうするか・・・・・
ヤギとオオカミを人間に置き換え、あれこれと、一日中考え込んでしまった。
しかし、いまだに答えが出ない。というか、出せないのである。
話しかけるか、息を殺して隠れているか相手が出て行ってくれるのを待つか、自分が出て行くか・・・・
う~ん、悩むな~
※ どくしゃのみなさんへから始まる文(青色部分)は、この本から転記しました。
カバーの表紙折り返し部分に記されています。