夢の狭間で君が僕の名前を零す、それだけで緩むこの頬をどうすれば




ポカポカと暖かい日の光が窓から差し込む4月のある日の午後。

高校は春の休暇に入っていた。だが、その春休みもそろそろ終わる。

そこで僕と和葉は僕の家で宿題であった数学と英語のテキストの丸付けをしようという話になり、今現在にあたる。

無事宿題を終えお茶を飲んだ後それぞれで好きなことをしていたのだが、この暖かさに負けたのであろう。

ふと気がつくと僕の隣に座って読書をしていた和葉がソファの上で目を閉じていた。


「・・和葉?」


小さく呼んでみたが返事はない。


「かーずーはー」


これもまた返事はなし。

寝てるな、と判断した僕は読んでいた本を閉じるとそっと和葉の手から取り上げた。

そして和葉の体をソファの上に横にし、タオルケットをかけた。

別に僕の膝の上に乗せてもいいのだがやめた。和葉が起きてからが面倒だ。

途中小さく和葉が身じろぎしドキリとしたが起きたわけではなくふぅ、と小さくため息。

寝顔を見るなんていつぶりだ?なんて考えつつゆっくりと和葉の髪をなでていると、和葉がなにかを小さく喋った。


「うん?」


聞こえないよ、とわらって口元に耳を近付ける。


「・・っ、」


そして、黙って顔を離し、和葉の顔を見た。

彼女の顔にはうっすらと笑み。

僕は思わず緩む頬を手で押さえつけた。

和葉は今小さく「拓馬」と言った。確かに言ったのだ。


「・・どうしよう」


嬉しい嬉しい嬉しい。凄くうれしい。でもそれ以上に好きだ。・・大好きだ。

自分でもビックリするくらい気持ちがあふれてきて。それが顔に現れそうで、僕は思わず抱えた膝の間に顔をうずめた。

と。ふと伝えたくなった。

いつもは好きだよ、とか言うたびに照れる和葉が可愛くて愛おしくって。

でも慣れちゃうとつまらないから、とあまり言ってなかったけれど。


「寝てるし、いいよね」


小さく呟いて、僕は和葉の小さくて薄い唇に口づけた。


「和葉。・・愛してる」


もう一度口づけると、僕は閉じてあった小説を開いて再び読み始めた。




(それはまるで、僕の心のよう)




*****


という訳でこえ部お題用小説。

一人で語らないと、なので。今回和葉ちゃんのセリフはなしです。

ごめんね、和葉。次は君onlyだからね、なんて娘と会話しつつ。

さて、今回のお題についてです。

桃花水(とうかすい)。昔、桃花水とは春雪解けの為に増した川の水のことだと聞いたことがあります。

水が増すのと、拓馬君の心を重ねてみました。

途中でぶわーって気持ちあふれるところね。

さて。

そろそろ僕っ子S少年とツンデレ純粋少女のキャラが板についてきました。書きやすくなってきた。

本当子供たちのこと愛してます。大好き。これからもよろしくね。

こえ部のお題のほうもよろしくです。