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先日、映画「マチネの終わりに」を観てきました。

原作 平野啓一郎氏のこの作品を読んで感銘に撃たれ、福山雅治さんと石田ゆり子さんで共演ということでとても楽しみにしていました。


福山さんが演じる薪野聡史は天才クラシックギタリストの役で、今は自分のギターの演奏に疑問を感じてスランプに陥っています。

薪野のマネージャーのユキはギタリストとしての薪野を崇拝し、熱心に思っています、




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石田さん演じる小峰洋子はフランス在住の報道ジャーナリスト。彼女には伊勢谷友介さんが演じる日系ハーフのリチャードという婚約者がいます。



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日本に一時帰国をしていた洋子が友人であり、薪野を担当するレコード会社勤務の是永慶子に連れられて薪野のリサイタルに行きます。コンサートを終えて慶子と洋子が薪野の楽屋に訪れて、初対面同士の薪野と洋子はそのあとの打ち上げで互いに惹かれ合います。

だけどその時は何もなく、翌日パリへ戻る洋子と別れます。


薪野は日本でスランプ状態まま、次のコンサートやレコーディングも全て白紙にして、悶々する日々。

洋子はパリでのテロの様子を取材する日々。

薪野に献身的に尽くすマネージャーである桜井ユキ。

実は薪野と洋子はあの打ち上げ以降、連絡先を交換してメールでやりとりを交わしていました。


しかし、パリで仕事中、洋子の同僚がテロの爆破で亡くなり、自身もテロのあった建物のエレベーターに閉じ込められ、PTSDになってしまいます。

誰とも連絡を取る状態ではなくなった洋子。薪野は洋子の安否を想い、心がざわつきます。


それからしばらくしてようやく洋子から薪野へ連絡が入り、ちょうどその頃、パリでリサイタルの予定を入れていた薪野は洋子と2度目の逢瀬をして、想いを洋子に告げます。婚約者がいる洋子ですが薪野への想いが止まらない洋子はそれを受け入れて婚約解消をします。


洋子はすべてのことを片付けたら日本へ帰国するので、そのときに薪野にまた連絡をするという約束をします。



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いよいよ洋子が帰国する日。事前に薪野と約束を取り付けて、薪野も洋子を迎えにいく準備をしていた時に、薪野の師匠が病で倒れ、病院に搬送されて、その知らせを聞いて慌ててタクシーで駆け付けます。

洋子との待ち合わせ時間に遅れそうになったので、携帯で連絡しようと思ったけれどタクシーに携帯を忘れてしまった薪野。

マネージャーのユキが私がタクシー会社に取りに行ってくるので、そのまま病院で待機しててくださいと告げます。そして携帯を無事に受け取るユキ。そこへ洋子からの着信。

ずっとユキは薪野に恋していたので、洋子の存在を不安に思っていました。そしてつい、携帯の二人のメールのやりとりを見てしまうユキ。

そしてとうとう、二人の仲を妨害することを思いつきます。

薪野の携帯をわざと水没させて連絡とれないようにし、洋子には水没させる前に薪野の携帯を使ってあなたとは世界がやはり違います。もう会えないとウソのメールを送ります。

そして病院に戻ったユキは携帯を誤って水没させてしまったこと。明日新しい携帯を用意すると薪野に告げます。そしてそれまではとりあえず、ユキが使っている仕事用の携帯を薪野に渡します。



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薪野はそれを使って登録されている洋子の番号へ留守電を入れて、事情を告げておきますが、その登録している番号は実は洋子の番号ではなく、会社の留守電番号にユキが仕組んだものでした。

ユキの妨害によって洋子はもう薪野と会おうとしないようになり、薪野も理由がわからないまま洋子と会えなくなって想いを諦めようとします。


そして3年の月日が流れ、、、薪野はユキと結婚して娘が生まれます。スランプ状態からようやく抜けようとしつつある薪野。

洋子は一度破局したリチャードと結婚して息子を生みますがすでにリチャードとの仲は破綻状態で離婚。

親権はリチャードの方になります。(リチャードは再婚)

洋子は仕事を本格復帰するためにNYで働いています。

ユキは例の妨害したことでずっとウソをつき続けていたことで罪悪感を抱えていました。



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ある日、薪野がそろそろスランプ脱出のためにコンサートを開くことになります。

曲作りに没頭する薪野。

コンサート会場をユキの計らいでNYに決まります。洋子に連絡を取ったユキは2人で会って、全ての事実を洋子に告げて薪野のコンサートに来て欲しいと言います。事実を知った洋子はなぜ隠し通さなかったのかと問い、それで今、ユキさんは幸せですかと訊くとユキは幸せですと答えます。それならよかったそれで十分ですと言う洋子。

