※リクエスト作品になります。




夏鈴side



今年もこの季節がやって来た。部屋の中にいても底冷えして、寒さを感じるこの季節。

普通は、ハロウィンを終えてそんな季節になったといえばクリスマスの季節だと感じるのかな。でも、私たちは違う。


マネ「よし、みんないるー?」


まだ朝日も昇らない時間帯に1つのバスの中に響くマネージャーの声。

皆眠たくて適当な返事がそこらから聞こえてくるけど、そんな返事信用ならないから結局マネージャーが頭を数え始めるのはいつものこと。

そう、この季節といえばmv撮影だ。

他のグループの人はどうなのか私は詳しくないけれど、櫻坂46のmvはどれもこれも寒い時期に撮影したものばかり。今日だって当たり前のように私たちは1日の始まりからこうやって連れ出される。

それにしても、やっぱり眠たいなぁ。泊まりがけの日数増えてもええからもう少し太陽出てから始めてほしい…。そんなことを思って首をコクコクさせていると隣に徐に頭を寄せられた。


夏鈴「っ…?」
天 「眠いんやろ、夏鈴…。肩使ってええよ、」


今にも自分が寝てしまいそうな天からそんなことを言われる。

……ふふっ。昨日はしゃいで寝なかったからやっぱり天眠いんやん。そんなところが可愛いんやけど。

かなり遅くまで天が話しかけてくるからあんまり眠れなかった昨日の夜を思い出す。


夏鈴「…なんや、優しいやん天。」
天 「夏鈴にだけ、な。」


っ、そんなふにゃふにゃした表情でイケメンなこと言わんで。心臓持たへん。


夏鈴「くしゅっ…」


最近急に冬がやって来て、身体が追いつかない。流石に朝イチでエンジンをかけたばかりのバスは寒すぎてくしゃみが出た。

すると天が大きいコートをわたしの上にかけてくれる。


天 「これ、貸してあげる。」
夏鈴「ぁ、ありがと…ってこれ夏鈴のやつやん、、」
天 「んふふ、持って来ちゃった」


もう、いつの間に夏鈴のクローゼット漁ったんよ。今年はまだ模様替えが追いついてへんから、奥の方にあったはずやのに。

まぁなんでもいいか、天だし。なんて思ったところで「耳貸して」と天が言う。


天 「あんな、実は今回夏鈴の服しか持って来てへん
夏鈴「……ぇ、まじ」
天 「へへっ、まじまじ(笑)」


悪戯気に笑う天は、本当に私の服を勝手に持ってきたのか、ちゃんと自分の服を持って来たのかよくわかんない。

身長も同じくらいだし、スタイルだってそこまで変わらない私たちは時折そりゃ服の一着や二着貸し借りすることもあるけれど、まさかこんな時に借りられるとは思ってなかった。

「好きな人の匂いすると頑張ろうって思うやん。」って言ってくる天の笑顔に免じてよしとしよう。



それからバスが出発して、やっぱり朝に弱いみんなはすぐに寝落ちしたらしい。嘘みたいに静か。

私も今のうちに寝とこう。じゃ無いと、撮影中誰かさんみたいに寝ながら映ることになってしまう。

すると隣に座ってこちらも例外でなくウトウトしている天が手を絡めてくる。


夏鈴「ちょっ、天…」
天 「いいやん、ちょっとだけ。」
夏鈴「いや、誰か席立ったらどうするん?丸見えやで」
天 「ん〜…そんときは夏鈴がどうにかしてくれるやろ?」


悪戯に笑った天は瞼を閉じて数秒夏鈴の肩で寝始めた。

…ホンマ、ギャンブラー気質というか。行動が大胆やねんから。これで関係性が漏れたりでもしたらmvの撮影どころか、どう対処されることやら、。

だけど普段外であんまりくっつけない私たちだから、ちょっと天の行動が嬉しかったりする。

もうこの際、変に隠すのはやめようって私も天の頭に自分の頭をくっつけた。



数時間後、いつの間にか到着していて、付き合ってることがバレて、終いには、周りに冷やかされることなんて知らずに。



fin




お読みいただきありがとうございました!
完成していたのに下書きに眠っていました(笑)

2人の可愛さが伝わっていれば嬉しいです…😌🫧

明日からも1週間頑張りましょう!おっす。🐢🎐