キ-45改甲
改とか甲とか安上がりな厨ニ感のあるタイトルですが飛行機の名前が実際そうなので仕方がありません(笑)ともかく自分的にはまれに見る労作となりました。ある程度それらしく見える、という程度からいよいよ自身の作風として不満のないところまで画面作りを煮詰める段階に入ったからなのでしょう。一番気になっていたのはペンによるマッシブなメカ描写はほしいものの、同じ調子で背景を描いてしまうといかにもハッチングがうるさく、空間が息苦しいこと。ペンで描く紙面を引き締めるために画面全体のベタ黒の分布を先に決め、次に、なにかの形を表現するためにベタと白のあいだに中間調を入れるのですが、従来多用していた網掛けでこれをすると、掛けを一回に限定してもなお印象がガサガサしてものの形の判別が難しくなり、空間が重苦しくなります。以前合同同人誌に載せて頂いた風景ペン画に使っていた、書き割り化した風景を簡単な線描トーンだけで表現する方法が、奥行きの抜けがよいので、メカ描写の背後に置くには様式的すぎて向かないのではないかと考えつつも試してみると結果的に一応満足のいく画面作りができたようです。モチーフが日本陸軍機で、ペンだけで表現するのはなかなか難しいまだら迷彩も、思い切った意識の転換を要しましたが、グラデーションを加えた一本線のハッチングで押し通すとだいたい思ったとおりの絵面になりました。なにもかも描写しようとせず背景は段階的にモーダルにすることと、ライティングは絵の都合による、という感覚を強く意識することがコツだったようです。