叔父が亡くなった。

23年前に亡くなった父の兄である。



余命一ヶ月の癌だった。


知らせを聞いて、予定をたてて面会に行こうとしたら、もっと急いだ方がよいと言われた。


旦那に息子を託して病院へと1人で向かった。


許可された面会時間は10分。


何を伝えたらこの10分がいかに後悔の少ないものになるか、ない知恵を絞って考えた。


きっとこれが最後の面会。


かれこれ8年は会っていなかったので、結婚した事、息子が生まれた事。


それを伝える事にした。


スマホには旦那と息子の動画がある。

これを見せて声を聞かせようと思った。


文明に感謝だなと思った。


23年前、父の最期に泣きながら家族で呼びかけた時の記憶はだいぶ薄まってきたが、

蓋を開けたらいつだって色濃く思い出せる。


結局往復4時間近くかけて向かった病院で、叔父の顔を見たらもう泣けてしまった。


叔父は生涯独身で、夏休みやお正月など里帰りした時は、私達子どもを可愛がってくれていた。


泣きながら、語りかけながら沢山動画を見せた。


もう、薬で痛みを和らげているのだか、辛そうに動いていた。


だけど、目があいてこちらを見た。


『なんで、なんで。』


そう言うと、何度も拘束された手で私に触れてきた。


『結婚したんだよ。

息子も生まれていま2歳なの。

大丈夫だからね。

大好きだよ。

ありがとう。』


何を言っても月並みになるかもしれない。


それでも、伝えなければ。


看護師さんが、面会終了の、刻を知らせにきて、


手を握って


お別れをした。


涙と鼻水でマスクは濡れて、

帰りに病院の売店でペットボトルとポケットティッシュと、いつも行く美容院でお茶と一緒に出される一口チョコレートがあったので買った。


鼻をかみ、面会カードを返却し、タクシーに乗って駅まで向かった。


電車に乗ると、早速買ったチョコレートを食べた。


何かを口にしたかった。


この整理しきれない気持ちを持って帰るには、足取りが重過ぎた。


一つチョコレートを食べ、次のチョコレートも食べ、4つほど食べると電車が混み始めてきた。


結局、川越駅で途中下車して1時間ほど、服を見たりお茶をして、ようやく自宅に着いた。



その次の日の夜、叔父が亡くなったという知らせがきた。