ユキと別れた後で、一人号泣する洋子。


同じく、薪野の携帯にニューヨークにいるユキから3年前の真相をメールで知らされます。

そしてユキはコンサートには行かずに娘と実家に帰るので、そのあとのことは薪野がどうするのか決めてくださいとメールで締めくくられていました。

事実を知って愕然とする薪野。自宅で泣き叫びます。


コンサート当日。この日の公演は昼公演。

スランプから脱した薪野は見事な披露をして、観客から絶賛されます。ステージで挨拶の言葉を話している時に、会場に来ている洋子を見つけます。そこでこれまでの想いが溢れる薪野。

特別にもう1曲を披露します。大事な人へと言葉を添えて。(→これがこの映画の主題歌になります)

この公演が終わったら僕はセントラルパークを散歩して来ようと思いますと挨拶の言葉に添えます。


そして。

公演が無事に終わり、その足でセントラルパークに向かう薪野。

噴水広場の周りを歩いていると、洋子の姿を見つけ、洋子も自分を見ていました。

二人が笑顔になり、互いに向かって歩き出してエンディングを迎えます。

 


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「マチネ」とは昼の公演という意味になります。

そう、タイトルがこれを意味するんです。



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ざっと話の流れを書きました。映画はかなり原作に忠実に描かれていて、ラストはまったく同じでした。

ユキのしたことは・・・理解できるという声も多かったですが、個人的には私はアウトでした。

だって、ユキはギタリストとしての薪野を誰よりもリスペクトしていて、ずっとギタリストとしてやっていって欲しいと思い、マネージャー業も熱心にしていたのに、自分が薪野のスランプに拍車をかけてしまっているわけで。結局はそれよりも自分の欲望(恋心)を優先している。しかも罪悪感に負けて真相を打ち明けてしまうなんて。

薪野はユキとの間に生まれた娘を溺愛している。まだそこに子供がいないなら話はもっと簡単だったはず。ずるいなぁーと思ってしまった。娘のことを思うならしんどくても自身が作った罪なので成人するまでは黙っておくべきだった。

洋子の人生までも壊してしまったユキ。(破局→結婚→離婚)だから私はユキには同情はしません。

人は自分が犯した罪は返ってきます。


このあとの二人は・・・。

これはいろんな見解があって、解釈はいくらでもしてもらってほしいと原作者の平野氏は言ってます。

私自身は、すぐには二人は元には戻らないと思います。子供のこともあるし。

ただ、6年の年月の中で3度しか会ってない二人。だけどその3度が運命の相手だった二人。

どれだけ時間が経っても、互いの環境が変わっても、いつも心の根底には相手がずっといたこと。(これは原作にも映画にもその様子が描かれてます)


そんな二人はソウルメイトだと思います。

今はあのマチネの終わりの再会からしばらくは大事な友人みたいな形でやりとりはするでしょう。

恋人同士には戻らずに。ただ、もっとこの先、さらに年を重ねたとき。

二人のしがらみが自由になったときにまた二人は新しい形を育んで今度こそ、共に歩んでいくような気がします。ソウルメイトはどんなことが起こっても、心は永遠に離れない関係ですから。


このお話や映画の中にある言葉、

「常に未来が過去を変えている。つまり過去っていうのはそれくらい、繊細で、感じやすいものなんじゃないかな」


この言葉が映画のメインテーマになってます。今起こっている出来事で感じている感情も、未来に起こる出来事によって今のこの感情も変化していくんだということ。左右されやすく、変わりやすいもの。

この言葉が非常に強く刺さりました。


そして

「世界のどこにいても、あなたを想う それだけで、今日を生きられる」


これが薪野と洋子の関係性のアンサー。


なんか、仁亀みたいな感覚を感じてしまいました。

どんなに離れてもずっと二人は一緒。

どんなことが起こって環境が変わっても。

ソウルメイトな二人。。。



さてさて、この映画はとにかく映像美にこだわったそうで、今の時代、撮影はデジタルがメインな映画業界ですが、この映画はあえてフィルム撮影にされたそうです。

ロケ地も東京、パリ、ニューヨーク。会話も日本語、フランス語、英語が飛び交います。

情景も美しく、匂いたつような情緒溢れる美しい会話もちりばめられ。

五感がフルに研ぎ澄まされて刺激を受けました。


きっと和也も見ると思う!絶対好きだと思うし、お話にも感動しまくりそう!!


素敵な作品でした。ぜひ、皆様もよかったら映画館に足を運んでくださいね音譜


ちゃお~~