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くだらない言の葉


おばあちゃんは病院で
目を覚まさず、ずっと寝ている

一週間前の夜、晩御飯を食べ
軽く一眠りし、起きようとした時
そのまま倒れた

詳しい事はわからないが
脳の一番大事な所(脳幹)
の血管が破裂してしまったそうだ

意識戻らず集中治療室にいる

一週間、一度も目を開けない


火曜日、仕事休みをもらい
お母さんとおばあちゃんに会いに行った

お母さんは誰よりも
おばあちゃんに会いたがってた

いつもいつもお母さんはおばあちゃんと
長電話をして馬鹿笑いをしていた

家の都合で何年も実家に帰れなかった

今年の8月、
自分の姉妹でお金を出し合って
お母さんを実家に帰らせてあげようと
したが一緒に住むおばあちゃんが
それを許さなかった

2ヶ月後、おばあちゃんが倒れた

早く帰らせてあげれなくてごめん
という気持ちでいっぱいだった

お母さんはおばあちゃんが倒れた話を
聞いてから毎晩泣いてた

でも私の前では無理して笑ってた

それをみているのが辛かった

おばあちゃんは自呼吸で眠っていた

本当に意識ないの?と思うくらい、
自然な眠りをしていた

今にも起きて「よく来たなぁ」って
いい出しそうなくらい

だけど
体を揺さぶっても耳元で話してみても
目を開けない

自分達の言葉に反応して
たまに手や足を動かしている

ような気がするが
無意識に動いているだけらしい

いや、でもきっと聞こえてるんだよね?
ばあちゃん

もし、意識が戻って目を開けたとしても
寝たきり状態です。と医師から言われた

寝たきり状態だとしたら
目を覚ましても家に帰れない

どこかの介護施設に入れなければならない

その介護施設も
病院で一般病棟の方でないと入れない


今のばあちゃんの状態では............


信じられない信じたくない
なぁ、今すぐ起きて嘘だよって言ってよ


お母さんのお姉さんがボソッと
『まさか自分の親がこうなるとは
思ってなかった』と言った

誰もが予期もせぬ事、
誰もが望まぬ事も
平気で起こってしまう世の中が
醜くて仕方ない

自分の母さんがばあちゃんに
こんなことを言っていた

「かぁさん、起きてよ。
来年さやの成人式楽しみだなぁって
言ってたよね?ほら、目を開けないと
みれないよ?起きてよ。」

知らなかった

楽しみにしてくれてた人がいたこと
知らなかった

前撮りも成人式も面倒くさい
としか思ってなかった

一緒に住んでいるおばあちゃんなんて
私のことなんて見向きもしない

勝手にやれ。状態だった

誰に見せるわけでもないなら
どーでもいいや。と思ってたけど
ちゃんと楽しみにしてくれてた人が
いたんだと思うと涙が出てきた

その楽しみにしてくれていた人が
目の前で眠ってる

夏、私がおばあちゃん家に
遊びに行った時

自ら、花火を買って
一緒にやろうと言ってきた

もう20歳なんだけどなぁと思いつつ
みんなで花火をやろうと思った

あいにく雨で出来ず終いで
地元に帰ってきてしまった

ばあちゃんに
『また来年も来てなぁ~』
と言われた

正直、おばあちゃんの喋り方は
聞き取りにくく、何を喋っているか
わからない事が多々あり、
あんま遊びに来てもなぁ。
来年はいいかなぁ。と思っていた

でも今、そう思ってしまった事に
本当に後悔している

どうしてこうも、人間というのは
今あるものを大切に出来ず、
事が過ぎてから悔やむのだろう


ねぇ、ばあちゃん目を覚ましてよ
来年も来てって言ったよね
来年こそ花火やろうよ、ねぇ。

私はばあちゃんが寝たきりだなんて
信じないからね

また起きるよね?
普通に歩けるようになるよね?

お母さんの実家に帰り
家の掃除をしていると、
枯れかけたカーネーションがあった

お母さんが『カーネーションなんて
誰が買ってくるんだろう』と呟くと

お母さんのお姉さんが
『母さん(おばあちゃん)が
好きなんだよ』と言った

あんなにばあちゃんと仲よかった
母さんでも知らない事があったんだ
と思った

買い物に行って食材をみるたびに
『まだ教えてもらってない
料理沢山あるのに....』と言っていた

正直、自分はおばあちゃんの
作った物が食べれない

なんというか、変な潔癖性。

お母さんの料理は食べれる。
自慢できるほどうまい。

でもその料理はばあちゃんからの
教えだったんだね....

ばあちゃんごめん。

3日間で、お母さんと
お母さんのお姉さんの
ため息を何回聞いた事か....

自分が風呂に入って出てくる時
お母さんもお姉さんも
どこか遠くを見つめぼーっとしていた

自分の事に気がつくと、
無理に笑顔を作って何ともない
ようにしていた

辛かった

この3日間、ばあちゃんが
目を覚ますことはなかった


帰りの新幹線でお母さんに
『一緒に来てくれてありがとね。
助かった。』と言われた

いや、なんの役にも立てなかったし
私がいてむしろ気を遣わせてしまった
じゃないかと思った

『さやがいなかったら皆んな
暗くなっちゃうから』と。

無理して笑顔にさせて
良かったのか悪かったのか。

しかもおばあちゃん家に行き
自分は体調を崩してしまっていた

1日目は寝たきり、
2日目はフラフラになりながらお見舞い
3日目は多少元気が出てきた

むしろ負担をかけてしまった
申し訳なかった

それでも皆んなが来てくれてありがとう
って言ってくれて

うん、なんとも言えない気持ちで
いっぱいです

家に帰ってる途中に花屋さんがあった
すると、お母さんが
『今年の誕生日は
何もしてあげられなかったから
来年の誕生日は歳分のカーネーションを
プレゼントする』と言っていた

『来年何歳?』と聞くと
『77歳』と答えた

77本のカーネーション
ばあちゃん喜ぶだろうなぁ.....