『Mr. ホームズ』見てきました!!
ブロマンスを愛していればいるほど、心にクる作品…という印象です。
昔のホームズとの違いもそうなんですけど、このホームズの何が切ないって「ジョンやマイクロフトとの心の邂逅があってからの孤独」なんですよね。人と関わることのあたたかさを知ってからの孤独って、元々孤独だったときの何倍も苦しくて切ない。
名探偵シャーロックホームズの孤独と寂しさがスクリーンから全力で語りかけてきて辛かったです…

ところで、山椒のくだりや広島の映像描写には正直「おいおい笑」って感じだったんですけど、逆に聖典のバリツを思い出してしまって、「いい加減さを忠実に再現したのか…?」って思いました笑

ですが、映像作品としては非常に美しかった!!常に強調されていたシンメトリー、可憐な花たち、どれも上品な美しさが印象的でした(*^◯^*)
アンとホームズがベンチに座るシーンが特に好きです。ホームズがアンを見つけた時。シンメトリーに並んだ木々はアンの座る緑色のベンチまで導くように優しく美しく思えたのに、アンが薬を捨てていなくなるシーンではどこか遠い場所へ彼女が行ってしまうような気がする。シンメトリーに並ぶ木ってどこか空想的で好き。もう一つのわかりやすいシンメトリーは墓石ですね。二人の子どもの墓とアンの墓。寸分の狂いもないバランスの良さは誰も寄せ付けない拒絶の気持ちと完全性を表していたのだと思います。

また、作中で出てきたアヤメ。学名はIris(アイリス)。花言葉が「良い知らせ」「メッセージ」なので期待したくなりますが、結果的にアンは自殺を選んでしまいます。
アヤメの花はギリシア神話にも登場しますね。
神々の王ゼウスからの求愛に困ったイリスは、ゼウスの妻ヘラに頼んで虹を渡る女神へ姿を変えてもらい、神々の使者になります。そのときに振りかけられた神の酒の雫が地上に落ちて花となったそうです。
手紙・日記など、文字がキーワードの今作にマッチした花だったなぁという感じ。

何かを忘れたときに日記につけられる印も、最初は大きさも形もバラバラで忘れたことへの苛立ちが感じられてたのにページを捲るに連れて淡々とした丸になっていくのが辛かった。老いを受け入れざるを得ないのが伝わってきました。

アンとホームズの会話も心に突き刺さりました。
ホームズ「私も孤独だったが、知識で埋め合わせていた。」
アン「それで満足?」
ホームズ「不満はない。孤独な心を抱えて生きていける。」

ここでホームズに、連れてって、といったアン。
二つの心が住める場所へ、ってなんて寂しくて素敵な言葉なんだろうと思いました。ホームズが「こんな申し出ははじめて」と言ったのも頷けます。ホームズが孤独を知識で埋め合わせた、という言葉がとてもしっくりきていて、これこそ真実なのだろうなという感じ。

また、殺意なき毒が心に広がることを、ジョンの小説では「予兆」と呼ぶだろう。とホームズが言うシーンがあります。この作品においてジョン・ワトスンのセリフは一言もありませんでしたが、随所に彼がホームズに与えた影響を感じました。アンの自殺についてジョンに語ったときのこと。手袋を捨てられないまま隠したジョンの行動について、「私が悲しみにふさぎ込まないようにそうしたのだろう。」とか。ジョンの優しさを知った上で永遠の別れを経験するホームズの辛さたるや。極めつけの「ジョンとは再び別れた。さよならも言わずジョンは死んだ。」というモノローグ。

もうやめてあげて( ; ; )
としか言えなかったです…

一方でいくつになっても相変わらず人付き合いが苦手…というか下手くそなホームズが愛しくて仕方なかったですね。
ロジャーの回復を待つ間、二人にポーツマスへ行かないで欲しいと頼むときの回りくどさ。
「嘘でも彼女に一緒に生きていこうと言うのが怖かった。田舎で暮らしてるのはそのせいだ。もう誰も傷つけたくない。私は家も養蜂も、全部君たちにあげようと思っている。どこかに行かない方が良いと思っている。たとえば、ポーツマスとか。」
相変わらず不器用だなぁもう!!!( ; ; )

ラスト幸せそうに暮らしてる三人が微笑ましかったです。どうかやり残しの無いように余生を楽しんで欲しいですね。
三つの言葉。「ガラス。ハチ。ロジャー。」

シャーロック・ホームズは非常に多くの人に愛されている有名なキャラクターで、私たちが生きているこの世界にはたくさんのシャーロック・ホームズが居ます。その中でもこの作品、『Mr ホームズ』は見終わった後、どのシャーロック・ホームズにも幸せが訪れますように。そう願わずにはいられなくなる作品でした。