2011年公開のジブリ映画。先日TV放送されたので観てみた。


戦後の横浜、コクリコ荘と呼ばれる建物に祖母や姉弟たちと住む海は、毎朝庭で旗揚げを日課としていた。戦争へ行って戻ってこない父が戻ってくるときに見つけられたら、という願いをこめていた。

ある日男子文化部が拠点とするカルチェラタンと呼ばれる建物の機関紙に旗揚げ少女を題材とした詩が掲載され、友人たちは海のことではないかと囃し立てる。

その後、カルチェラタンの取り壊しに抗議するため、昼食時にカルチェラタンから飛び降りた少年がいた。溜め池に落ちた彼に思わず手を差し伸べた海だが、、、


そんな始まり。

学業と家事を両立する少女海とカルチェラタン機関紙のチーフ俊がメインのジュヴナイル系作品。

主な点はカルチェラタンの存続運動と海と俊の淡い恋愛模様である。

途中、海の家を訪れた俊は自分が持つものと同じ写真が飾ってあったことで、海と兄妹なのではないかという疑惑を持つようになり、海に冷たく振る舞ってしまう。韓国ドラマによくある展開という印象である。

生活の他に自分達のルーツを探る、という側面もあり思春期の男女の心の機微が感じられる。


この作品、前情報0で観たためか、コンセプトがいまいちよくわからなかった。学生の恋愛模様を描くのであれば、おもひでぽろぽろや耳をすませばみたいなものなのだが、不思議な現象は特に起こらず、戦後の頭の固い大人とひたむきだが頭の固い学生のやりとりが描かれるだけである。

そういう時代だったんだろうな、くらい。


戦後の貧しい生活ではなく、それなりに安定している様子が描かれ、TVを持っていたりするので悲壮感は少ない。東京オリンピックの前年が舞台ということで、戦後復興中の日本が描かれていると感じる。

また当時の学生は学生ながら大人びた様子が描かれているようにおもわれる。セリフはあくまでジブリ節だが。


男主人公の俊の声を当てているのが岡田准一さんなのだが、残念ながら声の仕事は素晴らしいものではなかった。海役が長澤まさみさんでとても上手だったので、どうしても比較してしまう。生徒会長役の風間俊介さんはよかった。


あまり浮き沈みなく淡々と進む作品です。まったりした作品が好きな人にはおすすめできます