密度の濃い、音楽だけに集中できるハッピーな時間でした。
彼の両親はNYフィルのVn奏者。
父上のマイケルは指揮者としても活躍し、母上の建部洋子さんは五嶋龍くんの師としても知らる。
きっとマイケルはNYフィルの音楽を子守唄とし、ジュリアードやハーバードで質の高い音楽だけに囲まれて成長したのだろう・・アランの音楽は、彼の育った恵まれたバックボーンから紡ぎ出される芳醇なものでした。
指揮者とオーケストラの相性は最初の数分である程度わかってしまう。
彼のタクトはオーケストラの未知の音を引き出してしまった。
言葉は無くともタクトで語れる…そんな指揮者、実は多くない。
演奏者は人間。コンタクトがうまくいくと、心も楽器も共鳴するのです。
もちろん、リハーサルは細かい指示や注文が飛びました。
例えばffはどうしてもセッコ(堅い音)になりがち。そこは美しく倍音を解放したffになるように…弓は…みるみる音が変わる…等々細かく3日間みっちり。
彼の中にはぶれることない音楽のイメージが存在している。
それもすごく自然体で。演奏者にも染み込むようにイメージが伝わっていく。
リハーサル最後にアランは『細かい事言ってごめんなさい。
でもコンサートでは体や音が固くならないようにエンジョイしてください。
そしてコンサートでは即興的に感じる音楽も大切に、私とアイコンタクトをしていきましょう』と。
これはお互いがリスペクトしていないと言えないこと。
質の高い音楽が生まれる条件はコレなんだなと改めて実感。
そして本番は、アランによって次の扉を開かれ、新しい音楽の世界を垣間見せられたような…時間でした。
(しかも彼は、この日ブラームス作曲交響曲1番は初めて指揮したそうで、びっくり

サントリーホール二日間の公演は、満場の拍手喝采をいただき、
私たちの歴史に残る演奏会となりました。
アランに感謝!